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ECモール×自社EC。それぞれの特性を生かした活用戦略とは|セミナーレポート

2023/4/13(木)に、オンラインセミナー「ECモール×自社EC|それぞれの特性を生かした活用戦略」を開催いたしました。

当日ご参加いただきました皆様に、御礼申し上げます。

本記事では、実際にMD業務を担当していたメンバーがセミナー内でお伝えした、自社ECとECモールで利益を上げるための以下2点についてご紹介致します。

  • 品揃えの勝ちパターン
  • 適正品番数の考え方

登壇者:永田 舞(フルカイテン株式会社カスタマーサクセス)

新卒より約5年間コレクションブランドの販売員を経験後、アパレルブランドでMDやEC運営/企画に従事。
その後、大手スポーツアパレルにてモール出店の担当・運営からMD予算の計画など幅広く業務に携わる。
現在は、フルカイテン株式会社カスタマーサクセスチームに所属し、第一線で顧客支援を行う。

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ECモール×自社ECで利益を上げる考え方

永田:まず、改めてECモールと自社ECの違いを理解しましょう。

ECモールの最大のメリットは、集客力があることです。そのため、新規獲得や短期的な売上を上げたい時に最適です。

しかしコンテンツの自由度は低く、出店料や手数料が取られるため利益率が低くなります。

一方で自社ECはコンテンツの自由度が高いため、ブランディングを行いやすいのが特徴です。また登録されている顧客名簿を活用しターゲットに合わせてアプローチができるため、リピート顧客を作りやすいのも特徴です。

しかしECモールと違い具体的な欲求がないと来店してくれないため、新規獲得のハードルは高いことがデメリットとして挙げられます。

※自社ECとECモールの違いについては、以下の記事でも詳しく解説しております。
自社ECとECモールの違いとは?特徴を理解してECサイトで利益UP!

このように明確な違いがあるECモールと自社ECですが、現在のEC市場では脱ECモールを考えている企業が増えています。

2020年の新型コロナでは店舗を閉店せざるを得ない状況下にあったため、各ECモールへ出店する企業が急増しました。一方で新型コロナが落ち着いた現在は、利益率の低いECモールを撤退し、自社ECを中心とした運用に移行する企業が増えています。

しかし、脱ECモールをするだけでは運用の手間が減る事以外にメリットがないため、自社の利益には大きく貢献しません。

上述の通り、自社ECとECモールでは明確にメリットデメリットが違うため、ECで利益を上げるためにはこの2つのサイトの特性を理解して活用することが重要になります。

今回はそれぞれの特性に応じた品揃えの勝ちパターンと適正品番数の考え方について解説します。

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品揃えの勝ちパターン

永田:まず利益を上げるためには、ECモールと自社ECで品揃えを変えることが重要です。

ECモールの勝ちパターン

永田:まずはECモールの勝ちパターンについてです。上述の通り、ECモールの強みは集客力のため、新規を増やせるように活用していくことが重要です。

そして新規を増やすためには、ブランドのアイコンとなるような定番商品やトレンド商品、低単価品番を中心に展開し、新規が購入しやすい状態を作っていく必要があります。

売上を上げたいがために全商品を展開している企業をよく見かけますが、ECモールではコンテンツ等で打ち出し強化をすることができないため、全商品を展開していても新規のお客様は何を購入して良いか分からず離脱に繋がってしまいます。

私は前職でスポーツブランドのECを担当していたのですが、私が担当していたモールでは初心者向けから中級者向けの商品を展開し、上級者向けの商品はあえて展開しておりませんでした。

ECモールでブランドを見つけてくれた新規には、まず使ってみたいと思っていただけるよう購入ハードルの低い商品を展開し、ブランドの良さを感じていただくことを重要視するためです。

購入に繋がった新規顧客がリピート顧客になる頃には、もっとこのブランドの商品が欲しいという状態になっているため、その状態になった顧客を自社ECに繋げて上級者向けの商品を購入してもらうという流れを前職で作っておりました。

