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LTVと広告効果UPの切り札!?/2024年ビジネス必修語「リテールメディア」の全て

2023年秋ごろから「リテールメディア」という言葉を目にする機会が増えています。

リテールメディアとは、文字通りリテール(小売)発の広告メディアを指しますが、小売店舗がただモノを売るだけの場所からメディア化することで、情報を伝達する媒体へアップデートしつつあることが背景にあります。

本記事では、マーケティング専門誌・日経クロストレンドが「2024年のビジネス必修語」と位置付けるリテールメディアについて徹底解説します。

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5年後にテレビCMを凌駕し全広告収入の15%超に

お昼時の都心部。ファミリーマートの店内でレジ待ちをしている時、レジカウンターの上にあるディスプレーに表示される商品広告やエンタメ情報を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。 

こうした映像は、ファミリーマートとは別の広告主企業がファミマにお金を支払って流してもらっている広告です。膨大な数を誇る店舗数と来店客数から蓄積された消費データを基に、立地や時間帯に応じて最適なコンテンツを発信できるため、広告効果は高まります。

これがリテールメディアの代表例です。ファミリーマートは親会社の伊藤忠商事とともに、新たな収益源に育てる算段です。このように、売り場そのものをメディア(媒体)として活用するのがリテールメディアです。Amazonや楽天市場などの大手ECプラットフォームで購買履歴と連動して表示される広告もその1つであり、小売事業者が自ら広告プラットフォームを手がける動きが顕在化していると捉えることができます。

リテールメディアは日本より一足先に海外で隆盛を見せています。英広告会社グループエムが2023年6月に公表したレポートで、その一端に触れることができますので、そのレポートを紹介した記事から要点を抜粋します。

・リテールメディアからの広告収入が今年(2023年)は前年比9.9%増の1257億ドル(およそ19兆円)に達する
・2028年にはテレビを上回って全広告収入に占める割合が15.4%となる見込み

引用元:ロイター通信2023年6月13日配信記事

テレビCMを追い抜くとは、相当なマーケット規模と言えます。実際、Amazonやウォルマート、ターゲット、カルフールなどグローバル小売大手は、自社サイトに広告主企業から広告を出稿してもらうために注力しています。 

そんなリテーラーにとって、リテールメディアは自社サイトにおける収益が商品売上と広告収入の両面になるため、良いことづくめとなります。

なぜ今リテールメディアなのか

では、なぜ今、リテールメディアが盛り上がっているのでしょうか。広告主企業は広告効果を上げたいという思いがあり、広告を載せる媒体企業(メディア)としては広告単価を上げたいという経営上の命題を抱えています。日本経済が物価高と賃金伸び悩み、人口減少という構造問題を抱えるなか、小売やメーカーは原材料高と広告宣伝費の見直しを迫られており、広告の費用対効果を求める傾向はますます強くなっています。

 リテールメディアは、こうした双方の課題を解決する力を秘めていると思われます。だから大きな注目を集めているのです。実際、ECのマーケティングを支援する大小さまざまな企業が「リテールメディア」に関するサービスに参入しています。最近ではLINEヤフーグループのバリューコマースが参入を発表しました(下図)。

(バリューコマースのプレスリリースより)

バリューコマースの新サービスは、広告主となるメーカーが、複数のECサイトへ横断的にまたはピンポイントで広告を配信できる点が特長とのことです。これはリテールメディアのほんの一例となります。

そもそもリテールメディアは、購買データなど小売が持つデータを活用します。具体的には、消費者の属性に応じた買い上げ明細や来店頻度、来店時間帯などです。ポイントカードやアプリを通じて顧客一人ひとりに付与しているIDで識別できることで、こうしたデータの蓄積が可能になっています。

そうした購買データは従来、販促への活用など自社内での利用にとどまる小売企業が大半でした。リテールメディアはこれらのデータを他社の広告コンテンツの開発に横展開する動きと言えるでしょう。

