在庫高が1億円減った!同時に粗利13%増を実現出来た秘訣は「全社の意識改革」
株式会社カイタックインターナショナル
カイタックグループで自社ブランドを中心にトレンドアパレルの製造から販売まで手がける株式会社カイタックインターナショナル。
同社で「グランマ ママ ドーター」や「カトー」などを運営するカイタックインターナショナルのチームキットカンパニー(社内カンパニー)において、FULL KAITENの導入も寄与し、在庫への意識が変わったことで約1億円分の在庫高を減らしました。全体の売上と利益も前年を上回っています。
今回は、チームキットカンパニーの井上ゼネラルマネージャーとディストリビューターの横山様にFULL KAITEN導入による定量成果や費用対効果、現場での活用法についても伺いました。
※本稿に含まれる情報は、2023年4月時点のものです。
「社員の在庫に対する意識の変化」や自社の施策が奏功し成果を創出
まずは、チームキットカンパニーの井上ゼネラルマネージャーに、責任者の声としてFULL KAITENによる定量成果や費用対効果について伺いました。
――定量成果として、在庫高が1億円減ったと伺いました。この数字をどのように実現したのか教えてください
井上 決して特別なことをしたわけではなく、FULL KAITENの導入をきっかけに社員が在庫を減らすためには、どうすれば良いかを考えるようになってくれました。
今期物も過去物も同じ在庫という意識で旧在庫の販売や、何より発注の精度を上げることに力を注ぐなど、FULL KAITENの機能以外の施策も相まって好結果につながったと考えます。
――売上と粗利も増えたのですか?
井上 はい。FULL KAITEN導入と同時にコロナ禍となり、売上的には苦戦を強いられましたが、2023年2月決算でコロナ前に対して売上105%、粗利113%でした。
――FULL KAITENの契約更新にあたり、投資に対して効果が上回ると考えた点を教えてください
井上 ディストリビュート業務自体の簡略化、精度UPに加えて、導入以降に数度行われたFULL KAITENのバージョンUPにより、売上等の分析機能が強化され、その貢献度も加味しました。
――FULL KAITENの契約更新にあたり、社内でどのような議論をしたか教えてください
井上 FULL KAITENによる店舗間移動では、全体在庫の効率化を追求するがために、全体の中の一部分である店舗によっては、モチベーションが下がる結果となることが悩みである事も事実です。そのため、FULL KAITENで出る結果をどのように解釈するかの議論になりました。他にも、在庫の効率化だけを追求しすぎると店舗のモチベーション維持が厳しくなる可能性があり、落としどころが難しいという議論をしました。全社的な発注の仕組みの見直しも必要だと感じています。
それでも契約更新に至ったのは、在庫の効率化(売上・粗利UP)の可能性があるからです。
――FULL KAITEN導入前や契約更新のタイミングで他のツールは検討されましたか
井上 FULL KAITENに代わるツールが無いので、考えませんでした。
――もし今FULL KAITENが無くなったらどうなると思いますか
井上 ディストリビュート担当者の能力に頼る部分が大きくなると同時に、そのことで企業としてはリスクも大きくなると考えます。
――FULL KAITENを活用して現在挑戦している事や今後挑戦したいことはありますか
井上 バージョンアップ後の機能を熟知したいと思います。
――FULL KAITENへのご要望(機能、支援)を教えてください
井上 機能が増えれば増えるだけ、簡単に誰にでも使えるというところから離れて行くように思うので少し不安でもあります。
永田 全体最適化の為に機能アップデートがされておりますが、カイタック様の業務に合う機能を中心にご紹介と、皆様がご活用頂けるようにご支援させて頂きますので、ご安心頂ければと思います。
――サポートチーム(永田)でお役に立てている点はありますか
井上 一所懸命に対応してくださるので、こちらの重い腰も上がる様になっているかと思います。永田さん、いつもありがとうございます。
永田 FULL KAITENで実施する新しい業務を社内業務へ浸透するよう社内調整をして頂いたり、お忙しい中ご対応頂いており、井上様・横山様には大変感謝しております。
FULL KAITEN活用法や成果を創出する現場の本音
ここからは、1億円分の在庫を減らしたチームキットカンパニーの現場ではどのようにFULL KAITENを活用しているかをディストリビューターの横山様に伺いました。
――FULL KAITENを使って行っている業務の詳細を教えてください
横山 FULL KAITEN上で実施することをルーティン化しています。
