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滞留在庫を削減する方法とは|大量SKUにおける利益改善の方法を解説【セミナーレポート】

2023/2/16(木)に、オンラインセミナー「大量SKUの在庫管理における”利益改善の勝ちパターン”」を開催いたしました。

当日ご参加いただきました皆様に、御礼申し上げます。

本記事では、セミナーで弊社カスタマーサクセス 責任者 田中が語った、大量SKUの在庫管理における利益改善の方法についてご紹介致します。

滞留品を減らして売上粗利を向上させる方法をまとめた資料はこちら>

登壇者:田中 大介(フルカイテン株式会社カスタマーサクセス 責任者)

新卒でアクセンチュア株式会社に入社。大手アパレル企業を中心にMD、DB、店舗運営の領域にて様々な業務改革/DX推進プロジェクトに従事。
その後、ロクシタンジャポン株式会社にて店舗運営統括責任者、株式会社カインズにて経営戦略室マネージャーを経て、フルカイテンにジョイン。幅広い業界知識とプロジェクト経験を活かして、多くの顧客を支援中。カスタマーサクセス責任者。

定番品販売で気をつけるべきポイント

田中:下記のような課題は、実際に支援をしている企業様からお伺いしたものです。定番商品を扱っている企業の皆様も、同じような悩みを抱えているのではないでしょうか?

  • SKUが多く全てを管理しきれない
  • 在庫管理が属人的で、Excel職人がいないと在庫データが見えない
  • 滞留在庫があるのは分かるが、どこから手をつけていいか分からない
  • 滞留在庫に対する打ち手が少ない(値引き、売場変更不可等)
  • 滞留在庫をキャッシュに変えられず、仕入れが十分にできない

今回は、このような課題認識がある中で気をつけるべきポイントをお伝えします。

「置いておけばいつか売れる」を改めることが必要

田中:利益改善へのアクションをお伝えする前に、まずは今までの考え方を改める必要があります。皆さんは定番商品を販売している中で、以下のような考え方をしていませんか?

  • 在庫は回転していないが、置いておけばいつか売れる
  • 売れていないが品揃えとして必要

この考え方はもちろん間違ってはいません。しかし「置いておけばいつか売れる」という考え方の裏側には以下のようなコストが隠されており、これらを踏まえて滞留している在庫は本当に必要なのかを考える必要があります。

  • 在庫を倉庫や店舗に置くための保管料
  • 在庫を扱うための人件費
  • 滞留在庫を保管し続けることによる販売機会ロス
  • 滞留在庫を保管し続けることによる評価損

先日、とある支援先の社長様とFULL KAITENの画面を見ながら滞留在庫について議論した際に「品揃えとして必要だと思っていたが、滞留しているから思い切って切り捨てなきゃいけないのかね。」と相談頂いたのがとても印象的でした。

このように、滞留在庫に対する考え方や、そもそもの品揃え(商品構成)自体の見直しも必要になるなと思ってます。

利益を生み出せないSKUの割合を減らすことが利益改善への道

田中:以前アパレル・ライフスタイル34社を対象に利益構造を調査した結果、全SKUの約2割で約8割の粗利を稼いでいることがわかりました。

2:8の法則から脱却する方法についての記事はこちら>

しかし、8割のSKUが粗利を生み出せないわけではありません。利益を生み出せないSKUの割合を減らすことが利益改善への道なのです。

在庫コントロールの3つの要素

ここからは、利益改善を行う上で必要な在庫コントロールの3つの要素をお伝えします。

①滞留在庫の消化促進してキャッシュを作る

田中:在庫コントロールを行う上では、滞留在庫を消化してキャッシュを生み出すことが重要です。

滞留在庫の消化が中々進まない背景として、粗利率を気にしているケースがよく見受けられます。このような場合、滞留在庫への打ち手として値引きをすることも多いかと思いますが、値引きをすれば粗利率を毀損することになります。

この中でしっかりとコントロールできているなと感じる企業様は、粗利率ではなく粗利額を確保する方針をとっています。

特に今は為替の影響と原材料費高騰で利益率は取りにくくなっています。消化と粗利率はトレードオフの関係(※)にあり、率に固執しすぎると在庫が滞留しがちになるため、追うべき指標も切り替える判断が必要です。

※両立できない関係性を指す言葉

②売れる定番商品をリピート発注して売上粗利のベースを作る

田中:2番目に必要な要素は、売れる定番商品をリピート発注し、売上粗利のベースを作ることです。

当たり前ですが売れる商品・売れていない商品があるため、定番商品だからとりあえずリピート発注するという考えでは滞留在庫を生み出す原因になります。そのため、売れる商品を見極めて欠品させないことが重要です。

③新商品の開発・投入をし売り場の鮮度を保つ

田中:3つ目の要素は、新商品の開発・投入をし、売り場の鮮度を保つことです。この部分がブランドの真価が問われる部分だと思っています。

新商品を投入することで売り場の鮮度を保つことができ、お客様に楽しんでいただける仕組みを作ることができます。この仕組みが出来上がることで、売上粗利をさらに引き上げることが可能になります。

