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オンラインセミナー「小売経営の『ビジネスモデル変革』最前線~人口が年100万人減少する需要消失時代を生き抜く~」を開催しました

フルカイテン株式会社は2020年8月25日、オンラインセミナー「小売経営の『ビジネスモデル変革』最前線~人口が年100万人減少する需要消失時代を生き抜く~」を開催しました。2025年以降、人口減少などにより到来する需要消失時代に求められる「粗利第一」経営へ変革するための5ステップを、代表・瀬川直寛がご説明しました。
セミナーには約70名の方にご参加いただきました。

※開催概要はこちら

以下に瀬川による講演の要約をご紹介します。

変革のキーワードは「粗利第一」

このたびの新型コロナウイルス危機では、たった3ヵ月のうちに需要が消失し、実店舗の固定費負担と在庫過多という経営破綻の2大要因が露わになりましたね。しかし、これはコロナ禍が収束するまでの一過性のものではありません。

2024年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、社会保障給付費が急増します。子の世代である団塊ジュニアは消費力が減退しており、今の九州と同程度の人口が減少する2030年に向けて需要消失は加速します。

つまり、コロナ危機は「2030年問題」の疑似体験だった、と考えないと手遅れになるということです。そして、変わるための期限は2024年です。

変革のキーワードは「PL脳」から「BS脳」への転換、つまり粗利第一です。それと変化に強い仕組みをつくることの2つです。

これらを実現するための理論が在庫実行管理、IEM(Inventory Execution Management)です。

ステップ1:商品原価は下げず値引き販売と評価損を抑制

本日は5つのステップを説明します。皆さんは順番通りでなしにどこから取りかかっても大丈夫です。

まずステップ1は「粗利第一」へ全社の意識を統一させることです。現在のような縮小市場で売上を追いかけるのはナンセンスだからです。

昔の拡大する市場では、売上が増えると粗利も増えていました。お客の奪い合いにならないからですね。ところが、縮小市場では売上を追うと原価率が上がり、粗利は減ってしまいます。お客の奪い合いで価格競争が起きやすいからです。

そうなると原価率が引き上がってしまうだけなのです。

また、コロナ禍では売れ残った棚卸資産をお金に換えられなくなりました。どうして在庫過多がいけないかを説明します。

上図の例では、売れ残った棚卸資産(5000円)は、粗利を圧迫することになります。どうしてかというと、在庫は毎年価値が下がるので、この目減り分は商品評価損としてPLの商品原価に加算され、粗利がどんどん失われるからです。

なので、PLの見かけだけの粗利だけをみるのではなく、BSの棚卸資産もちゃんと見ることが重要です。
そして売上高を見てください。値引きが多くなると売上高が思うように伸びません。そうなると原価率が引き上がりますね。

整理すると、粗利を決めているのは原価率であり、その構成要素は値引き、評価損、商品原価の3つです。このうち商品原価は付加価値の源泉です。それなのに、多くの企業が商品原価を下げよう下げようとしてしまいます。

背景には、原価=商品原価という誤解があります。この2つをイコールとみて商品原価を下げる弊害が、販売力を超える大量生産として現れるのです。
そうなると、他社と同質化した商品しか作れず、商品力は低下してしまいます。

ステップ1のまとめです。これから目指す姿は商品原価を下げるのではなく、評価損と値引き販売を防ぐことに尽きます。

ステップ2:少ない在庫で大きな粗利を追う経営指標

ステップ2は評価指標を変更することです。それはGMROI、商品投下資本粗利益率という指標です。平たく言うと、どれだけの在庫でどれだけの粗利を生み出したかを表します。

値引きと評価損が減れば、GMROIは増えていきます。経営者には各従業員の行動がどうGMROIの向上と結びつくかを明らかにし、理解させて全社でGMROIを追ってほしいと思います。

ステップ3:不良在庫を思い切って削減

GMROI向上へ避けて通れない道となるのが不良在庫の削減です。既に在庫リスクが悪化した商品が多く存在するでしょうから、在庫のぜい肉をそぎ落とすイメージですね。

そのために全在庫を3分類してリストを作り、リストに対して販促方針を決めます。
(※編注:詳細はFULL KAITENの消化率向上機能を参照)