このように、せっかくブランドを見つけてくれても、すぐに離脱されてしまってはブランドの魅力も伝わらず購入にも繋がらないため、ECモールでは打ち出す品番を絞る決断が必要になるのです。

自社ECの勝ちパターン

永田:次は自社ECの勝ちパターンです。自社ECには新規からリピート顧客まで幅広く来店されるため、当たり前ですが全商品を揃えておく必要があります。

しかし、全商品をただ展開すれば良いという訳ではなく、誰に向けて打ち出しをするかを明確にすることが重要です。

例えば、新規には強化品番(トレンド商品)や定番品番、低価格品番を打ち出す。リピート顧客に対しては、高単価品番やインポート商品、限定品を打ち出すなど「誰に・何を」を明確にしコンテンツで訴求していきましょう。

ECモールで獲得した新規には、モールとは違う価値を、ブランドをよく知っている顧客には、更なる魅力を感じて頂けるのが自社ECだと考えています。

そのため、誰に打ち出すのかを明確にして訴求することで自社ECの強みを活かすことができるのです。

ここまでECモールと自社ECの品揃えの勝ちパターンをお伝えさせて頂きました。品揃えを変えたあとは、展開する商品の適正品番について考える必要があります。

適正品番数の考え方

永田:先ほど自社ECは全商品を展開する必要があるとお伝えしました。そのため、適正品番数を考えるべきはECモールの方になります。

ECモールでも限りなく商品を展開することができますが、展開商品が多ければ売上に繋がるという訳ではありません。

自社ECと違いECモールでは特定の品番をコンテンツで打ち出し強化するということができないため、商品が多ければ多いほどお客様にとっては何を買って良いかわからない、選べないということが起きます。

そのため品番数を整理して展開をすることで、ブランドの魅力が伝わる商品を見つけてもらえる確率が上がり、この中から選びたいというようなワクワク感も与えることができます。

このような適正品番数を考える上で重要なのが、「FKU数(※)」になります。
※実際に店頭に出すSKU(品番+カラー)

適正品番数を導き出す「3ステップ」

永田:ECモールにおいては、この限られた場所でいかに1FKUあたりの売上を上げるかが重要なため、1FKUを使って適正品番数を導き出す3ステップを次からお伝えします。

  1. 1FKUでどれくらいの売上を取れているかを確認する
  2. 昨年の実績と比較し、FKU効率(※)が高いか低いか検証する
  3. 売れていないFKUの展開をやめるか、継続するか判断する

(※)1FKUの売上高

ステップ1:1FKUでどれくらいの売上を取れているかを確認する

永田:まずは、現時点で1FKUあたりどのくらいの売上が取れているのかを確認しましょう。1FKUあたりの売上高をFKU効率といい、売上/月÷FKU数で算出します。

例えば上図にあるAモール、Bモール、Cモールは、売上高は全て同じですがそれぞれFKU数が違います。つまり、Aモールでは少ないFKU数で多くの売上を取れている状態。Cモールは多くのFKU数を展開していますが、Aモールと同じ売上で効率が悪いと捉えることができます。

AモールとCモールのどちらの状態が良いか、答えは明白だと思いますが、このFKU効率をチェック指標にすることでFKU数が適正か否かの判断を行うことが可能になるのです。

ステップ2:昨年の実績と比較し、FKU効率が高いか低いか検証する

永田:ステップ2では、ステップ1で算出したFKU効率が良いか悪いかを判断します。検証方法としてはとても簡単です。昨年のFKU効率に対して、今年のFKU効率が改善しているか悪化しているかを確認します。

上図の例でいきますと、23年3月は昨年より売上高が落ち、さらにFKU効率も下がっています。

FKU数を増やす際は売上向上を目的とすることが多いですが、上図の場合、FKU効率が悪化しているため売れていないFKUが増えていることが分かります。そのため、FKU数を見直すという判断が必要になるのです。