この3つの要素を当たり前だと思う方もいるかもしれません。ここで最も大事なのは、3つの要素がバランスよく実行されているかです。

「滞留在庫の消化促進」「定番商品のリピート発注」「新商品の開発・投入」を偏りなく、バランスよく実行するのが勝ちパターンになります。

利益改善に向けたアクション

田中:ここからは具体的なアクションをお伝えします。

①在庫目標の設定

田中:一つ目のアクションは、在庫目標の設定です。設定されている企業が多いかとは思いますが、在庫目標がないと在庫が膨らみがちになってしまいます。

目標の立て方に関しては、まずは年間の在庫回転率目標から算出しましょう。そして、売上予算から在庫目標金額を立てることが大切です。また事業全体ではなくカテゴリー単位で立てるのが理想です。

目標設定できると、現状と目標との乖離が見えてくるかと思います。この乖離をどう埋めるのか?どう減らしていくのか?を戦略立てるのがファーストステップになります。

②滞留在庫の特定

田中:このような目標を立てると、必ず過剰と判定される在庫が発生します。そして、過剰と判定された在庫を減らすためには、滞留在庫を特定して消化促進することが必要になります。

これを特定するためには、品番やSKUごとの在庫回転率または日数(週数)を算出し、○回転以下(在庫日数○○以上)なら滞留在庫とすると定義付けをすることが大事になります。ここが曖昧では戦略的に在庫を減らしていくことはできません。

そして、実際に消化プランの立案と実行をしましょう。

③商品ライフサイクルの構築

田中:3つ目のアクションは、商品ライフサイクルの構築です。商品ライフサイクルとは商品の投入から完売までのプロセスを指し、この期間を何年にするかを決めることが重要です。

商品ライフサイクルについてはこちらの記事でも解説しています>

新商品が投入された後、定番になる道とそのまま売り切りになる道があります。(上図参照)定番化になった場合はリピート発注していきますが、どこかのタイミングで非定番に改廃していくこともあるかと思います。

改廃になった場合、終売までの各アクションをいつ・誰が・どんな基準で判断するのかを予めルール化しましょう。ルール化されることで、誰もが同じ水準で在庫コントロールができていくため、属人化の解消にも繋がります。

【大量SKUの在庫管理でお困りの方向け】利益改善のためのテンプレートはこちら>

実行における3ステップ

田中:ここまで利益改善に向けた3つのアクションをお話ししました。では、現場で実行するとなった時に気をつけるべき3つのポイントをお伝えします。

1つ目は、今までの話をメンバーレベルまで落とし込むことです。在庫課題は一筋縄ではいかないものであり、ただ指示をするだけでは解決できません。そのため、メンバーレベルまで在庫課題を落とし込み、全社で取り組んでいくことが大切です。

2つ目は、関係者が少ない施策から徐々に実施していき成果を積み上げることです。ここくらいまではExcelで頑張ってできるレベルだと思いますので、どんどん実施してください。

最後は、在庫管理は在庫拠点ごと(店舗ごと)に管理していくことです。各店舗ごとに売れ方も違えば在庫の持ち方も違うため、これらを踏まえて店舗ごとの消化プランを作ることが理想になります。

FULL KAITENで効率的に

田中:FULL KAITENを使って、今までお伝えした内容をどう実行するかご紹介します。

FULL KAITENでは在庫の質を4つに分類し、どの在庫でどの施策を行えば良いか視覚的に考えることが可能になります。AIを活用し販売予測を行っているため、未来の在庫状況がわかることも特徴の1つです。

例えばFULL KAITENで2024年1月末を基準とした場合、2024年1月末の在庫状況を可視化することができます。(上図参照)先ほど、SKUや品番ごとに在庫回転率を算出して滞留在庫を特定するとお伝えしましたが、FULL KAITENを使えば一瞬で特定することができます。

また、滞留在庫の特定以外にもVMDやメルマガで販促強化するべき在庫やリピート発注するべき商品の特定も可能です。

製品資料のダウンロードはこちら>

Q&A 

Q1.FULL KAITENの支援は取り扱っている業界や商材によって違いはあるか?

田中:違いはありますが、根本の考え方は全て共通して今日お話しした内容になります。ただ商材によって販売期間が違ってくるため、施策を実行する際の品番選定の考え方は変わります。

Q2.FULL KAITENで、ECの予約商材を取り扱うことは可能ですか?

田中:基本的にFULL KAITENでは売上・在庫データを連携していただいています。その際に予約情報も一緒に連携頂ければ、分析することも可能です。

在庫を利益に変えるクラウド『FULL KAITEN』

FULL KAITENでは在庫データを活用して、EC・店舗・倉庫、全ての在庫をAIを用いて予測・分析し、商品力はあるのに眠っている在庫を明らかにします。商品力を可視化することにより、利益を生み出す在庫とその施策を立てることが可能になります。


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