「在庫問題」で3度の倒産危機…!七転八倒の末に生まれた【FULL KAITEN開発ストーリー】第3話
「仕入れた在庫が売れず、倉庫に山積みになった滞留在庫がある。」
「発注先への支払いが追いつかず、資金繰りがピンチ!」
小売企業の経営者や在庫責任者にとって背筋が凍る事態ですよね。在庫を抱えるビジネスであれば、身に覚えがある方も多いのではないでしょうか。
フルカイテン株式会社CEOの瀬川も自身のベビー服EC事業で同じような悩みを抱え、在庫問題による3度の倒産危機がきっかけで【在庫問題を解決するクラウドサービスFULL KAITEN】の開発に至りました。
本ブログでは、その開発ストーリーを紹介していきます。今回は第3話です。これまでの話は以下よりご覧になれます!
資金ショートが目の前に迫る恐怖と、会社や家族を背負う重圧のなか、山のように溜まった在庫の中からまだ売れる商品を見つけ、仕入れについても最適解を見出した瀬川。2度の倒産危機を乗り越え、EC経営者としての自信もついてきました。
そして、自らのECサイトについたレビューに背中を押され、「自分の子どもに着せたいベビー服のブランド」として事業を更に成長させるべく、販売数量を大きく増やす方向に舵を切ったのです。
人生最大の失敗!「送料無料」施策で、大赤字。社内の雰囲気は最悪に…
注文件数を増やすために、送料が無料になる注文金額を引き下げました。8,000円から2,000円へと大幅な引き下げです。
結果、月間の注文件数は1.2倍になりましたが、客単価は7,500円から3,000円近くも下がってしまいました。「送料無料」になる注文金額を大幅に引き下げたことで、今まで購入していただいていたお客様が離れ、安い価格帯しか響かないお客様だけが集まってしまったのです。
また、注文件数に比例して商品の運送費や梱包作業のための人件費が急増し、売れども売れども大赤字…。
社内の雰囲気はギスギスし、創業メンバーを含む従業員が、不満を溜めて続々と辞めていきました。
社長としての孤独感。先が見えない恐怖。苦労して積み上げてきたお客様の層を失い、またイチから始めなければいけない絶望感。
瀬川は生きた心地がしませんでしたが、事業を立て直さなければなりません。
「送料無料施策」は大きな失敗に終わりました。1度目、2度目の倒産危機はキャッシュフローが主な原因でしたが、ここへきて、大赤字が続く「最大の倒産危機」に陥ってしまいました。
「送料無料」になる注文金額を戻すも、元のお客様は戻って来ず…
半年ほどで送料無料になる金額を8,000円に戻したものの、以前の顧客は戻ってきません。
メールマガジン経由で「送料無料となる注文金額を元に戻す」と謝罪の連絡をしたところ、あるお客様から返事をいただきました。
「ここで買うのがステータスだったのに」とのことでした。
皮肉なことに、注文件数を増やそうとして行っていた施策が、ベビー服ブランドのファンとしてのお客を裏切っていたことに気づきました。その後、一度失ったお客様からの信頼を取り戻すには9ヶ月もの時間がかかりました。
注文件数が増えても利益率が悪化して大赤字に。その危機を打開すべく瀬川は知恵を絞って考え抜きました。
導線やクリック率の改善だけでは、部分最適解にしかならない
当時のベビー服ECサイトのPVは月間数百万。
アクセス解析ツールなどを駆使しページの導線を改善してコンバージョン率が数パーセント良くなったとはいえ、月間数百万PVでは売上に対して大きなインパクトは出ませんでした。
また、あるページのデザインを変えてバナーのクリック率が改善しても、そこから遷移した先のページでの離脱率が増えるなど、部分最適解にしかならなかったのです。
そこで、思い切ってクーポンも送料無料施策も完全に止め、導線やクリック率の改善も完全に止めました。すると、どうでしょう。
施策を止める前と比べて、売上も利益も下落しなかったのです。
売上増加のヒントは、客単価にあり!
ECの売上は、客単価×注文件数からなります。前述した通り、注文件数を上げるための施策はコストがかかる割に売上への影響が少なく投資対効果が見えづらいどころか、ブランド毀損の可能性もありました。
そこで、客単価を向上させる施策を考えることにしました。
過去の販売データを眺めるうちに、高い客単価帯の注文のうち、多くのケースで購入されている商品があることに気づきました。言い換えれば、客単価の向上に貢献する商品を見つけたということです。
そこで狙いを定めたい客単価帯を決め、どういう商品が主力として買われているか、どの商品と商品の組み合わせで買われているかを分析し、その客単価アップのきっかけとなりやすい商品をサイトで訴求するようにしました。
この施策を打つことで、客単価は見る見るうちに改善して約7,900円まで上がりました。客単価の向上に貢献する商品を見つけて販促を行うので、注文件数は同じでも売上と利益は増えるのです。加えて、今在庫がある商品の中から販促を行うので、在庫が過剰に増えることも防ぐことができます。
こうして、瀬川はなんとか3度目にして最大の倒産危機を乗り越えました。この経験から、FULL KAITENの単価向上機能が生まれました。
FULL KAITENで、どう客単価を上げていくのか、実際に体験してみたい方は、デモ体験をぜひ。
「自分と同じく在庫問題で苦しむ小売企業の力になりたい」再びB2B事業の道へ
3度の倒産危機を乗り越えたある日、瀬川はFULL KAITENの外販を決意します。きっかけは妻のひと言でした。
「自分が苦しみながら在庫問題を解決して、こんなに助かって、笑顔で暮らせるようになっているのに、ほかの人たちの役には立てないというわけ?このシステムを売ったらええやん」。
元々は「お客様の喜ぶ顔が直接見たい」という気持ちから、B2Bの事業へは見切りをつけたつもりでした。しかし、自身の経験から、小売企業における在庫問題の深刻さは痛いほどよく分かりました。
熟考の末、ついに在庫問題を解決するシステムとして販売を事業化することにしたのです。
「自身と同じように在庫問題で苦しみ、倒産する企業を一社でも多く救いたい。そしてそれができれば、大量廃棄問題という社会課題の解決に繋がるのではないか。」
現在、瀬川は根深い在庫問題を解決するため、FULL KAITENのサービスを広めることに使命感を持っています。そのことが愛する子孫が直面する大量廃棄という社会課題の解決に繋がることを信じて…。
(FULL KAITEN開発ストーリー編 完)
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( マーケティング 江崎百佳 )