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在庫管理とは? 目的・重要性・メリットと、システム選定のポイントを解説

※最終更新日:2022年9月22日

小売や卸売、メーカーにおいて、売上を伸ばすには在庫を持つ必要がありますが、同時に不良在庫を抱えるリスクも高まります。逆に在庫を減らすと、販売するものがなくなって売上も減ってしまいます。つまり、企業の経営に直結するのが「在庫管理」なのです。

本記事では、在庫管理の基礎知識や課題、効率化のヒント、ツール選定のコツなどについて解説します。

在庫管理とは

在庫管理とは最適な状態に管理すること

「在庫管理」とは、原材料・仕掛品・製品といった在庫を、最適な状態・量で供給できるよう管理することをいいます。

現預金や売掛金、有価証券などと違い、在庫は形のある実物資産ですから、適切な管理が必要になります。

まず、物理的な管理です。どの商品がどの倉庫やバックヤードにどれだけあるかを正確に把握する必要があります。

さらに、保管していると、どうしても一定量の損耗は避けられません。このため帳簿上(システム上)の数量と実際の有高とを突合して、減耗数をチェックする棚卸しを定期的に行う必要があります。

次に体系的な管理です。必要な資材や商品について、的確な時期に適正な量を発注・補充し、最善の保管と納入・出荷を計画して統制していかなければなりません。

在庫が増えすぎると、当然ながら現預金が減りますので、資金繰りが苦しくなります。かといって在庫を減らすと、前述のように売上も減ってしまうため、どの企業も在庫管理には非常に苦労するわけです。

在庫管理の目的は利益を出すこと

一説によると、在庫管理の始まりは18世紀にイギリスで創業したWedgwood(ウェッジウッド)によると言われています。ヨサイア(ジョサイア)・ウェッジウッドが、在庫が増えすぎて資金繰りに危機感を抱いたのがきっかけです。彼は在庫管理を実践するにあたり、原価計算を勉強しました。

ウェッジウッドはまず、正確な会計を目指しました。

  • 職人の賃金にある無駄を見える化
  • 富裕層向けと中流層向けに商品を分ける
  • 工場を移転して輸送コストを下げる
  • 様々なコストを見つけ、1つずつ潰していく

などなど。彼が取り組んだことは、現在も経営の手本として通じるのではないでしょうか。
生産管理を厳格に行うことで販売予想・計画を立てることができ、そうして初めて在庫管理の目標ができるということをウェッジウッドは見抜いていたのです。

つまり、在庫管理の目的は、企業にとって最も大切な目的である利益を出すことなのです。

利益 = 売上 - 費用

利益を増やすには、売上を増やすか費用を減らすかの2通りしか方法はありません。在庫管理は、売上を増やすことと費用を減らすこと両方に大きなインパクトを与えます。

在庫管理の重要性

上記までで見てきたように、在庫管理は利益に直結する非常に重要な業務です。経営者や営業担当が、在庫管理の担当者に「いいか、絶対に欠品させるなよ!」と下命して事足りるようなものではないのです。

まず、在庫が増えると現預金は減ります。在庫商品が売れて販売代金を回収するまで、現預金は増えません。

手元に現預金がないと、投資に回せる資金が枯渇します。銀行借り入れで賄うという手もありますが、それも限度があります(投資は営業キャッシュフローで賄うのが理想です)。


そして、投資をしないと競争力が落ち、商品の魅力が下がるだけでなく企業としての魅力も下がります。

在庫管理の重要性は、事業の成長にまで関わってくるほど大きいということが分かるでしょう。

在庫管理のメリット

こうした在庫管理の重要性を踏まえ、在庫管理にどういったメリットがあるか考えていきましょう(小売業のケース)。

作業の効率化&生産性アップ

在庫管理は、下記の2つが肝です。

  • 現時点における在庫数量の正確な把握
  • 売れ行き予測と予測を基にした在庫コントロール(発注・補充・入出荷)

