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在庫管理とは?基礎から適正な在庫管理を行う2大ポイントを解説

※最終更新日:2023年2月6日

企業の経営に直結する「在庫管理」。小売業にとって、基本であり永遠に尽きない悩みの種です。本記事では、在庫管理の基礎からコツ、効率化のヒントについて解説します。

在庫管理とは最適な状態に管理すること

「在庫管理」とは、原材料・仕掛品・製品といった在庫を、最適な状態・量で供給できるよう管理することをいいます。

在庫管理最大の目的は、企業にとって最も重要である利益を出すことです。

利益 = 売上 - 費用

利益を増やすには、売上を増やすか費用を減らすかの2通りしか方法はありません。在庫管理は、売上を増やすこと・費用を減らすことの両方に大きなインパクトを与えます。

そのため在庫管理では、的確な時期に適正な量を発注・補充し、最善の保管と納入・出荷を行うことが重要です。

しかし多くの小売企業では、未だ欠品リスクを恐れて在庫を余分に持つ傾向があります。在庫が増えすぎると現預金が減るため、資金繰りが苦しくなりますが、逆に在庫を減らすと売上も減ってしまうため、どの企業も在庫管理に苦労するわけです。

さらに現預金(※)とは違い、在庫は実物があるため、保管をしていると「数量が足りない」「商品が傷ついてしまった」などの事態はどうしても避けられません。このため最適な状態を維持するためには、帳簿(システム)上の数量と、実際の数量が合っているかを確認する、棚卸しを定期的に行う必要があります。

(※)貸借対照表の勘定科目。現金と預金のことを指す。

在庫管理の重要性

特にアパレルや雑貨系の場合、在庫管理が倒産するか否かを左右すると言って良いほど重要なものです。

多品種小ロットという属性や、海外に製造拠点がありリードタイムが長くなりやすいという特性があるため、当初見込んでいた発注数から外れることが往々にしてあります。しかし実店舗の場合、以前は見込みよりも多かったからといって少なく発注をしてしまうと店舗に空きスペースを作ってしまうことになりかねません。

そのため、店舗数が多い企業ほど余分に在庫する傾向があり、売れなかった場合は最悪黒字倒産になってしまう企業が出るのです。

在庫管理のメリット

こうした在庫管理の重要性を踏まえ、在庫管理にどういったメリットがあるか考えていきましょう。

作業の効率化&生産性アップ

在庫管理は、下記の2つが肝です。

  • 現時点における在庫数量の正確な把握
  • 売れ行き予測と予測を基にした在庫コントロール(発注・補充・入出荷)

これらがしっかりできていると、店舗でもバックヤードでも作業の効率が大幅に高まります。

その結果、生産性が上がるので付加価値が向上します。この「生産性」には労働生産性も含まれていますから、同じ労働で賃金が上がる、あるいは同じ賃金でも業務負荷が下がるという効果が出てきます。

余剰在庫の削減

在庫商品は売れ行きによって優良在庫、不良在庫などに分類されます。よく売れている且つ売り切れそうな商品は、場合によっては補充発注をかけなければなりませんし、とても売り切れそうにない余剰在庫といえる商品は値引き、セール等をしてでも現金化を急ぐ必要があります。

在庫管理がしっかりできていないと、数多ある在庫の中でどれが「余剰在庫」や「不良在庫」なのかの判別がつきません。そうなると、値引き対象、セール対象にする商品の選定作業それ自体に多大な労力と時間がかかってしまうでしょう。

コストの削減

適正な在庫管理を行うと、業務が効率化し無駄なコストを削減できます。

例えば、在庫が多すぎる(過剰在庫)あるいは在庫が少なすぎる(過少在庫)では入出荷の手間、作業の煩雑さなどの不必要な労力がかかるため、無駄なコストが発生してしまいます。

