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交差比率とは?基礎から利益を出すための改善方法を解説

在庫管理を行う上では、適正な在庫数量を把握することが必須です。その中で在庫の投資効率を示す「交差比率」を使うことで、適正な在庫管理に活かすことが可能になります。

本記事では、交差比率の基本から利益を出すための改善方法を解説します。

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交差比率とは

交差比率とは、在庫がどれだけ儲かっているかを表す指標です。

交差比率を計算することで「在庫数は多いが、あまり利益の出ていない商品」や「少ない在庫数で多くの利益を稼いでいる商品」などの在庫の投資効率を把握することができるため、主にアパレルやコンビニ、スーパーなどの小売業で重要視されています。

GMROI(商品投下資本粗利益率)との違い

交差比率と似た指標として、GMROI(商品投下資本粗利益率)という言葉がありますが、この2つは売価で求めるか原価で求めるかの違いです。売価基準で在庫の投資効率を求めたい場合は、交差比率を使いましょう。

GMROIについてはこちらの記事で詳しく説明しています>

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交差比率の計算方法

交差比率は以下の式で計算します。

交差比率=在庫回転率×粗利率

例えば、在庫回転率が5、粗利率が50%の商品の場合は、交差比率は250になります。交差比率の数値が高いほど、在庫の投資効率は良いと捉えることができます。

在庫が「儲かっている」と判断できる目安となるのは、200%以上です。在庫管理をしていく上で、交差比率200%以上の商品は欠品させないように注意していく必要があります。

また交差比率を上げていく上では、在庫回転率や粗利率を向上させることも欠かせません。在庫回転率と粗利率を向上させる方法は次章以降で解説します。

在庫回転率の計算方法

在庫回転率とは、一定期間内にどれだけ在庫が入れ替わったかを表す指標です。

この数値が高いほど商品がよく売れている事を意味し、数値が低い場合は、商品が売り切れるのに時間がかかっている事を意味します。

在庫回転率は金額から計算する方法と個数から計算する方法があり、式は以下の通りです。

  • 金額から計算する場合
    • 在庫回転率 = 期間中の売上原価 ÷ 期間中の平均在庫金額
  • 個数から計算する場合
    • 在庫回転率 = 期間中に出庫した数 ÷ 期間中の平均在庫数

上述の通り2種類の計算方法がありますが、以下の理由から在庫回転率は個数で計算するのが望ましいとされています。

  • 在庫金額は、期末評価で商品評価損を計上すると減少する
  • 在庫の仕入れ値が毎回一定であるとは限らない
  • 棚卸減耗損が小さくない業種だと、実態よりも在庫回転率が善く見える

在庫回転率についてはこちらの記事で詳しく解説しております>

粗利率の計算方法

粗利(売上総利益)とは、企業が商品を販売した際に得る利益を表しており、売上高から原価を差し引くことで計算できます。

そして粗利率は売上高における粗利(売上総利益)の割合を示しており、以下の式で算出します。

  • 粗利率=粗利益÷売上高

コロナ以前では売上を追う企業も少なくありませんでしたが、経済や感染症の影響を受けやすい小売業においては、粗利を上げることが非常に重要です。

公認会計士が「利益重視経営」の考え方を解説した記事はこちら>

交差比率で分かる儲け方の3パターン

上述の通り、交差比率は在庫回転率と粗利率から計算します。そのため以下の図にある通り、在庫回転率が高く粗利率が低いパターンや在庫回転率も粗利率も中位のパターン、在庫回転率は低いが粗利率は高いパターンが存在します。

交差比率をもとにより儲かる商品にするためには、儲け方のパターンを把握した上でそれぞれのパターンにあった在庫管理や施策が必要になります。

パターン1:薄利多売

薄利多売とは、在庫回転率は高いが粗利率は低い商品を指しており、上図では商品Aが該当します。このパターンは、一つの商品から得る粗利は少ないですが、大量に販売することで大きな利益を生み出しています。

薄利多売のパターンでは、商品の売り方や戦略がマッチすれば大きな売上利益を生み出すことができます。一方で売上が伸び悩んだ場合、赤字になりやすいというデメリットもあります。