購買データは「宝の山」です。データを分析することで特定の商品への興味関心が高いと推察される消費者に広告をピンポイントで配信できるからです。しかも、新型コロナウイルス禍を経て消費者ニーズは以前と比べものにならないほど多様化しています。広告予算を増やせず、かつSKU数が増えるなか、いかに消費者のLTVを上げるかを考える際、リテールメディアは顧客一人ひとりと強い絆を結ぶのに有用な手段となり得ます。

小売各社がそれに気づいて取り組みを活発化させており、リテールメディアはメーカーにとっても費用対効果の高い広告プラットフォームとして注目の的になっているのです。

実店舗の価値はますます上がり、求められる役割も多様化

もちろん、小売がリテールメディア化するのはECサイトだけではありません。実店舗も同様の動きを見せています。背景にあるのは危機感でしょう。日本経済新聞日曜版『NIKKEI the STYLE』に示唆に富む記事が載っていましたので、一部引用します。見出しはズバリ、「あるゆる店がモノを売る場所から情報を伝達する媒体に変わりつつある」でした。

小売店やサービス業がメディアを目指す理由は単純だ。そうならなければ存続できなくなってしまったから。モノを買うだけならネット通販で十分。店舗の何百倍、いや、もっと多くの品がそろう。インスタグラムや、海外ではついにTikTokでも商品を買えるようになり、情報取得から購買までの距離も時間軸も以前とは大きく変わった。自分たちのアイデンティティーを発信していかないと、場が場として持たなくなるのは至極当然のことだ。

2023年12月17日付日本経済新聞NIKKEI the STYLE カルチャー面

本記事の冒頭で紹介したファミリーマートの取り組みはデータを駆使したリテールメディアの形ですが、NIKKEI the STYLEの記事が訴えているのは、実店舗はブランドの存在意義(パーパス)と「どうありたいか」という消費者にとってのコンテクスト(意味)を伝える媒体たれ、ということでしょう。これは、三陽商会の大江伸治社長も説いていることです。以前の記事(2024年の小売業界はどうなる? 3つのキーワードから大予想/2023年11月27日公開)で言及しましたが、重要な内容なのでもう一度引用します。

「(7つの基幹ブランドについて)足元各70億~90億円ほどの売り上げ規模を早期に100億円体制にすることが課題だ。新型コロナウイルス禍で抑制方針を採ってきたプロモーション投資や店舗投資に積極的に取り組んでいきたい。コロナ禍で店舗の20%ほどを閉めた百貨店には相当、新規の出店が決まっている。直営店も増やす方針だ」

2023年11月19日付日経ヴェリタス20面より

店舗は「どこで、誰から買うか」「そのブランドのメッセージや企業の思想、従業員の思いは何か」という消費者の問いに対する答えを出してくれるでしょう。

また、フルカイテン代表・瀬川も、既に2020年から店舗投資の重要性を繰り返し提唱してきました。骨子は次のようなものです。

  • 売上偏重から粗利益重視の経営へ変革
  • 得られた粗利を商品原価と人材、そして店舗へ投資
  • 付加価値の高い商品をつくる(原価にしっかり投資する)
  • 顧客に付加価値を提供できる人材と、価値を提供できる店舗をつくる
    (詳しくは「アパレル業界の縮小する国内市場で勝ち抜く粗利経営」を参照)

リテールメディアをはじめとする広告の重要な役割の1つとして、顧客の共感を生むことが挙げられます。消費者にとって、広告は多すぎれば辟易され、関心がない広告であれば避けられます。逆に共感できる内容であれば心地よいものです。

まとめとして、再びNIKKEI the STYLEから引用したいと思います。

電子化が進むほどにセレンディピティー(偶然の出会いや発見)が失われるとすれば、驚きや感動を伝えるメディアとしての店舗や宿の価値はますます高まるはず。いつの時代も人は常に心のどこかで想像を超えた刺激を求めているのだから。

2023年12月17日付日本経済新聞NIKKEI the STYLE カルチャー面

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