プロパー消化率を上げる方法とは?VMD変更で成功した事例をご紹介
昨今のコスト高の中、アパレル企業は今まで以上に意識をして粗利を作っていくことが求められています。しかしどのような改善を行えば良いか迷っていませんか?本記事では、プロパー消化率を上げる考え方と施策事例をご紹介いたします。
プロパー消化率とは
まず、アパレル業界におけるプロパーとは定価を意味します。
つまり、プロパー消化率とは仕入れた金額のうち商品がどれぐらい定価で売れたのかを表し、下記の計算式で求めることができます。
定価で販売した金額/総売上高
このプロパー消化率は、アパレル業界の4大KPI(※)であるほど定番の指標であり、粗利改善の重要KPIとして設定されることが多いです。
※アパレル業界の4大KPI=プロパー消化率、オフ率、残品率、企画原価率
また、アパレル業界での定価で売れる割合は平均で全体の30〜40%と言われています。
参考:https://forbesjapan.com/articles/detail/26945/2/1/1
プロパー消化率は粗利改善のカギ
プロパー消化率は、割合が多いほど利益率が高いため、KPIの中でも重要視されています。
特に今は、円安の進行や原材料価格・物流コストの高騰しておりコスト高です。
このコスト高の中、アパレル企業が生き残っていくためにはプロパーで売り切っていくことが非常に重要となっています。
実際、2022年にコロナ前の売上を上回るほど復調したマークスタイラーやしまむらは、プロパーで売り切ることを意識することで売上を伸ばすことができました。
マークスタイラーの23年2月期の売上は325億円を見込んでいます。自社ECにて毎週新作を出し続けたこと、仕入れをカットせずにコストを下げることでプロパーで売り切ることにこだわったことが実を結んだとのことです。
参考:https://senken.co.jp/posts/markstyler-220802
仕入れも一切カットしないで新商品とともに販売しました。
しまむらも2022年第1四半期の営業利益も146億円で1Qとしては過去最高益を記録しました。今まで集客目的で行っていた特価品などの値引き施策を抑制したことで粗利改善に繋がったことが大きな要因となりました。
プロパー消化率を上げるためには予測が重要
上述の通り、プロパー消化率を見ることは非常に重要です。ですが、実は消化率をKPIとすることは間違いなのです。
プロパー消化率とはあくまでも過去の結果に過ぎず、本来ならば事後検証で用いられるものだからです。(これを遅行指標(※)といいます)
(※)既存の結果を表す指標。経済や金融市場を評価する際によく使われる。
そのため結果が出る前に、プロパー販売期限に対し商品がいつ完売するかを予測し、期限内に売り切れるように先に手を打つことが必要です。
施策としては、VMD変更やECサイトやメルマガでプロパーで売り切りたい商品を対象とした特集ページの作成などが挙げられます。
ECサイトのVMD変更でプロパー消化を促進した事例
年商約100億円の衣料専門店がプロパー消化を目的に、ECサイトのVMD変更をし売上金額が前週比2.6倍になった事例をご紹介します。
こちらの企業はセール期間中、セール対象商品の売上確保に目が行き、プロパー商品の販促強化に着手できていなかったことが課題でした。
さらに掲載から期間が経過した商品の再露出に関してあまり着手できていなかったこともあり、ECサイト内にて訴求したい商品のVMD変更を決定。対象商品を以下の基準で決定しました。
- 新作や季節商品の強化により販促しきれなかった商品
- その中からさらに、現時点でプロパー消化期限日よりも完売は遅いと予測されるが、商品が売れた際、売上への貢献度がかなり高い商品
販促強化したい商品×売上への貢献度が高い商品を抽出した後は下記のようにVMD変更を実施しました。
- Before
- 以前まではECサイトのTOPページには新作商品・特集・売上ランキングしかなかった
- 「シャツ」や「スカート」などカテゴリ別で商品を表示させた際、表示順のルールがなかった
- After
- TOPページに今回の施策対象商品を表示されるように変更
- カテゴリ別の表示順も、新作商品の次に対象商品を表示するようルール決め
このようにVMD変更で販促強化をした結果、プロパーで売り切ることができ、 施策対象品番の売上前週比が261.9%、粗利金額は260.4%という成果を上げることができました。
まとめ
・プロパー消化率とは商品がどれぐらい定価で売れたのかを表す指標
・プロパー消化率を上げるためには、完売日を予測し結果が出る前に手を打つことが重要
・ECの施策ではVMD変更や特集ページの作成が有効
FULL KAITENでは在庫データを活用して、EC・店舗・倉庫、全ての在庫をAIを用いて予測・分析し、商品力はあるのに眠っている在庫を明らかにします。お持ちのSKUの中からプロパー消化日を過ぎそうな商品をワンクリックで抽出することで業務負荷をかけずにプロパー消化率を向上することが可能です。