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西松屋チェーン「低価格戦略を継続」からPBについて考えてみた

子供服大手の株式会社西松屋チェーンが低価格路線を継続するとのニュースが、先日の繊研新聞で報じられました。新型コロナウイルス感染拡大下でも26期連続で売上高が過去最高を更新している西松屋チェーン。郊外店が多くコロナ下でも客数が減るどころか増えたことや、消費者の生活防衛意識の高まりに対応する措置となる。Zaikology Newsは、株式会社ファーストリテイリングが国内ユニクロ・ジーユーで実質9%の値下げに踏み切ったことと併せ、小売業界にとって衝撃は大きいとみる。

低価格PBを柱に

2021年4月1日付繊研新聞によると、西松屋チェーンは19年2月期から低価格路線を徹底しており、大村浩一社長は「コロナ禍で生活防衛意識が高まり、低価格品への需要が加速する」とみているという。

それでも22年2月期の業績予想は過去最高を更新する。21年2月期と比べ売上高は6.6%増の1700億円、営業利益は13.3%増の137億円、当期純利益は10.5%増の91億円だ。

カギとなるのがPB(プライベートブランド)だ。繊研新聞の記事の一部を引用する。

低価格PBを成長の柱に掲げ、21年2月期のPB売り上げ比率は23%を超えた。セールよりも主力商品の価格を下げて買い上げ率向上を重視。仕入れ枠の設定と在庫管理精度向上で値下げロスも改善した。21年春夏物も半袖Tシャツ379円とさらに下げた。売れ筋に絞り込み、グローバルソーシングでコストダウンを進め、早期にPB比率50%を目指す。

PBは海外卸も強化、前期の売上高は約1億3000万円。卸先は16国・地域に拡大した。中国は現地販売代理店を通じ「Tモール」で販売、香港は大手ドラッグストア「ワトソンズ」と組んでいる。1月からはHISの海外法人でも販売を開始。ゆくゆくは海外出店も検討し、25年度で売上高50億円を目指す。

単に商品価格を下げるだけでなく、セール抑制と徹底した在庫管理による値下げロスの抑制、売れ筋に絞った商品展開など緻密に手を尽くしていることが行間から窺い知れる。

PBはもはや「安かろう悪かろう」ではない

ひと昔前まで、PBといえばNB(ナショナルブランド)と比較して機能を絞り込んだり品質を落としたりして価格を下げていた。しかし、そうした商品が受け入れられる社会は終焉しようとしている。

チェーンストア理論の第一人者である吉田繁治氏は著書『新しいチェーンストア理論』で、PBについて以下の趣旨のことを述べている。

小売企業はNBより商品価値の高いPBを安価に提供すべき。そのためには商品原価を下げるのではなく、人的な生産性を上げ、流通のコストカットが必要だ。
2020年代は、販促、値下げ、CRMだけでは業績は伸びない。人的生産性の向上と流通のコストダウンを原資に、商品価値の高いPBの提供を続けることが、勝ち残りの条件だ。

吉田繁治著書『新しいチェーンストア理論』

吉田氏は上記の代表例としてファーストリテイリングとニトリグループを挙げる。両社はSPAなので扱う商品のほぼ全てがPBとなるが、市場環境が厳しくても、魅力的な商品を開発できれば企業は成長を続けられるということの証左になっている。

今やユニクロを「安物売り」と思っている人はかなり少数派であろう。だからこそ実質9%値下げのインパクトは大きい。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000025713.html

縮小市場でも企業は成長できる

話を西松屋チェーンに戻す。

  • セールを抑制
  • 客の買上率を重視
  • OtBの徹底

上記により、ただでさえ利益率が高いPBの利益率をさらに上げ、低価格でも十分な利益が出る構造にするということだ。吉田氏が提唱する「NBより商品価値の高いPB」を意味しているのは明白だ。

つまり、売れないから価格を下げるのではなく、限られたパイの奪い合いになる子供服市場を一気に席巻するための打ち手とみていいだろう。

ファーストリテイリングも2021年はユニクロで「ポール&ジョー」と共同開発した子供服や「ユニクロ ユー」の子供服版を投入する。ジーユーもベビー服に参入するなど、ガリバーたちの戦いが激しさを増す。

一方で、子供服では独自のブランド価値を持ち、それぞれ魅力ある商品を扱っている小規模なプレーヤーが多数存在する。彼らがガリバーに価格競争を挑んでも勝ち目はないので、いかに「付加価値」を消費者に提供できるかが勝敗を左右するだろう。

※子供服の低価格化については、次のレポートに詳しい分析が書かれています。

(調査担当デスク)

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