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小売でもリスキリングが絶対に必要な理由

〈大人の学び直し〉が注目を集めています。個々人がどういったスキルを学び、どのようにビジネスに活用すればいいのか、企業と従業員それぞれが考えるようになったと言えるでしょう。

本記事ではリスキリングの現在と未来について考えてみます。

リスキリングとは

リスキリングとは、業務を行う上で新たに必要なスキルを習得したり、更なるスキルアップをすることを指します。

岸田政権が2022年10月、「リスキリング」支援に5年間で1兆円の予算を投じることを表明し話題になりましたが、注目された背景としてはDX化が求められていることが挙げられます。

人口縮小により各業界でデジタル技術の活用が進んでいますが、そのデジタル技術を活用できる人材が育成できていないという課題もあります。そのため、リスキリングは単なるスキルアップという意味ではなく「デジタル技術を習得し、新たな価値を生み出す」という意味合いを強く持ちます。

(DX化については改めて後述します。)

大人になっても「学び直し」は必要

リスキリングについて、興味深いアンケート結果があります。ヤフーがYahoo! JAPANにて2022年12月に5,000人を対象に実施した調査です。これによると、「リスキリング」という言葉を聞いたことがある割合は36%にとどまりました(グラフ1)。

出典:ヤフー公表のアンケート結果を基に筆者作成

しかし、全体の68%は「今の仕事に不安や不満がある」と答えています(グラフ2)。

出典:ヤフー公表のアンケート結果を基に筆者作成

現在就いている仕事に不満や不安があるのであれば、自分で学び直すなどして能動的に打破しようとする努力が必要だと筆者は思うのですが、このアンケート結果からは、学び直しや自学自習を念頭に置く人の割合は小さいことが窺え、複雑な心境になりました。

グラフ2の設問(今の仕事に対する不安や不満はありますか?)に「ある」と答えた人に具体的な不満・不安について聞いた結果の上位がグラフ3です(複数回答)。

出典:ヤフー公表のアンケート結果を基に筆者作成

「給料が安い」「体力面での不安」という待遇面の不満・不安が上位に入っています。また、専門スキルに対する悩みは7%の人が挙げています。

リスキリングと日本社会の関係については、ヤフーとLINEを傘下にもつZホールディングスの企業内大学「Zアカデミア」の伊藤羊一学長(武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長)の言葉が象徴的ですので、引用します。

日本の会社は学びに関する投資も少ないし、社員側も学ぼうという意識が低い。そういう風潮自体が致命的だと感じています。素振りしないで試合に出場するプロ野球選手はいないし、アプローチの練習をしないで出場するゴルファーもいないわけですよね。それはスポーツの世界に限ったことではなく、ビジネスの世界でも同じです。

出典:2023/1/27 報道関係者向けのリスキリング説明会(Zホールディングス主催)レポート記事

小売においてもDXとリスキリングは切り離せない

では、小売企業および小売で働く人たちにとって求められるリスキリングとはどのようなものなのでしょうか。多くの関係者が挙げているのが、DX(デジタル・トランスフォーメーション)とセットで考えるということです。

アパレルDXを徹底解説した記事はこちら>

小売は他産業と比較して生産性が低い(時間当たりの付加価値が小さい)と言われて久しいです。また、人手不足が折からのコロナ禍で加速し、人材獲得をめぐる競争が激しくなっており、DXによる生産性向上は喫緊の課題です。

つまり、従業員としても企業が推進するDXに適応することで収益改善に貢献できるようにならなければ、賃上げの獲得や給料アップという果実を享受できなくなっているのです。

リクルートワークス研究所の機関誌『Works』元編集長、石原直子氏はかねてより1+3のリスキリングが重要と説いています。

  • 経営者のリスキリング
  • 従業員のリスキリング
    • 使いこなしのリスキリング
    • 変化創造のリスキリング
    • 仕事転換のリスキリング

