小売業は管理会計的な視点が経営の要諦に。在庫分析クラウド「FULL KAITEN」瀬川の年末談話
既存在庫での売上・粗利・キャッシュフローの最大化を支援する在庫分析クラウド『FULL KAITEN』を開発し小売企業等に提供するフルカイテン株式会社(本社・大阪市福島区、代表取締役CEO 瀬川直寛)は、小売業界における2023年の動きを総括するとともに2024年から起きる変化を展望し、瀬川の談話として公表します。
2023年は原材料費の高騰や、2024年問題による物流費の高騰などのニュースもありましたが、原材料費も物流費もコストではなく投資へと意識を切り替える必要があります。
すなわち、小売業は原価に投資して付加価値を高め商品単価を上げるのが2024年に向けての方向性になることをまとめています。
本リリースの内容は、一報を頂ければ、記事等で瀬川のコメントとして自由に引用していただいて構いません。
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原材料費の高騰によって小売業にどのような影響があったか
初めに原材料費の高騰に関して話します。
原材料費の高騰は、来年以降も続く問題だと考えています。原材料費の高騰により商品の製造原価などが上昇するため、売価を変更したり商品単価を変更したりしない限りは、利幅が薄くなります。仮に増収できたとしても、増益に繋がるかという点で利益の出し方が非常に難しくなってきています。
このような厳しい市場環境の中で、重要なのは商品単価の値付けの部分です。今までと同じ商品単価の設定では、経営を成り立たせるような利益を取りづらく、いかに原料費の高騰による商品原価の高騰を商品単価に転化できるかが求められてきます。
次に2024年問題の話をします。財務会計では、物流費は販管費の中で見ることが多いと思いますが、売上に占める物流費比率が高まっている中で財務会計的に物流費を販管費で見てしまうと、いくら粗利が取れても営業利益が思ったより残らないという結果になってしまいます。
前述のように原材料費の高騰で商品原価も高騰しているわけですから、そもそもこれまでのような粗利を取ることすらままならないのが今の状況です。
物流費を販管費の中で見てしまうと、必然的に営業利益はこれまで以上に落ちていくのが必定だと思います。
2024年問題は2024年に限った話ではなく、この先日本でずっと続く問題になると考えています。ご存知の通り、日本は急速に高齢化が進んでおり、物流ドライバーの高齢化も進んでいます。働き手が減少するので、高い給料を出さないと働き手を確保するのは困難になります。ですので、これから何年にも渡って物流費は上がっていくはずです。
ますます営業利益を取るのが難しい時代が加速しているわけですから、どのように利益を稼ぐのかということに一層アンテナを立てないと、この3年から5年ほどのスパンで見ると経営に行き詰まってしまう小売業が増えてしまうのではないでしょうか。
物価高に対してダブルパンチのような形で物流費が高騰している為、小売業の経営は難しい時代に入ってきたと言えます。
小売業は管理会計的な視点を持つことがとても重要
商品原価や物流費に対して有効なのは、自社の利益構造を考え直すことです。
企業経営において、財務会計と管理会計という考え方がありますが、小売業の経営では管理会計的な視点を持つことが重要です。
財務会計:社外の利害関係者に経営状況を報告するための会計で、目的は公的な開示
管理会計:社内で経営に重要な指標を評価するために使う会計で、目的は経営判断
財務会計では、売上に連動するものは売上原価に入れ、そうではないものは販管費に入れるすみ分けになっています。
一方の管理会計は、その会社自身が自社の利益をどのように生み出していくかという観点で、何を販管費に入れるかや、何を原価に入れるかも考えて、経営を改善するために社内で取り組むものです。公に出すものではないので、自由に会計基準を決めることができます。
今の時代は管理会計の視点で、自社の利益構造がどうなっているかを捉えないと、利益を増やすことはできないと考えています。
現在、商品原価と物流費の両方が高騰していますが、これを管理会計的な視点で見てみることをお勧めします。
具体的に言うと、今は売上に対して商品原価と物流費の比率がどんどん上がっているので、商品原価も物流費も売上原価として捉える管理会計的な視点を持つ方が良いと思っています。
前述したように物流費まで売上原価に入れていくと、売上原価が増えるので更に粗利が取れなくなります。しかし、これくらい厳しい見方をしないと、利益の創出ができないくらい難しい時代になっていくでしょう。
このように管理会計を社内できちんと立ち上げると、明らかに商品単価を上げない限り営業利益は増えないことが分かるはずです。財務会計の視点で売上原価に商品原価を計上しているだけでは、仮に粗利を取れたとしても営業利益が取れなくなりますので、それに気づいた時にはもう手遅れということになりかねません。
管理会計の視点で売上原価に商品原価と物流費を組み込んで利益構造を見直しておけば、「このままでは営業利益が取れない」ということに計画段階で気づくことができますので先手を取ることができます。
このように、財務会計ではなく管理会計という観点を持つというところが重要です。
しかし、単に原材料費と物流費を加味して商品単価を値上げしても消費者はなかなか受け入れ難いと思いますので、どのように商品の付加価値を上げるかという視点に対して、小売業は社内の英知を結集する必要があります。実際に、これに成功した企業は2023年の決算で増益しています。
原材料費と物流費を売上原価の構成要素と考えて、 売上原価が高騰するなら商品単価を上げないと利益は創出できないことや、商品単価を上げるなら、商品の付加価値を今まで以上に作ることも実践しないと消費者に支持されることは難しいでしょう。
その上で、社内の英知をどこに結集するべきかや、商品の付加価値をどのようにつけるか考えていかないと戦えない時代が始まったということです。