これらがしっかりできていると、店舗でもバックヤードでも作業の効率が大幅に高まります。

その結果、生産性が上がるので付加価値が向上します。この「生産性」には労働生産性も含まれていますから、同じ労働で賃金が上がる、あるいは同じ賃金でも業務負荷が下がるという効果が出てきます。

余剰在庫の削減

在庫商品は売れ行きによって優良在庫、不良在庫などに分類されます(分類の仕方は企業によって千差万別ですが)。よく売れていて売り切れそうな商品は、場合によっては補充発注をかけなければなりませんし、とても売り切れそうにない余剰在庫といえる商品は値引き、セール等をしてでも現金化を急ぐ必要があります。

在庫管理がしっかりできていないと、数多ある在庫の中でどれが「余剰在庫」や「不良在庫」なのかの判別がつきません。そうなると、値引き対象、セール対象にする商品の選定作業それ自体に多大な労力と時間がかかってしまうでしょう。

コストの削減

適正な在庫管理を行うと、業務がスリム化して無駄なコストを削減できます。在庫が多すぎる(過剰在庫)あるいは在庫が少なすぎる(過少在庫)では、在庫管理業務に不必要な労力がかかる(入出荷の手間、作業の煩雑さ)ため、無駄なコストが発生してしまいます。

また、在庫を保管するのもタダではありませんよね。倉庫の賃料や保険料のほか、在庫が多ければ多いほど棚卸減耗損も大きくなるでしょう。

適正な在庫管理を行う2つのコツ

在庫管理の目的と重要性、メリットをご理解いただけたかと思います。では、適正な在庫管理を実践するために、何を心がければ良いでしょうか。1つずつ解説していきます。

ルールをつくる

まずは現状を正確に把握しましょう。在庫数量はもちろん、在庫管理がどのような業務フローになっているか、まさに“棚卸し”して向き合います。

そしてルールづくりです。オープン・トゥ・バイ、略してOtBとも呼ばれますが、商品を仕入れる(バイ = buy)ために仕入れ枠を空ける(オープン = open)と言う意味です。仕入れ枠を空けるというのはつまり、目標とすべき在庫水準(基準在庫量)を設定し、新たに仕入れたければ、既存在庫を売って在庫を減らすべしということです。

基準在庫量は売上規模や業種によって異なりますが、基準在庫量をどれくらいにするか、すなわち売上規模に対してどの程度の在庫を持つかというのは経営判断の最たるものです。経営トップがコミットしてきっちりと決めて下さい。

安全在庫と発注点の関係(株式会社インフォグロースの資料に筆者が加筆し作成)

というのも、これをしっかり定めないと、発注点や安全在庫が意味をなさなくなるのです。例えば、経営者や営業担当が、在庫管理の担当者に「絶対に欠品させるな!」と厳命するケース。こうなると、在庫管理担当は欠品を恐れて多めの仕入れを繰り返しがちになってしまいます。安全在庫がいつの間にか「安心在庫」に成り下がってしまうわけです。

これに対し、基準在庫量を遵守するマインドが徹底されていれば、それだけで余剰在庫はかなりの割合で避けることができるでしょう。

ただし、OtBを徹底すると、「売れない商品ばかり在庫が残り、売れ筋商品を仕入れることができない」という陥穽にはまるケースも考えられます。この論点については、「在庫分析」が必要になってきますので、稿を改めて触れたいと思います。

システムの導入と選定ポイント

在庫管理システムの導入となると、スキームは大きく分けて下記の2種類があります。

  • SIerに発注して専用システムを作り込む
  • クラウドシステムを既存の業務系システムに連携させる

まず1つ目ですが、好きなようにカスタマイズできる半面、莫大な初期投資(イニシャルコスト)がかかるというデメリットがあります。また、数年たつと更新、補修が必要になります。

2つ目のクラウドはSaaSとも呼ばれますが、カスタマイズできない一方で、イニシャルコストがかからないというメリットがあります。その代わり月額利用料を支払いますが、月々の負担は低廉で、更新や補修は無料です。そして、データの整備が済めば比較的早く使用を開始できます。

発注を減らしても売上を増やす経営手法についてはこちら>

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