Loading…

【セミナーレポート】アパレル経営の重要指標『プロパー消化率』を上げる方法

2023/10/19(木)に、オンラインセミナー「アパレル経営の重要指標『プロパー消化率』を上げる方法」を開催いたしました。

当日ご参加いただきました皆様に、御礼申し上げます。

本記事では、数々の企業を支援してきたメンバーがセミナー内でお伝えした以下3点についてご紹介します。

  • プロパー消化率とP/L(売上、粗利、販管費など)の関係性
  • プロパー施策ごとのP/Lインパクト
  • 在庫を効果的に利益に変える方法

登壇者:矢田 陽平 (フルカイテン株式会社 カスタマーサクセスリーダー)
2011年に株式会社ファーストリテイリングに入社。ジーユー日本事業で店長やSVを経験した後に、海外(中国/台湾)で営業/教育責任者として、全店舗の統括、採用/育成プログラムやインシーズンの商売立案を担当。その後、HR-Techスタートアップでカスタマーサクセスを経験しフルカイテンに入社。現在はカスタマーサクセスチームのリーダーとして多くの顧客支援に従事している。

【お役立ち資料】余計な値引きを抑制し、プロパー消化率を改善させる方法とは?

プロパー消化率とP/Lの関係性

矢田:プロパー消化率とは、仕入れた金額のうち商品がどれだけ定価で売れたのか?を示す指標になります。プロパー消化率が高いと、粗利が高くなり、最終的な営業利益も高くなるため、商売をする上では非常に重要な指標になります。

本日は、プロパー消化率がP/L(※)にどのような影響をもたらすのか、また、各プロパー施策がP/Lにどのような効果を与えるのかについて、構造的にご説明いたします。

※P/Lとは、「Profit and Loss statement」の略で、損益計算書を意味します。収益・費用・利益が記載されており、企業が「費用を何に使って」「どれだけ売上が上がり」「どれくらい儲かったのか」を読み取ることができます。

プロパー消化率と売上の関係性

矢田:まず、プロパー消化率(在庫)と売上の関係性について見てみましょう。

以下の例では、原価500万円、値入500万円を想定しています。

最初に、プロパー消化率が100%の場合で考えてみます。この場合は仕入れた商品がすべて定価で販売できるため、1000万円の売上をつくることができます。

ここで、プロパー消化率が計画より上振れたので、機会損失を避けるために追加発注の判断をするとします。仕入れを追加したことで、さらに200万円分の売上を作ったとすると、合計の売上は1200万円になります。

次に、プロパー消化率が50%の場合を考えます。仕入れた商品のうち、半分の500万円は売上になりましたが、残りの500万円分は在庫として残っています。ここで、値引き率30%の値引きを行い、すべての在庫を売り切ったとします。

値引きを行ったため、プロパーで販売した時と比べて売上は30%減るため、350万円 (500万円×70%) となります。このとき、値引き率を上げるほど、手元に残るキャッシュ(売上)は減少します。例えば、値引き率が50%だった場合は、売上はさらに減り、250万円(500万円×50%)となります。

プロパー消化率と粗利の関係性

矢田:では次に、プロパー消化率と粗利の関係についてご説明します。

ここでは、在庫の仕入れ量が異なる場合を見てみましょう。

下の右図では、原価500万円分を仕入れたとします。プロパーで全て消化することができなかったため、10%の値引きを行い、その結果900万円の売上を作ったとします。この時、原価は500万円なので、粗利は400万円になります。

一方、左図では、原価600万円分を仕入れた後、16%値引きし、1,000万円分の売上を作ったとします。在庫を多く仕入れているため、値引き率を少し高くしても右と比べて大きな売上をつくることができました。しかし、原価は合計600万円であるため、最終的な粗利は同じ400万円となります。

このようなケースは現実でも多く見受けられます。例えば、売上のトップラインを伸ばすために、仕入れを強化したものの、計画通りに売れないケースです。プロパー消化率が想定より低くなった結果、最終的な粗利が仕入れを少なくした場合とほぼ同等になる、というのはよくあることでしょう。