ただし、不良在庫を削減して資金を取り戻す当初段階では、当然ながらGMROIは悪化します。しかし一次的な悪化は意図的なので気にする必要はありません。

ステップ4:GMROIを継続的に向上させるには

不良在庫の削減が軌道に乗ったら、過剰在庫に着目します。過剰在庫には隠れた実力商品が含まれています。

もともと「フル回転」だった商品でも、他の新商品の販促に注力することでだんだんと売れなくなっていきます。そして過剰在庫に落ちて放置されると不良在庫に転落するというのがよくある商品のライフサイクルです。
でも販売担当者は日々の売上を立てることに必死で、この事になかなか気付くことができません。

一方で、過剰在庫は「宝の山」です。販促すればまだまだプロパーで動く在庫です。なぜなら商品力はあるのに販促が手薄になって売れ行きが鈍っただけだからです。

なので、マークダウンする場合でもできるだけ小刻みにして無駄な利益を失わないようにします。

そして、販促実行のポイントは複数立案して同時並行することです。当たり外れがあるので知見を蓄積するのが重要です。販促を同時に走らせて成果が出てくると、今ある在庫で売上と粗利が伸び、だから在庫が減るという効果が得られます。
(※編注:詳細はFULL KAITENの消化率向上機能を参照)

2つ目のポイントは客単価です。売上高は、客単価 × 客数(注文数)の掛け算ですが、注文数や客数を増やすには莫大な広告予算が必要で、その余裕がある大資本は少ないでしょう。

これに対し、客単価はロジカルに、しかもほとんどコストをかけずに向上させることが可能です。

売上を客単価帯ごとに分布させると、狙うべき客単価帯が分かります。その客単価帯の売上増加に貢献する商品のうち、いま在庫がある商品の販促を強化すれば客単価は上がります。
(※編注:詳細はFULL KAITENの単価向上機能を参照)

ステップ4の3つ目は発注(仕入れ)に関することです。発注において、実はAIをもってしても抜群な精度での需要予測は困難です。どうしてかというと、予測の前提となる条件というのは様々に変化するので、いろんな変動要因や変化を予測させるだけの大量のデータセットが必要になります。ところが、そんなデータは存在しません。

つまり、条件がほんの少し変化するだけで結果が大きく変わってしまうのが需要予測の現状です。これは数学でカオス理論と呼ばれ、証明されていることです。

それでは、発注をどうすればいいのか。これだけ変化が多いのだから、変化に強い発注の仕組みをつくれば良いのです。

そのためには発注業務の負荷を下げ、発注頻度を上げることが必要です。それにより、1回の発注量を減らすことができます。

こうした多頻度・少量発注では、欠品も売れ残りも減ります。その結果、値引き販売や商品評価損を抑えることができるので粗利が増えるというわけです。

ステップ5:ゴールは3つのリブランディング

ステップ5はリブランディングで、これが本丸です。GMROIの向上ができてきたら、ぜひ着手してもらいたいことです。アパレル企業の皆さんが最も得意で、かつやりたいことであるはずです。

そのために、商品原価を上げてでも商品の付加価値を向上させましょう。他社との同質化を避け、クリエイティビティを活かし、付加価値に見合う上代設定をしてください。

2つ目のリブランディングは社員です。従業員は付加価値をお客さんに伝えるための重要な顧客接点です。待遇改善、教育、創造力を引き出すIT投資に粗利を充ててほしいと思います。

3つ目は店舗のリブランディングです。実店舗は付加価値をお客さんに伝える重要な拠点であり、単に在庫を置くだけの場所ではないからです。

最後に:変わるなら今しかない

熱が入ってしまいましたが、小売業は変わらないといけません、本当に。でも、私が商談等でこういう話をすると、お客さまからは「いやいや、そう簡単には…」と返ってくることが多いです。

でも「いま必要なことは何ですか」と聞き方を変えると、「変化だ」と返ってくるんですね。つまり、皆さん、心の中では「変わらないといけない」と分かっているんです。

きょうお話しした内容のベースにあるのは、人口減少問題です。人口動態は出生率や死亡率といったほぼ変動しないデータに基づいて算出されるので、現実はほぼ統計どおりになります。

弊社はFULL KAITENというクラウドサービスを使って皆さんのビジネスモデル変革をお手伝いしますので、需要消失時代に変革の一歩を踏み出したいという方は、是非お問い合わせいただきたいと思います。

フルカイテン株式会社は2020年9月10日(木)、Hamee株式会社と共同でECの“守り”と“攻め”両方の視点からDX推進のための考え方と手段を議論するオンラインセミナー「ECの利益率UP~人とシステムの業務仕分け 徹底議論」を開催します。

ぜひご参加ください。
申し込みはこちら

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