非常に厳しい見方ですが、売上原価の中に物流費を入れて、管理会計で利益構造を作るのは必須です。
GMROIの改善が急務~2024年から起きる変化~
2024年の小売経営のキーワードは「GMROI(商品投下資本粗利益率)になると考えています。コロナ渦では、小売業の各社が今までよりも少ない在庫で利益を創出できるという経験を通じて、売上のトップラインを積むという考えから脱却できたのではないかと思います。
ですが、単に「在庫は少なければ少ないほど良い。」という考えはミスリードを起こします。重要なのは在庫あたりの粗利をどれだけ効率よく増やせるかということなので、単に在庫を減らすだけでは粗利の絶対額が減ってしまうからです。
実際に2023年上半期の決算を見ていると、増収している会社が多く、コロナ前と比較しても良い結果を出している会社が増えました。加えて、在庫高が微増で済んでいるという事実も決算から読み取ることができました。これは、コロナ渦の経験が生かされているということだと思います。
一方で、在庫あたりの粗利を表す指標であるGMROIの改善は、それほど進んでいないことが2023年の決算書から読み取れる実態です。
なぜGMROIが上がらないのかというと、管理会計の観点で、売上原価の中に商品原価だけではなく物流費も盛り込んだ上で自社の粗利をどう増やすかという考え方の転換を起こせていないからだと思います。多くの会社が増収しており、在庫高は微増なのに、GMROIが改善しないということは在庫あたりの粗利を生み出す効率が改善していないという事です。
このような状態では給与等の待遇改善や新たな商品開発への投資も難しくなります。
投資ができないと、恐らく数年以内に増収すら難しくなっていくでしょう。
2024年からの課題は、GMROIという指標を見て在庫あたりの粗利をいかに増やすことができるかということです。
そのために、管理会計の考え方を導入し、売上原価の中に商品原価と物流費を入れる必要があります。これにより管理会計上は粗利が減少しますが、粗利を稼ぐために商品単価をどれくらいに設定し、消費者に対してどのような付加価値を訴求すればよいのかを考えることがとるべき具体的なアクションになります。
>【お役立ち資料:GMROIを最大化する方法】をダウンロードする
2023年にGMROIを改善した企業の事例
弊社が発表したアパレル小売の決算をまとめた記事で注目したのが、ベビー・子ども服の企画販売事業などを手がける株式会社ナルミヤ・インターナショナル様です。円安や原料高といった対外的な要因で商品原価が高騰する中、無理に価格を維持して利幅を減らすのではなく、商品原価は投資対象だと捉え直して付加価値の高い商品を作り、今までよりも高い商品単価で販売することで粗利率を改善しています。
このような成功事例を参考にする上で、商品単価を何%上げたら営業利益にどれぐらいの影響が出てくるかと、商品原価を何%下げると仕入れ量がどれだけ増えてしまうのかをシミュレーションすることをおすすめします。
他には、値引きを減らすだけでもGMROIに良い影響が出ると思いますので、上記のシミュレーションと併せて値引きで失っている粗利は何円分あるかを計算することもおすすめします。値引きを何%か減らすだけで、増える営業利益は計り知れないことに気づくはずです。
参考:値上げが浸透し増収増益の企業続出|大手アパレル2023年3〜8月決算まとめ
GMROIを改善する具体的な方法は、商品単価の向上と値引きの抑制
GMROIを改善したければ、商品単価を上げること、滞留在庫による売上機会損失の抑制、値引きによる粗利機会損失の抑制が有効です。
商品単価を上げるためには、商品の付加価値をどのように作るか社内の英知を結集させて、付加価値の設計が必要になります。
次に、滞留在庫による売上機会損失を抑制するには、各店舗のSKUごとの基準在庫数を適正化する必要があります。そのために需要を読みながら店間移動や倉庫からのフォロー出荷数を適正化することが求められます。
2023年はこの分野に取り組んだ様々な業種の企業が1億円を超えるレベルの売上創出に成功しました。(弊社事例)
言い換えれば、それぐらいの規模で滞留による売上機会損失が起きているということですが、これを解消せずに放置するといずれ値引き対象になって粗利を失うわけです。
最後に、値引きによる粗利機会損失を抑制するには、SKUごとの在庫リスクを可視化する必要があります。そのために売上や粗利への貢献度合いや消化スピードの予測を駆使することが求められます。
最終的には、売上最大化、粗利最大化、消化最大化の3パターンの売価を品番やSKUごとに算出し、商売のタイミングに応じた適切な売価設定をする必要があります。
>【お役立ち資料:GMROIを最大化する方法】をダウンロードする
小売業の在庫を売上と利益に変えるFULL KAITENの提供価値とは
弊社が開発・提供している在庫分析システム「FULL KAITEN」は、滞留在庫による売上機会損失の抑制と値引きによる粗利機会損失の抑制を小売業のお客様に価値提供しています。
2023年は、この談話に記した課題にいち早く気づいて対策を取り始めたお客様を支援した一年でした。
2024年に向けてもこれらの提供価値をさらに進化させ、FULL KAITEN導入企業と社会課題に対する提供価値の最大化に社員一同より一層取り組んでまいります。
※本リリースの内容は、一報を頂ければ記事等で瀬川のコメントとして自由に引用していただいて構いません。
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→ PRTIMESでも公開しています
【会社概要】
社名: フルカイテン株式会社
URL: https://full-kaiten.com
本社: 大阪市福島区福島1-4-4 セントラル70 2階
設立: 2012年5月7日
代表者: 代表取締役CEO 瀬川直寛
【本件の問い合わせ先】
フルカイテン株式会社
戦略広報チーム 斉藤
電話: 06-6131-9388
Eメール: info@full-kaiten.com