ステップ3:売れていないFKUの展開をやめるか、継続するか判断する

永田:最後は、FKU数の見直し方です。FKU数を見直す場合は、売れていないFKUを継続するか、展開をやめるかの判断を行います。

継続する際は、まずPV数とCVR(コンバージョン率)を確認しましょう。

PV数が少ない場合はそもそもお客様に見られていないと考えることができます。そのため、並び順を変更しPV数を改善していきます。

CVRが少ない場合は、掲載画像がお客様の購買意欲を沸かせるものではない。または価格が適正ではない可能性があるため、画像の差し替えや売価変更を行います。

上記のような改善を行ってもFKU効率が上がらない場合は、FKU数を減らす判断が必要です。

FULL KAITENを使ったアクション

永田:それでは適正品番数を算出した後にFULL KAITENを使ってできることをご紹介します。

FULL KAITENでは在庫の質を4つに分類し、どの在庫でどの施策を行えば良いか視覚的に考えることが可能になります。AIを活用し販売予測を行っているため、未来の在庫状況がわかることも特徴の1つです。

このAIを使った在庫評価を活用することで、3ステップで導き出した適正品番数の中からさらに打ち出すべき商品を見つけることができます。

上図にある、露出強化と緑で囲っている部分に注目してください。この部分は売上上位品になると予測されていますが、在庫数が多く消化基準日までには消化できない在庫です。

売上上位品になると予測されているにも関わらず期日までに消化し切れないということは、表示順が後ろになっており埋もれている可能性が高いと考えられます。

人目に触れる機会が少なく、先ほどお話ししたFKU効率も低い在庫に関しては打ち出し強化をすることで、全体の売上を牽引してくれる在庫に変身してくれます。FULL KAITENを使うことで、このような在庫をクリックだけで見つけ出し、利益改善に繋げることが可能になるのです。

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Q&A

Q1.自社ECとECモールで統一すべき点は何でしょうか?

永田:ECモールと自社ECではバナーを統一する必要があると思っております。もちろん皆様されているかと思いますが、ECモールと自社ECで違うバナーを掲載してしまっては、新規のお客様がに同じブランドと認識されない場合が出てきます。

大切なのことはECモールで獲得した新規顧客が自社ECへスムーズに辿り着けるようにすることのため、バナーは統一すべきだと考えております。

Q2.FKU数を増やす場合は、どういう考え方をすれば良いでしょうか?

永田:FKU数を増やす場合は、昨年同月のFKU効率を確認して効率が上がっていればFKU数を追加するという考え方ができます。

また、当月のFKU効率以上に在庫金額があるFKUを追加することが基本になります。そもそも在庫がなければ、あまり売上にならずに売り切れてFKU効率を下げる原因になるため、在庫金額が算出したFKU効率以上のものを追加しましょう。

Q3.ECモールの場合、カテゴリや詳細検索に引っ掛かりやすいように多くの商品を入れたほうが良いと思っておりました。展開商品を絞るとそのブランドを見られる機会が減ると思うのですが、絞った方が良いのでしょうか?

永田:確かに多くの商品を展開した方が、カテゴリー検索などに引っかかる可能性が高いと考えられます。

しかし、詳細検索で絞り込みをしたとしても、ブランドを見つけてもらった時に商品が多すぎると何を選んだら良いかが分かりにくくなるため、ブランドとして見てもらいたい商品はしっかりと展開し、適正品番に近づけていくことは必要だと思っています。

Q4.新規でECモール出店する場合(過去実績の分析ができない場合)は、適正品番数はどのように考えたら良いでしょうか?

永田:過去の実績がないため、適正品番を比較する部分は正直難しいです。そのため1年目は昨年実績ではなく、前月実績で比較するのが良いかと思います。

Q5.取扱商品数が少ない場合は、モールでの展開商品の選定はどのようにしたら良いでしょうか?

永田:展開商品が1ページ以内に全て収まるのであれば、商品全てを展開して良いと考えています。

しかしその展開商品の中に新規や顧客向けの商品が混ざっている場合、統一感が出てこなくなってしまうため、上位には新規向けの商品を固める。下位には顧客向けの商品を固めるなど表示順を変更して頂く必要があるかと思います。

Q6.ZOZOTOWNなど、商品登録の自由度の低いモールでもこの手法は有効でしょうか?