主にクオリティ分析を使って月に2回程度、シーズン品番の在庫移動をしています。具体的には、FULL KAITENがBetter在庫と判定した商品を売れている店舗に移動して、在庫消化を図っています。他にも、Best在庫と判定された商品をどこかの店舗に集約して販売(完売)を目指す施策やシーズン品とは別でフリー在庫を持っている定番商品も店舗に在庫フォローをしています。
店舗や倉庫の担当者に依頼して対象の商品を配送してもらう機会が多いので、事前に、いつ何を出荷するかや、指示書を出すタイミングなどを伝えてスケジューリングするように心掛けています。
――FULL KAITENの活用でどれくらい業務が効率化されましたか
横山 30分から60分かかっていたリスト作成が10分ほどに短縮したので、作業時間が3分の1以下になった印象です。今までは在庫を補充する店舗や、在庫の保有点数をエクセルにまとめてピボットにかけて、「この店舗に何をいくつ補充しようか…」と資料を作っていました。しかし今は、それらを瞬時に把握できるので、役立っています。
最近、FULL KAITENでCSVの出力した時に表示される項目が増えたので、自分でもカスタムしながら、欲しい情報を見つけやすくなりました。
――FULL KAITENを使って横山様やメンバーが助かったことがあれば教えてください
横山 一つ前の質問と類似しますが、手間と時間をかけずに瞬時に必要なデータを出せる点です。あとは、店舗が気付いていない欠品にも事前に気付くことができるので、機会損失も減らすことができました。
以前は、店舗がフォロー希望リストというExcelシートを使って店舗が必要な商品を記入する運用でした。店舗数も多いので、シートに従って本部も出荷指示を出していたのですが、欠品に気付いていないケースや余分な在庫出荷も起きていました。
最近は、ECチームとのミーティングでFULL KAITENの客単価分析を見ながら、狙うべき客単価層はいくらで、その客単価層の中にはどのような商品が含まれているのかをその場で共有できたことも役立ちました。
――FULL KAITENを一週間の中でどのように使用しているか教えてください
横山 毎週月曜日は朝一番でディストリビュート分析を使って補充すべき定番商品のリストアップをしています。あとは、2週間に一度クオリティ分析で商品移動などを行うべき商品をリストアップしています。火曜日以降は、月曜日に作成したリストを元に倉庫や店舗への依頼を行っています。
斉藤 ルーティン化するために、弊社カスタマーサクセスの永田と一緒に考えたのですか?
横山 はい。商品移動に関しては、永田さんの提案を受けて疑問点を相談しながら、どのように実務に落とし込むのが良いか一緒に考えました。最初は、店舗にも負担のない定番商品から試して、実績を見ることにしました。今も固定番商品を中心にFULL KAITENを使っています。
――FULL KAITENを習慣化出来る人と出来ない人の差は何だと思いますか
横山 「理解したい」や「興味がある」という気持ちがあるかどうかが大きいと思います。使ってみて「難しいのでよく分からない。」で終わってしまうと使用頻度が下がるかもしれませんね。
斉藤 横山様はFULL KAITENの使い方を理解するためにどのようなステップを踏みましたか?
横山 自分なりに色々とFULL KAITENを触って、疑問に思ったり納得ができない箇所があれば、都度カスタマーサクセスの永田さんに質問しました。 例えば、FULL KAITENの計算ロジックに関しても「何故こうなっているんですか?」と腹落ちするまで聞きました。自分の中で納得できないと、店舗や他の社員にも不信感を与えてしまうと思うので、きちんと理解を深めようとしました。
永田 横山様は納得するまで質問してくださって、そこからきちんとリストを作って在庫移動などの実務をしていらっしゃいます。そういったフローを組んでいらっしゃるのが凄いです。
――「これはイチオシ」「細かいことだけど便利」というオリジナルの使い方はありますか
横山 オリジナルかは分かりませんが、定番品の完売予測日を参考にして半期に一度オリジナル商品を発注しています。
例えば、2023年9月末までに必要な在庫を発注する際に、完売予測日が2023年9月以降になっている場合は発注を見送るといった簡単な使い方です。
――現段階でFULL KAITENは期待に応えられていると感じますか
横山 かなり役立っていて、毎週FULL KAITENを触っています。在庫の最低必要数量を見ることで、余剰在庫を持ちすぎないようになっています。せっかく導入しているので、活用して効果を出したいという自分の中の意識が変わりました。
斉藤 横山様の意識が変わったのはなぜですか?