また、在庫を保管するのもタダではありません。倉庫の賃料や保険料のほか、在庫が多ければ多いほど棚卸減耗損(※)も大きくなるでしょう。

(※)実際の在庫数量と帳簿の数量が合わない時に行う会計処理

適正な在庫管理を行うための2大ポイント

在庫管理の目的と重要性、メリットをご理解いただけたかと思います。では、適正な在庫管理を実践するために、何を心がければ良いでしょうか。1つずつ解説していきます。

1.ルールをつくる

まずは現状を正確に把握しましょう。在庫数量はもちろん、在庫管理がどのような業務フローになっているか、まさに“棚卸し”して向き合います。

そしてルールづくりです。オープン・トゥ・バイ、略してOTBとも呼ばれますが、商品を仕入れる(バイ = buy)ために仕入れ枠を空ける(オープン = open)と言う意味です。

仕入れ枠を空けるというのはつまり、目標とすべき在庫水準(基準在庫量)を設定し、新たに仕入れたければ、既存在庫を売って在庫を減らすべしということです。

関連記事:経営者が現場に実践させるべき正しい「OTB」戦略とは。

基準在庫量は売上規模や業種によって異なりますが、基準在庫量をどれくらいにするか、すなわち売上規模に対してどの程度の在庫を持つかというのは経営判断の最たるものです。経営トップがコミットしてきっちりと決めて下さい。

というのも、これをしっかり定めないと、発注点や安全在庫が意味をなさなくなるのです。例えば、経営者や営業担当が、在庫管理の担当者に「絶対に欠品させるな!」と厳命するケース。

こうなると、在庫管理担当は欠品を恐れて多めの仕入れを繰り返しがちになってしまいます。安全在庫がいつの間にか「安心在庫」に成り下がってしまうわけです。

(株式会社インフォグロースの資料に弊社が加筆し作成)

これに対し、基準在庫量を遵守するマインドが徹底されていれば、それだけで余剰在庫はかなりの割合で避けることができるでしょう。

ただし、OtBを徹底すると、「売れない商品ばかり在庫が残り、売れ筋商品を仕入れることができない」という陥穽にはまるケースも考えられます。この論点については、「在庫分析」が必要になってきます。

関連記事:在庫分析とは?3ステップの分析手法やメリットをわかりやすく解説

2.リアルタイムな在庫の情報を確認する

店舗の場合は売り場の面積が限られている中で、VMDとしてどう商品を魅せるかと、どの在庫をどれだけ積むかをバランスよく見る必要があります。

例えば店間移動の場合、全店で消化率が悪い商品を把握しどの商品をいくつどこに移動するかを考える必要がありますが、そもそもデータがなければ集計からやらなければなりません。更に在庫状況は常に動くため、リアルタイムに情報を確認する必要があります。

以前は昨日時点での在庫を見て判断しても問題ありませんでしたが、今はリアルタイムに情報が更新される精度の高いデータを見て臨機応変に対応することが重要です。

システムの導入時の選定ポイント

多くの企業では在庫管理システムを導入しているかと思いますが、導入にあたってのスキームは大きく分けて下記の2種類があります。

  • SIerに発注して専用システムを作り込む
  • クラウドシステムを既存の業務系システムに連携させる

まず1つ目ですが、好きなようにカスタマイズできる半面、莫大な初期投資(イニシャルコスト)がかかるというデメリットがあります。また、数年たつと更新、補修が必要になります。

2つ目のクラウドはSaaSとも呼ばれますが、カスタマイズできない一方で、イニシャルコストがかからないというメリットがあります。その代わり月額利用料を支払いますが、月々の負担は低廉で、更新や補修は無料です。そして、データの整備が済めば比較的早く使用を開始できます。

まとめ

  • 在庫管理とは、原材料・仕掛品・製品などの在庫を、最適な状態・量で供給できるよう管理すること
  • 在庫管理は事業と利益に直結する業務のため、常に適正な管理がされているかを意識する必要がある
  • 適正な在庫管理を行うためには、ルールを作る・リアルタイムの情報を確認することが重要

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