繊研新聞「第3回ファッションECサミット」で弊社代表・瀬川が講演しました
フルカイテン株式会社は2020年7月28日、繊研新聞社が主催する第5回ファッションECサミットに登壇者として参加し、代表の瀬川直寛が「【大手企業も実践中!】在庫を資産に変えるアパレル経営の新手法~在庫実行管理(IEM)~」と題して講演しました。サミットは今回初めてオンライン配信形式で行われ、アパレル業界のEC担当者を中心に約500人の参加者が瀬川をはじめとした登壇者の講演に耳を傾けました。
瀬川による講演の要約を以下にご紹介します。
コロナ危機は「2030年問題」の疑似体験
これまでも、これからも、小売にとって在庫問題は切っても切れない課題です。弊社が開発する『FULL KAITEN』を導入した企業では、在庫を半減させながら売上は導入前を毎月上回るような効果も出ています。
新型コロナウイルス危機は、実店舗の場合、固定費負担というものを露わにしました。需要消失で大手ですら経営破綻するという悲しい出来事も起きました。
コロナ危機が終わる、あるいは危機を無事に乗り切ったとして、果たしてそれで良いのでしょうか。私は良くないと思います。それは、我々が2030年問題の真っただ中にいるからです。
日本では今後10年間で人口が大きく減っていきます。10年を待たず4年後の2024年には第1次ベビーブーム世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、国全体が年を取ります。すると、社会保障の持続可能性、介護支出の増大、可処分所得の減少といった問題が噴出してきます。
決して「ECには影響はない」ということはありません。あと4年でどれだけ準備できるかがポイントになります。
ECの皆さんには肌感覚で理解してもらえると思いますが、在庫を増やせば売上は増えますが、在庫を減らすと売上も減ってしまいますよね。大抵は「売上を失うよりも在庫を余分に持つ方が良い」と考えるから在庫過多が常態化してしまいます。
しかし、在庫過多を前提にしたやり方は、もう通用しません。それはコロナ危機で経験したと思います。なので、考え方をPL脳からBS脳に変えてほしいと思います。「売上第一」から「利益第一」です。
在庫過多を前提にしたままでは利益もキャッシュも失う
では、なぜ在庫過多はダメなのでしょうか。従来は原価は低く抑えるためにまとまった量の発注をしていたと思います。例えば(下図の例)、原価率を5割に抑えるために1個100円で100個発注し、売価200円で50個は売れ、50個が売れ残った場合です。
PLには売れた50個分の原価しか載ってきません。売れ残った50個にかかった原価5000円はBSに棚卸資産として蓄積され、資金繰りが悪化します。
PLには売れた分(50個)の原価しか計上されないので、粗利5000円は見かけ上の利益に過ぎません。
さらに、棚卸資産は「ずっと5000円の価値がある」とはみなされず、価値は毎年下がります。この価値の低下分を評価損としてPLに計上しないといけないので、例えば2000円の価値しかないと判断されれば、評価損3000円を認識しないといけません。
つまり、数を多く売ろうとして在庫過多を放置すると、利益もキャッシュも失ってしまうわけです。これがコロナ危機で起こったことですね。
「変化」に強い仕組みをつくる
ですので、在庫にメスを入れて値引きや評価損を減らす利益第一のビジネスモデルに変わらなければなりません。そのためには、棚卸資産(在庫)の質を可視化する仕組みが必要不可欠です。
ただ、従来は需要を予測して少しでも売れ残りを減らそうと試みてきたのではないでしょうか。
しかし、AIをもってしても抜群の精度で需要を予測するのは困難なのです。正確な予測は前提条件が変わらないことが必須なのに、実際は条件は大きく揺れ動くからです。条件がほんの少し変化するだけで、結果が大きく変わってしまうのです。
なので、「予測は外れる」「変化は起きる」ことを前提に、変化に強い仕組みをつくる必要があります。予測だけに頼らないということです。
- 棚卸資産の「質」を可視化する
- 質に合わせた対策を打つ
棚卸資産の質が可視化されていれば、状況の変化が起きても在庫への影響に適時に気付くことができ、予測が外れても柔軟に対策を打つことができるようになります。
これを弊社フルカイテンでは在庫実行管理(IEM = Inventory Execution Management)と呼んでいます。
IEMでは「棚卸資産の質」を3つのポイントでもって可視化します。
- 「今ある在庫」の中から、まだまだ売れる隠れた実力商品を見つける
- 「今ある在庫」の中から、客単価向上に貢献する実力商品を見つける
- 発注業務の負荷を下げることで発注頻度を高め、1回の発注量を減らす
※参考:在庫実行管理(IEM)
このIEMは、理屈だけで生まれたわけではありません。私がかつてEC事業を経営していた頃、在庫過多による3度の倒産危機を回避する過程で実践してきたことです。
※参考:開発ストーリー
「棚卸資産の質」を可視化し、それぞれの質に合わせた対策をとることで、在庫の削減と利益の増加を両立させることができました。
そうした経営の実践をお手伝いするツールとして『FULL KAITEN』がありますので、皆さんのお役に立ちたいと考えています。
◇
フルカイテン株式会社は2020年8月6日(木)、デジタルトランスフォーメーション(DX)を在庫文脈でとらえ、「BS脳」という会計的視点で在庫マネジメントを解説するオンラインセミナー「在庫文脈で語るDX コロナで変わった小売経営の潮目!」を開催します。スピーカーは瀬川が務めます。
ぜひご参加ください。