横山 FULL KAITENを導入した際に「横山さんが中心になって使ってください!」と、井上ゼネラルマネージャーに任命されたからです。私が所属するチームキットが弊社グループの中でも初めての導入だったので分からないなりに使いながら効果を出したいと思いました。
斉藤 任命された時はどう思いましたか?
横山 面白そうなので頑張ってみようと思いました。
――もし今FULL KAITENが無くなったらどうなると思いますか
横山 作業負担がすごく増えると思います。今までFULL KAITENで行っていた業務を、FULL KAITENなしで実施すると資料作成に膨大な時間がかかると感じています。
初めの頃はFULL KAITENでCSVを出力する際に「これで合っているかな?」と確認する時間がかかっていましたが、今は慣れたので作業はとても早くなっています。
――FULL KAITENを活用して現在挑戦している事や今後挑戦したいことはありますか
横山 今はクオリティ分析とディストリビューター分析を活用をしていますが、分析後の効果検証はまだ使いこなせてない部分が多いです。 ですので、今後はもっと勉強して効果検証や広く機能を活用していきたいと思っています。今までは実店舗メインで使っていましたが、今後はECの分析ツールとしても役立てたいです。
斉藤 ECではどのような活用を想定されていますか?
横山 客単価分析を活用して、伸ばすべき客単価の層やその中身などの特徴もECチームとのミーティングで共有したいです。
あと、戦略ボードを使いこなせていないので、ECチームで決めた施策や実施している施策に対しての効果検証をするために、まずは施策の登録をしたいと思います。
戦略ボードは販売推移チャートの折れ線グラフや、自社で観測したい指標を追えるので分かりやすいです。自分だけではなく、ECチームなど他のメンバーに対しても視覚的に伝わりやすいと感じています。
斉藤 弊社カスタマーサクセスの永田はECに関して多くの知見があるので、今後の展開が楽しみです!
永田 はい!とても楽しみです。戦略ボードに「商品グループ比較」という新機能が追加されたので、そちらも活用頂きたいと思っております。
※「商品グループ比較」でできること
一定期間の販売実績を各種指標と比較することで、販売動向を立体的に把握できるようにし、課題を設定する。設定した課題の理想と現状を比較して、差分を埋める要素を決められるようにする。その要素に対して効果的な打ち手をクオリティ分析などで実行する。
――FULL KAITENへのご要望(機能、支援)を教えてください
横山 機能面では、分析期間を細かく設定できるようになると嬉しいです。今は前年同月となっていますが、〇月~〇月など月を設定して売上数や在庫数も確認できるようになれば更に使いやすいと思います。
そろそろ次のシーズンに向けた企画が始まるので、セレクト商品担当のバイヤーや企画部隊にもFULL KAITENで抽出したデータを共有する機会があります。その際に、FULL KAITEN上で期間を絞った売上数や在庫数も確認できると助かります。
支援の面では、永田さんには弊社の方で手が回っていない箇所をフォローして頂き、心から感謝しています。例えばFULL KAITEN上で登録した施策の振り返り資料の作成などです。
永田 ありがとうございます。様々なお客様を支援させて頂く中で、貴社に近い業態で効果検証を実施しているお客様もいらっしゃいます。その辺りを今後のミーティングで提案させて頂きたいです。
――担当カスタマーサクセス永田へのメッセージをお願いします
横山 永田さんは、FULL KAITENについて使い方や考え方を一から説明してくださって、どう使うのが弊社に合うか一緒に考え提案してくださいました。永田さんが一旦フルカイテンを離れた際に別の方が担当になった時期がありました。その後、永田さんがフルカイテンに戻られて、いつも熱心な支援をしてくださって助かるというのが率直なメッセージです。
永田 何だか恥ずかしいですけど、ありがとうございます!
斉藤 一旦弊社を離れたあと、また貴社のご担当になったのもご縁ですね。
取材後記
優しく丁寧に受け答えをしてくださったチームキットの皆さま。FULL KAITENが日々の業務や経営にも定着している様子が印象的でした。
最初、カイタック様を訪問した弊社代表の瀬川から「カイタック様の在庫高が1億円減った。FULL KAITENだけの成果ではないが、在庫への意識が高まったのが影響している」と聞いた時は思わず声が出るほど驚きました。在庫高を1億円も低減させることは並大抵のことではないからです。
取材では、FULL KAITENの導入により、社員の皆様の在庫に対する意識に変化があったことや、ディストリビューターの横山様と弊社カスタマーサクセスの永田との信頼関係が垣間見えるお話を伺うことができて嬉しくなりました。
今後も弊社一丸となり、お客様の成果に最大限貢献してまいります。