プロパー消化率と営業利益の関係性

矢田:では、同じ例を用いて、営業利益(粗利から販管費を差し引いた利益)についても考えてみましょう。

下の図を見るとわかるように、仕入れが少なく値引き率も浅い(プロパー消化率が高い)右側の方がより高い営業利益を保っているのがわかります。

左側のように仕入れ量が多い場合、その分在庫を管理するためのコスト(保管コスト、物流費、店舗の作業コストなど)が上がるため、販管費がかさみ、最終的に残る営業利益が減ってしまいます。

在庫を持つこと自体は、売上のトップラインを引き上げる役割を果たしますが、その分維持コストが営業利益を圧迫する可能性があるのです。

在庫拡大・縮小は事業フェーズに応じて判断

矢田:営業利益を圧迫するかといって、在庫を少なくし、常にプロパー消化率を高く保つことが利益の最大化につながるわけではありません。

在庫拡大・縮小の判断は、それぞれのメリット・デメリットを考えた上で事業フェーズに応じて意思決定することが重要です。

在庫を拡大する場合、機会損失を回避できる一方、上述したように在庫が残るリスクが上がるため、深い値引きが必要となったり、販管費が上がってしまうといったデメリットが生じる可能性があります。

しかし、事業フェーズとして、売り上げを伸ばすことで市場シェアや認知拡大をしたい場合は在庫拡大の判断が必要でしょう。

一方、在庫を縮小すると、機会損失のリスクは上昇しますが、プロパー消化率が上がり、余剰在庫が発生するリスクを抑えられます。したがって、販管費を最小化し、無駄の少ない経営が可能になるため、事業がある程度落ち着いたフェーズでは、このような経営判断になるでしょう。

【お役立ち資料】余計な値引きを抑制し、プロパー消化率を改善させる方法とは?

施策ごとのP/Lインパクトを考える

矢田:前の章では、プロパー消化率がP/L、特に営業利益に与える影響についてご説明させていただきました。この章では、具体的な施策と、それらの施策がP/Lにどのようなインパクトを与えるのか、についてお話します。

まず、営業利益を分解すると、以下のようなロジックツリーを描くことができます。

この図の1番下の「施策」と書かれているように、プロパーで販売するために、SNS広告やVMD、在庫移動など上記のような施策を行うと思います。(値引きは除く)

在庫を効果的に利益に変えるためには、売上・粗利だけではなく、コスト面(販管費)への影響も考慮し、施策毎にどの勘定科目(売上構造)に影響があるのかを把握することが非常に重要です。

例えば、売上に着目してみます。下の図のように、売り上げは「客数」と「客単価」に分解し、さらに客数は「入店客数」「購買率」、客単価は「平均単価」「買い上げ点数」に分解できます。売上UPを考える際には、どの施策がどの変数に影響を与えるかを整理することが非常に重要です。

入店客数を例にとって考えてみます。入店客数を増やすためには外部へのニュース発信が必要になるため、SNSでの情報発信やマス広告などのマーケティング施策が該当するでしょう。さらに、ECサイトや店舗の売り場、店頭の演出なども大きな影響を与えるため、VMDの変更も重要でしょう。

また、粗利や販管費も以下のように分解することが可能です。

無駄な値引きの抑制や原価率の低い商品をマーケティング施策・VMD変更によって販売強化をすることで、粗利UPが期待できます。また、販管費についても、効果の低い広告露出・配送の最小化や、VMD・在庫移動で発生する社員の業務負荷を最小にすることで、抑制することができるでしょう。

このように、P/Lにおける勘定項目を分解し、目的を達成するためにはどの施策を実施することが効果的なのかを整理・把握することが商売において非常に重要なポイントです。

在庫を効果的に利益に変える方法

矢田:では、目的に応じて実施する施策を決定した際に、どのタイミングで施策を行い、どのような判断基準で商品を選定するのがよいのでしょうか?