最重要なのは「経営者のリスキリング」でしょう。リスキリングはDXに乗り遅れがちな人ほど必要なことです。デジタルを若手や現場に任せっ放しという状態は危険です。

そもそも経営者の明確で強い意思がなければDXを進めることはできませんし、従業員の心をリスキリングへ駆り立てるのは経営者のリーダーシップをおいて他にありません。

他方で、従業員が自発的にデジタル活用によって課題を解決したり企画を提案したりできるようになれば、現場主導で多くの良い変化が生まれてきます。自身のスキルをただ高めるだけでなく、目の前にある課題をDXを通して解決するという視点を持てば、会社に変化と価値をもたらす個人へと成長できるでしょう。

ただし、これは経営者が従業員にリスキリングのための時間的、精神的な余裕を与えることが大前提となります。

労働環境やITに投資できず、業務負荷が高いままの企業では業務が属人化するとともに従業員のスキルの再現性が向上せず、その企業でしか通用しないスキルばかり身に付くことになりがちです。そういった環境は確実に敬遠されます。

従業員が日常業務と並行してリスキリングを継続するには働き方改革の実践が必要不可欠です。

リスキリングが販売スキルを増幅させる

小売業の中でもアパレルの世界においてDXとリスキリングを成功させている事例として有名なのが、バニッシュ・スタンダードが提供するアプリ『STAFF START』でしょう。

STAFF STARTは、自社ECサイトにおけるオンライン接客のためのサービスで、店舗スタッフがコーディネート画像や動画の投稿を通じて顧客に接客を行い、その売上や業績への貢献度を可視化します。

小売の販売員、特にアパレルの店舗スタッフは会話や人との触れ合いが好きで、接客が得意な人が多いと思います。顧客のニーズを汲み取り、購買行動という価値を提供する実店舗での接客行為には高いスキルが求められます。

今後OMOが進むアパレルにおいて、オンラインでの接客スキルが負けず劣らず重要になるのは論をまたないでしょう。店舗スタッフの接客力をオンラインに横展開するアプリを使いこなす能力を身に付けることは、大きなリスキリングと言えます。

STAFF STARTを導入するブランドは急増しており、2021年9月~2022年8月の流通経由売上高は前期比20%増の1529億円になっています。各ブランドの店舗スタッフ日本一を決める「スタッフオブザイヤー」表彰もおなじみになりました。

実は弊社フルカイテンは2022年5月に、STAFF STARTを運営するバニッシュ・スタンダードとともにウェビナーを共催しています。

  • 競争が激化するECで売上が伸びない
  • プロパー消化率が悪く、値引きをせざるを得ない
  • 売上は上がっているのに、利益が伸びない

こうしたアパレル企業の課題を解決するヒントとして、STAFF STARTと在庫を利益に変えるSaaS『FULL KAITEN』の各事例を紹介しました。

※ウェビナーの開催概要はこちら

FULL KAITENは、今ある在庫の中から利益を増加させる商品を見つけ出すクラウドシステムです。在庫を積んで売上規模をやみくもに追う従来のビジネスモデルから、限られた量の在庫を効率よく粗利益に変えていく手法への変革が求められる中で、FULL KAITENは〈在庫DX〉に必須のクラウドです。

  • 客単価の上昇に貢献する商品
  • 利益や売上への貢献度が高い商品
  • 販促予算を優先的に振り分けるべき商品

こうした商品を今ある在庫の中から絞り込んで顧客に提案していくスキルは今後のアパレルで必須になります。そのためのリスキリングは、FULL KAITENを使いこなす過程で実現できます。

在庫を利益に変えるクラウド『FULL KAITEN』

FULL KAITENでは在庫データを活用して、EC・店舗・倉庫、全ての在庫をAIを用いて予測・分析し、商品力はあるのに眠っている在庫を明らかにします。商品力を可視化することにより、利益を生み出す在庫とその施策を立てることが可能になります。


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