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【DX事例】TSIが実践する全社DXとは

2023/2/20(月)に、WWDJAPAN主催のオンラインセミナーに「TSIが取り組む全社DXの最前線」というテーマで出演いたしました。

当日ご参加いただきました皆様に、御礼申し上げます。

本記事では、DXを推進しているTSI様の取り組みについて具体的にご紹介致します。DX推進でお困りの方の参考になれば幸いです。

DXについてはこちらの記事でもご紹介しております。
https://full-kaiten.com/news/blog/5323

登壇者:和田 浩幸氏(TSI ナノ・ユニバース事業部 WOMEN’Sセクション長)
    谷 隆志氏(TSI 事業戦略統括ディビジョン 事業戦略部 戦略策定課長)
    宇津木 貴晴氏(フルカイテン株式会社 取締役COO)

TSIが捉えるDXとは効率化と価値観の見直し

谷氏:私が考えるDXは2つ、効率化と価値観の見直しだと考えています。

効率化については皆さんすぐに思い浮かぶかと思いますが、価値観の見直しというのは、DX化で見られるものが多くなったことにより、今まで考えてこなかったことと向き合う必要ができました。こういう意味で価値観の見直しだと考えています。

宇津木:考え方を変えるってすごく大事ですよね。ですが、これまでの常識やバイアスで物事を捉えてしまうことってどう意識をしても出てくると思うのですが、考え方を変える上でどうしていますか?

谷氏:アパレル小売業はどうしても今までの成功体験や感覚を信じてしまうことがあるかと思うのですが、柔軟な思考を持ってデータと向き合うことを意識していました。

和田氏:私の場合は現場寄りの話になりますが、今まではシステムを用いて収集したデータを人が取捨選択をして何を実行するかを考えていました。しかし様々なプロセスを経て、データ量も使いやすいソリューションも増えてきている中で、ある程度は分析部分をシステムに委ねた方が良いのではないかと思うようになりました。

またDX化でシステムが上手く取り入れるようになると、能力のムラや判断のスピードが一定にできますし、部門間の壁を取り払って全社の状況を理解した上で仕事ができるんじゃないかと思います。

宇津木:部分的なシステム活用から徐々に範囲を広げていって、人とシステムの棲み分けが明確になっていったんですね。

では、DXにおいてTSI様が具体的に取り組んでいることを教えてください。

谷氏:チャットやビデオ会議の導入やAIでの需要予測、商品サンプルの3D化やそれを用いたVRの実験などに取り組んでいます。

その中の一つとして今FULL KAITENを導入しており、在庫の数値化や施策の検討をさせて頂いております。

FULL KAITENの活用法

宇津木:FULL KAITENとは、全ての在庫をAIで予測・分析し、商品力はあるのに眠っている在庫を明らかにするシステムです。

このFULL KAITENを導入した当時はどのような課題があったのでしょうか?

和田氏:今までは売上起点の指標を見ていたため、過度な値引きをしてしまったり、そもそも作りすぎてしまっていたことがありました。

FULL KAITENの場合、売上ではなく粗利を伸ばすシステムという部分がまず素晴らしいなと思いました。あとはプロパー消化率の向上や不要な値引きの抑制など、小売業に必要な課題を本当にFULL KAITENで解決できると思った点が導入決定の決め手になりました。

宇津木:ありがとうございます。ただ、最初そこまで前向きだったかと言われるとそうでもなかったとか?

和田氏:そうですね(笑)FULL KAITENに限らず、導入するシステムを真に理解して使いこなすには労力と時間はかかりますから、最初から前向きな人は中々いないのではと思います。

FULL KAITENに関して、最初は分析ツールというより帳票作成が効率化できるなど、業務効率化を期待していた部分が大きくありました。

システムを触っていく中で利用者であるDB・MDから細かい課題やリクエストが積極的に出てくるようになり、理解が進むにつれて施策実行などのアクションが増えていったなと思います。

宇津木:実際に導入頂いて1年ほど経ちましたが、導入後の感想を率直にお伺いできますか?

和田氏:1番変わったのはやはり分析部分だなと思います。先ほども申し上げた通り、今までは1から人力で行っていたのですが、FULL KAITENで算出された分析結果を基にアクションするという部分が非常にスピーディーになったなと思います。

その他、各在庫の状況把握や不要なところから必要なところに移す店間移動のアクション・値引きに至る前の打ち手検討もFULL KAITENでできています。

宇津木:FULL KAITEN導入前、分析できる環境はあったが、あまり活用が進んでいなかったとお伺いしています。以前と今でどのような差があるのでしょうか?