永田:ZOZOTOWNさんのような自由度が低いモールに関しては、並び替えを有効活用していただければと思います。

自由度が低いモールの場合、自社でコンテンツを出して打ち出し強化を行うことができないため、打ち出し強化品番を上位表示させることで、お客様に見つけてもらいやすくなります。

実際にFULL KAITENを導入頂いているお客様の中では、並び順を変更することで売上262%アップした事例もございます。

自社ECのVMD変更だけで売上262%アップした方法とは?|成果へ導いた本人が徹底解説>

Q7.自社ECとECモールで価格を変えることは良いでしょうか?またどちらを安くした方が良いか教えてください。

永田:確かに自社ECとECモールで価格を変えているお客様は多くいらっしゃいます。どちらを安くしたほうが良いかはお客様の考え方によりますが、自社ECの方でプロパー販売を強化しているケースが多いかと思います。

自社ECの場合はブランディングが非常に重要になりますので、プロパー販売を徹底しているお客様が多く見受けられます。安くしなければ売れなくなっている商品については、ECモールに集約し、新規獲得に使っているケースもございます。

Q8.モールにて在庫が自社と一元化されている場合、FKU数を減らすメリットが分かりづらく、売上が下がるのではないかと怖いです。

永田:先ほども申し上げた通り、確かにFKU数が多いほどお客様の目に触れる機会が高くなるため、売上に繋がる可能性が高いと考えることもできます。

しかし商品が多くなるほどページ数も同時に増えます。この場合、プロパー商品でも欲しいという強い購買意欲がなければ、最後のページまで見られる確率はかなり低くなります。

最後のページまで見て頂かなくても検索で探せるじゃないかという声もあるかと思いますが、検索で絞り込んだとしても商品が多ければ意味がありません。

そのため、売上が取れていないFKUについては展開する意味があるのかをもう一度考えて頂く必要があると考えています。

Q9.FKU効率が下がっても売上増であればそちらの方が良いと考えていますが、間違っていますでしょうか?

永田:売上高を重視される場合なら、FKU効率が下がったとしても売上が上がったなら良いと判断するのも良いと思います。

しかし1FKUあたりの売上自体は下がっている状態なので、下がった部分についてはPV数やCVRを確認しつつ改善する必要があるかと思います。

Q10.近年、自社ECでも全品番展開することを見直しているという話をよく聞きます。自社EC比率を伸ばすために全品番を展開するメリットはどういった部分でしょうか?

永田:例えば店舗で見た商品が後になって欲しくなり自社ECに来店されるケースもあるかと思います。そういった際にECには置いていないという状態になると、機会損失になるほか、「公式サイトなのになぜ商品が展開されていないのか」という懸念を与えかねません。

さらに自社ECであればコンテンツの自由度も高くなりますので、特集ページや絞り込みの条件を豊富にして、見やすく買いやすい自社ECを目指すことが良いのではないかと考えております。

Q11.自社ECとモールで同じ商品を展開している場合、自社ECの方で購入してもらうメリットを作るためにはどうすれば良いでしょうか?現状、自社ECの方が安いという訴求しかできておりません。

永田:やはり、自社ECはコンテンツの自由度が高いという利点を生かすのが良いと思います。例え同じ商品だとしても、自社ECの方が具体的に商品説明を記載できたり、コーディネートも自由に掲載ができます。

このように、コンテンツを使って付加価値をつけることが、自社ECで購入するメリットにも繋がってくるのではないかと思います。

在庫を利益に変えるクラウド『FULL KAITEN』

FULL KAITENでは在庫データを活用して、EC・店舗・倉庫、全ての在庫をAIを用いて予測・分析し、商品力はあるのに眠っている在庫を明らかにします。商品力を可視化することにより、利益を生み出す在庫とその施策を立てることが可能になります。


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