在庫管理をしていく上では、適切な在庫コントロールが重要です。大量に販売することが前提のため欠品をさせないことが必須となりますが、欠品を恐れて過剰在庫を抱えては本末転倒です。そのため、適正な発注や在庫配分を行いましょう。

パターン2:中利中売

中利中売とは、在庫回転率も粗利率も中位な商品を指しており、上図では商品Bが該当します。このパターンではあまり目立たない商品も多いですが、着実に利益をもたらしてくれます。

目立ちにくい商品だということから感覚では見つけにくい商品のため、交差比率を求めることが重要になります。

パターン3:厚利少売

厚利少売とは、在庫回転率は低いものの粗利率が高い商品を指しており、上図では商品Cが該当します。このパターンでは、薄利多売のように大量に販売しない分、価格を高く設定することで売上や利益を伸ばしていきます。

厚利少売のパターンでは、利益を確保しやすく価格競争には巻き込まれにくいというメリットがある一方で、購買までの難易度が高いというデメリットもあります。

そのため、専門的な知識を身につけてきめ細やかなサービスを提供し顧客満足度を高めることが重要です。

交差比率を上げる方法

上述の通り、交差比率を上げるためには在庫回転率や粗利率を向上させることが重要です。

次からは在庫回転率と粗利率を向上させる方法を解説します。

在庫回転率を上げる方法

在庫回転率を上げる上では、以下2点が重要です。

  • 販売機会を増やす
  • 在庫消化を促進する

販売機会を増やすためには、まずは欠品させないように適切な在庫管理をしていくことが必須です。その上で、VMD変更やSNSでのプロモーションを行い商品の販促を行いましょう。

在庫消化を促進していくためには、滞留在庫を値引きすることが有効です。

値引きをする際は、余計な値引きをしないように注意しましょう。消化状況と売上状況に応じて値引率に傾斜をつけることで、余計な粗利を毀損せずに在庫消化をすることができます。

売上・粗利・在庫消化を促進する値引きの方法を解説した記事はこちら>

さらに自店舗では滞留している在庫でも他店舗では売れ筋商品の可能性もあるため、売れる店舗へ在庫移動をすることも効果的です。

在庫移動をする際は、販売チャネルの特徴を理解しておくことが必要です。例えば、売上高の高いお店ではそもそもの来店客数が多いため、在庫が不足しやすい傾向にあります。反対に売上高の低いお店は、人気商品であっても在庫が過剰になりやすい傾向にあるのです。

そのため、自店舗で売れやすい在庫、多店舗で売れやすい在庫を理解して在庫移動することで在庫消化を促進することができます。

店間移動で意識するべき2つのポイントを解説した記事はこちら>

粗利率を上げる方法

粗利率を上げる方法としては、値上げや売上原価を下げる方法がありますが、まずはプロパー販売強化を推奨します。

そもそも値上げする上では、商品に付加価値をつけることが重要です。日本では長らく物価が安定していたため、値上げに対して消費者からネガティブに見られやすい傾向があります。そのため、値上げすることで買い控えを招き、逆に減益になる可能性も存在します。

また売上原価を下げる場合は仕入れ先や材料の変更が必要になりますが、品質低下等のリスクは避けられません。

コロナ以前の小売業では、代表的な集客施策として値引きが慣習的に行われていました。しかし、市場の縮小や大量生産の価値が喪失している現在においては、余計な値引きは粗利損失を招きます。

そのため粗利率を上げるためには、プロパー販売を徹底して行い余計な値引きを抑えることが重要です。

値引きをやめた「しまむら」に学ぶ粗利改善のポイントを解説した記事はこちら>

まとめ

  • 交差比率とは、在庫がどれだけ儲かっているかを表す指標で以下の方法で計算する
    • 交差比率=在庫回転率×粗利率
  • 交差比率を計算することで、以下3パターンの儲かり方が分かる
    • 薄利多売
    • 中利中売
    • 暑利少売
  • 交差比率を上げるためには、在庫回転率と粗利率を改善する

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