和田氏:元々マスタ情報を登録すれば、細かくいろいろな角度で分析できる基幹システムを導入していました。私はその基幹システムと長い間向き合ってきていたので、分析してきたつもりではあるのですが、ナノ・ユニバースは後から基幹システムを導入したので中々活用し切れずにいた部分があったのだと思います。

分析については基幹システムでもFULL KAITENと近い情報が出せていたのですが、FULL KAITENの方が決定的に早く、見やすく、使いやすいです。また、誰でも同じ粒度で分析が可能なのも良いなと思います。

宇津木:FULL KAITENは元々自社で小売をしており、自分達で使うために作ったシステムなんです。実際に現場で使えるか?を非常に重視していたため、そのようなお言葉をいただけて嬉しいです。

ベンダーへ行った逆プレゼンでDXが浸透

宇津木:弊社では、導入企業様がFULL KAITENを使いこなせるよう支援する担当がいるのですが、以前TSI様の支援担当から「TSI様からすごい逆プレゼンをされた!」と興奮気味に言われたことがあります。

実際に逆プレゼンをして下さった谷様から、その具体的な内容を教えていただけますか?

谷氏:新しいシステムを導入すると中々みんなが使ってくれないという問題はよくあると思います。しかし、使わないことには何も改善されないですし始まりもしないので、まずは仲良くなろうと思いました。

まずは自分達の業務を知ってもらって、FULL KAITEN浸透に向けて業務の洗い出しワークショップをやりたいと提案しました。

その他でいうと、最初はFULL KAITENでいうBetterの商品に対するアクションが既存の対策に限られていました。そのため、こういうことがしたい時はどんな検索条件で絞れば良いのか?プロジェクトとしてどのように進めれば良いのか?を担当の方にご相談していました。

実際の活用についてもお話しさせていただきます。

例えば、とある店舗でVMDを強化したい時は、トルソーに着せている商品の評価をしています。この時はほぼ全てBestの商品だったので売上に繋がっているという結論だったのですが、そうではない商品が見つかった場合は他の店舗で売れていて自店で売れていない商品は何なのかを分析していました。

最近ではインスタライブで使う商品の選定もFULL KAITENを使っています。今までは利益率が低くても気にせず売りたい商品を紹介していたのですが、今はFULL KAITENを使って本当に売るべき商品を紹介できるようになりました。

宇津木:ありがとうございます。業務の洗い出しワークショップを谷様にご提案いただいてからFULL KAITENの活用が活性化したと弊社も考えていて、現在は他のお客様でも実施させて頂いています。

2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」の中で、今後企業がやるべき対応策を5つ発表したのですが、そのうちの一つに「ユーザー企業とベンダー企業は新しい関係を築くべき」というものがあったんですね。

どういうことかと言うと、今までベンダー企業としての役割は導入して終わりなことが多かったのですが、谷様や和田様が仰っていた通り、システムは導入して終わりではなく自社に合わせて活用することが非常に重要です。

なので、これからはユーザー企業とベンダー企業の関係はDX化を推進する共創パートナーになるべき、ということなんですね。

まさにこの逆プレゼンというのは、TSIさんの方から共創パートナーになるべくグイっと入ってきていただいたと感じました。

これからのユーザー企業とベンダー企業の関係はDX化を推進する共創パートナーになるので、TSI様に逆プレゼンいただけて本当に良かったなと思っています。

他の導入企業様ともこんな関係になれるよう、弊社ではプロダクトと同じぐらい人的支援にも力を入れているのですが、実際の印象はいかがでしょうか?

和田氏:すごいなと思っています。特に現場から出た課題点やミーティングででた変更内容を反映させるスピード感には本当にびっくりしました。

今まで、システムを導入して終わりのところはたくさんありましたが、活用できるように一緒に考えてくれて本当に手を動かしてくれるベンダーさんには出会ったことはなかったです。

宇津木:もちろん支援が上手く進んでいる企業もそうではない企業もあります。その理由は様々あるのですが、TSI様の場合、あーしたい、こうしたいという要望をたくさん出していただいている点が活用が活性化されている要因の一つだと思っています。

DX推進できる人材や組織作りが今後の課題

宇津木:TSI様は今後どうDXと向き合っていきたいと考えていますか?

谷氏:手段としては、積極的に受け入れていく必要があると考えています。ですがシステムででた分析結果をなんでも鵜呑みにするのではなく、分析結果を一つの判断材料として捉えて、人間の手で今までないような評価ができれば良いなと思っています。

宇津木:ありがとうございます。最後のご質問になりますが、TSI様が今後より結果を出していくために必要だと感じていることを教えてください。

和田氏:よりシステムが浸透していくように、DX推進ができる人材や組織作りが必要だなと考えています。

質疑応答

Q.FULL KAITENを使いこなすのにどれくらい時間がかかりましたか?

和田氏:あえて時間をかけた部分もあるため、1年ぐらいかかりました。欲張りすぎず最初は店間移動だけなどポイントを絞って導入し、徐々に利用範囲を広げていきました。

Q.FULL KAITENはどんなシーンで使っているか具体例を教えてください。

和田氏:在庫のフォロー出荷やECや店舗での店間移動。あとは値引きの判断やオフ率を決める際に活用しています。

まとめ

  • TSIが捉えるDXとは効率化と価値観の見直し
  • システムは導入して終わりではなく自社に合わせて活用することが非常に重要
  • TSIはベンダーへの逆プレゼンを行い、DX推進を加速させた
  • これからのユーザー企業とベンダー企業の関係はDX化を推進する共創パートナーであるべき

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