利益最大化の鍵「商品ライフサイクル」を徹底解説|フルカイテン矢田の熱血在庫塾
こんにちは。フルカイテンプロダクトカスタマー部 部長の矢田です。
当社では、2022年から小売企業様向けのセミナーを毎月開催し、私も講師として売価変更や在庫移動といった実務に役立つノウハウを多くの方にお届けしてきました。
毎回多くの方にご参加いただく一方で、セミナーだけではお伝えできる人数に限りがあります。そこで、より多くの皆様にノウハウをお届けするため、今回からブログでも情報発信を始めます。
今回のテーマは、私がどんなセミナーでも必ずお伝えしている「商品ライフサイクル」です。この概念を理解することが、利益最大化への第一歩と言っても過言ではありません。
商品ライフサイクルとは
商品ライフサイクルとは、商品の投入から完売までのプロセスを指します。
特にシーズン性の高い商品の場合は、売れる時期が明確なため、時機を逃すと途端に売れなくなります。そのため、売上・利益・消化を極大化するためには、商品ライフサイクルに沿って施策を実行することが重要になります。

具体的には、商品ライフサイクルを把握・定義することで、欠品や過剰在庫などの在庫問題を回避することが可能になります。
例えば、シーズンイン〜ピーク前半は、販売数や売上が大幅に伸長していく時期です。このタイミングで在庫の投入が遅れると、販売機会を逃し、欠品リスクが高まります。
逆に、ピーク後半〜ピークアウトの時期は、販売数や売上が下降していきます。しかし、売上ピークの波に沿って売れた分を闇雲に発注してしまうと、納品はピーク後になるため過剰在庫の原因となってしまいます。
このような事態を防ぐためにも、商品ライフサイクルを正確に把握することが重要なのです。
商品ライフサイクルの定義が利益最大化への第一歩
もちろん、商品のシーズンインやシーズンアウトは、多くの方が感覚的に把握しているかと思います。しかし、感覚的に把握するだけだと(感覚だけに頼ってしまうと)、施策や在庫投入のタイミングがずれやすく、在庫問題の発生を招いてしまいます。
そのため、社内で共通認識を作る上でも商品ライフサイクルの各フェーズがいつからいつまでなのかを定義することが重要なのです。

商品ライフサイクルを定義する上では、自社の戦略に合わせて、各シーズンの販売期間15w(約3ヶ月)〜25w(約5ヶ月)を設定することを推奨してます。。
さらに、図2ではシーズンごとに定義する例を示していますが、実商売を考慮すると、商品カテゴリー単位で定義することも推奨します。なぜなら同じ冬物でも、例えばニットとコートでは販売トレンドが異なるためです。
儲かる企業が実践する商品ライフサイクルに沿った施策
商品ライフサイクルの定義ができたら、次は過去の実績を参考に、フェーズごとの消化率目標と重点施策を決めて実行に移しましょう。
本章では、当社が様々な小売企業様をご支援する中で発見した、儲かる企業に共通する施策のポイントをいくつかご紹介します。
ピーク時期の「在庫移動」と「売価変更」が鍵
在庫移動や売価変更は、シーズン終盤(シーズンアウト)の「消化施策」として行う企業が多いかと思います。しかし、利益を最大化するためには、「ピークイン〜ピーク」の最も売上が大きくなる時期にこれらの施策を実施することが重要です。

利益を最大化する上で最も重要なことは、「売れる時期に、売れる価格で、売れる店舗に商品が揃っていること」です。
例えば、売価変更後のシーズン終盤に在庫を移動させても、すでに売れる時期であるピークは過ぎており、値引きによって単品の粗利も低くなっているため、利益を上げるのは困難です。
ピーク時期に在庫移動を行えば(店舗作業負荷は考慮した上で)、移動先の店舗ではまだ定価で販売できるため、高い粗利を維持できます。
売価変更についても同様です。多くの企業様から、シーズンアウトに深い値引きをし、大きく粗利を毀損しているというというお悩みをお聞きします。しかし、顧客の需要に合わせた価格設定をすることで、早期に値引きを行っても粗利の毀損を最小限に留め、消化を促進できます。
実際、FULL KAITEN〈店間移動〉や〈売価変更〉を導入頂いた企業様には、ピークのタイミングで施策を実施頂くようにご支援しておりますが、皆様以下のような成果を創出されています。
▼FULL KAITEN〈店間移動〉
- 株式会社ディティジェイ様
- 月1回の店間移動を3か月間で実施したことで、年間売上の1%を創出
▼FULL KAITEN〈売価変更〉
- イー・ジーニング 株式会社様
- 8月末まで定価で売れると思っていた半袖Tシャツを4月1週目に10%OFFしたことで、粗利額前年比133%UP、粗利率前年2.1%UP、消化率前年3.2%UP
定番商品にも商品ライフサイクルを定義しよう!
ここまでシーズン性の高い商品を例に解説しましたが、雑貨などの定番商品においても商品ライフサイクルを定義することが重要です。
一般的に定番商品は、「在庫は回転していないが、置いておけばいつか売れる」「売れていないが品揃えとして必要」といった理由で、売り切り期限が設定されていないケースがほとんどです。
この考え方はもちろん間違ってはいません。しかし、在庫を置いておくことには「保管料」や「人件費」といったコストがかかる上、売れ筋商品に充てられるべき棚や仕入れ枠が滞留在庫によって空費されるという間接的な損失も生んでいます。そして「商品評価損(評価減)」のリスクも潜んでいます。これらのコストを考慮すると、本当にその在庫が必要なのかを考える必要があります。
したがって、定番商品にも新商品投入から終売までのサイクルを設定し、適切に消化を進めることが利益最大化には不可欠なのです。

まとめ
- 商品ライフサイクルとは、商品の投入から完売までのプロセス
- 感覚に頼るだけではなく、商品ライフサイクルの各フェーズがいつからいつまでなのかを定義することが重要
- 店間移動や売価変更はシーズン終盤ではなく、「ピークイン〜ピーク」の最も売上が大きくなる時期に実施することで、売上・粗利・消化を促進することができる
- 定番商品にも新商品投入から終売までのサイクルを設定する
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