小売企業が追うべきGMROIとは?粗利と在庫に関係する指標を徹底解説
GMROIという言葉をご存じですか?GMROIとは粗利と在庫に関係する指標で、小売業の健康状態を把握することができます。本記事では小売企業が追っていくべきGMROIについて、基礎から改善方法まで徹底解説いたします。
在庫回転率だけを追ってはダメ
在庫に関する指標として、一定期間内にどれだけ在庫が入れ替わったかを表す在庫回転率を追っている企業が多いと思います。
在庫回転率を算出することで、在庫量が適正か?売れ筋は何か?を把握することができるため、非常に重要な指標です。
関連記事:在庫回転率とは?計算方法や適正在庫を維持する方法を解説
しかし、在庫回転率はあくまでも”売れている”か”売れていないか”を判断する指標のため、実際にその商品で粗利を生み出せているかは分かりません。そのため、在庫回転率と共にGMROIを追っていくべきなのです。
GMROIとは
なぜGMROIを追うべきなのか
GMROI(商品投下資本粗利益率)とは、どれだけの在庫でどれだけの粗利を作ったかを表す指標です。
コロナ以前の小売業では、昨対売上の増加を目標とする企業が多くありました。
しかし国内小売市場は2018年頃から縮小傾向にあるため、自然と在庫過多が起き、この問題を解決しようとオーバーストア(※)となっていたのです。
(※)ある商圏において、需要よりも供給が過剰になっている状態
このような状態は拡大市場であれば問題ありませんでしたが、現在の縮小する市場下ではキャッシュフローや粗利率の悪化を引き起こします。
そして、2020年4月の緊急事態宣言で店舗が閉まったことで需要が消失し、資金繰りの悪化から多くの企業は赤字に転落しました。在庫過多とオーバーストアを放置したツケを払うことになったのです。
現在では、多くの企業が仕入れ抑制と不採算店舗を閉店したことによりV字回復する企業が続出しています。ですが、減らした在庫と減らした売り場という状態を維持したまま今後も業績を上げていくためには、売上ではなく粗利。つまりGMROIを追っていくべきなのです。
GMROIの計算方法
GMROIは以下の方法で計算することができます。
GMROI=粗利益額/平均商品在庫高(期首在庫高と期末在庫高の平均)
例えば以下の例で計算してみましょう。
粗利益額=1,000,000
期首在庫高=289,000
期末在庫高=464,000
まずは平均商品在庫高を求めます。
平均商品在庫高=(289,000+464,000)÷2=376,500
ここからGMROIを計算してみると、
GMROI=1,000,000÷376,500=2.66
となります。
GMROIと似た指標で交差比率というものがありますが、GMROIと違う点は売価で求めるか原価で求めるかの違いです。売価基準で粗利換算率を求めたい場合は交差比率を使いましょう。
【参考】主要アパレル企業のGMROI
GMROIを最大化するための3ステップ
①粗利と在庫適正化を目指す
GMROI最大化のためには粗利改善と在庫適正化が必要です。
この2つを改善するために、まずは1年後・3年後の経営目標を決めましょう。経営目標を決めた後は、目標達成のために何が必要かを特定します。
粗利改善と在庫適正化に必要なものは以下のようなものがあげられます。
【粗利改善】
- プロパー消化率を上げる
- 不要な値引きを抑える
- 仕入れ原価を抑える
- 不良在庫を減らす
- 入店客数を増やす
- 平均客単価を上げる など
【在庫適正化】
- 売れる在庫の比率を上げる
- キャリー品の比率を下げる
- 不良在庫の比率を下げる など
粗利改善については以下の記事で詳しく解説しています。
値引きをやめた「しまむら」に学ぶ粗利改善のポイントとは?
②特定した課題の解決方法を考える
粗利改善と在庫適正化に必要な課題を特定した後は、それぞれの課題の解決方法を検討します。例えば「プロパー消化率が低い」という課題の場合、”在庫リスクに合わせて値引率を変える”や”特集ページを作成し販促する”などがあげられます。
③会社全体でGMROIを追う
GMROI最大化のためには、一部の社員だけではなく会社全体で取り組む必要があります。特定した課題を細分化していき、経営層・販売担当・在庫担当などそれぞれが自分の業務とGMROI(粗利)への結びつきを意識することが重要です。
まとめ
- GMROIとはどれだけの在庫でどれだけの粗利を作ったかを表し、在庫回転率と共に追っていくべき指標
- なぜなら、縮小している市場下では売上ではなく粗利を追うべきだから
- GMROI最大化のためには粗利改善と在庫適正化が重要
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