商品ライフサイクルに応じた施策とそのタイミング

矢田:まず、商品ライフサイクルのタイミングに応じて最適な施策は変わります。

例えば、商品を投入するシーズンインの時期では、新商品として露出を強化するなど打ち出しを行います。しかし、販売開始から少し時間が経つと、売り上げが好調な店舗がある一方で、不振な店舗が出てくるでしょう。

ピークに入るまでの期間では、そういった初動の結果を受けて、スタッフの販売方法やVMDの変更を行い、改めて露出を強化したり、好調な店舗に在庫を集めて販売強化したりなどの施策を行うのが効果的です。

商品ライフサイクルについて詳しくはこちら>

さらに、このピークインの段階で在庫の消化が滞っている原因を特定することも非常に重要です。売上が不調な店舗や商品について、その要因が商品の失敗なのか、数量の失敗なのか、販売期間の失敗なのか、価格設定の問題なのか、など分析を行うことで、値引きや在庫移動の判断がすばやくでき、最終的な利益を守ることにつながります。

以上の①〜④のプロパー施策を、タイミングに応じて徹底的にやり切ることで、値引きを最小限に抑え、プロパー消化率の上昇につながります。

在庫状況に応じた商品選定

矢田:どの商品に対してどの施策を行うか、と意思決定は、在庫消化の進捗と売上ランクに応じて行うのが効果的です。

以下の図では、縦軸に「売上ランク」、横軸に「消化進捗」、原点に「消化目標」を設定し、各セグメントで実施するべき施策の一例をマッピングしています。

この図では、左側には消化進捗が目標よりも早い商品、右側には消化進捗が目標より遅い商品がマッピングされています。さらに、売上上位品は上に、下位品は下に配置されています。

例えば、図の左上は消化が予定より早く、かつ売上上位品であるため、欠品のリスクがあります。したがって、追加発注を行うのが効果的です。

図の右上は、売上上位品ではあるものの、消化が予定より滞っている商品群です。この場合、売上ランクが特に高い商品は露出を強化することで集客フックにしたり、売上を促進することができるでしょう。また、その他の売上上位品も好調店舗に在庫移動することで、値引きをせずに消化を促進できる可能性があります。

このように、在庫の持つ特性を分析し、適切な施策を当てることで、値引きをする手前のプロパー施策の効果を最大化することができ、その結果、プロパー消化率の伸長につながるでしょう。

FULL KAITENで最適なプロパー施策を実現

矢田:前の章で、縦軸に売上ランク、横軸に消化進捗を取った4章限を用いた商品選定についてお話しましたが、弊社のプロダクトをご利用いただくと、同じように在庫を分析することができます。

FULL KAITEN〈在庫分析〉は、在庫データを活用してAIで予測分析を行い、完売予測日と売上貢献度という2つの軸から在庫の評価を以下のように4つに分けます。

※完売予測日:在庫消化のスピードに関する予測値(各商品が何月何日に売り切れるかをAIで予測)
※売上貢献度:売上貢献の度合いに関する予測値(各商品の未来の売上への貢献度合いをAIで予測)

これらの機能を用いることで商品選定のセグメント分けを瞬時に行うことが可能です。実際、FULL KAITENを活用することで、多くの企業様が成果を出されています。

FULL KAITEN〈在庫分析〉の製品資料はこちら>

まとめ

  • プロパー消化率とP/Lの関係性
    • 売れる分の在庫だけを仕入れ、可能な限りプロパーで売り切れば、利益最大化できる
    • 在庫抑制(プロパー消化率↑)すると、余剰在庫は減少し、販管費を最小化できる
    • 在庫拡大(プロパー消化率↓)すると、機会損失が減少し、売上を最大化できる
    • 商売状況や事業フェーズに応じてどのような在庫戦略をとるか?慎重な意思決定が必要
  • プロパー施策とP/Lの関係性
    • どの施策が、どのP/L勘定科目に、どの程度寄与するのか?大前提を抑える必要がある
    • 施策ごとの売上・粗利インパクトだけではなく、コスト面(販管費)へのインパクトも抑える必要がある
  • 在庫を効果的に利益に変える方法
    • プロパー消化率UPのためにはピーク期までが勝負。商品ライフサイクルに応じて、施策の優先度は変わる
    • 在庫状況を「売上ランク」×「消化進捗」の四章限で可視化すると最適な施策が意思決定しやすい

【お役立ち資料】余計な値引きを抑制し、プロパー消化率を改善させる方法とは?

お気軽にお問合せください

セミナー開催情報
代表取締役・瀬川が語る
アパレル業界の
縮小する国内市場で
勝ち抜く粗利経営