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販売管理とは?基本からシステム導入時に気をつけたい7つのポイントを解説

最終更新:2022年12月14日

小売業をはじめとした企業活動のお金とモノの流れを管理する「販売管理」は、業界・業種を問わず必ず実行しなければならない業務です。

IT化が進んだ昨今、規模を問わずシステム化している企業が大半ではないでしょうか。そして販売管理システムの選定・導入などの場面で「そもそも販売管理とは?」「どんなメリットがあるの?」「販売管理の業務フローは?」など多岐にわたる疑問が出てくるのではないでしょうか。

本稿では、販売管理の基礎知識や効率化のヒント、システム選定のポイントなどについて解説します。

販売管理の基礎知識

販売管理とは

まず販売管理とは何でしょうか。販売は、商品やサービスを買い手に引き渡し、対価となる財貨を受け取る活動のことです。文章に表現すると至極単純に見えますが、実際のビジネスではしっかりと管理すべき業務が多く存在します。

  1. 仕入管理
  2. 受注処理
  3. 商品出荷
  4. 売上処理
  5. 在庫管理
  6. 請求管理
  7. 代金回収

などです。

お金が商品に換わり、商品が再びお金に換わる一連の流れを管理するのが販売管理なのです。

購買管理との違い

似た用語に「購買管理」があります。購買とは、一般には必要な物資を買い入れることを指します。企業においては「必要な資材を」「必要なタイミングに」「必要な量だけ」「できるだけ高品質な資材を」「安定的に」「できるだけ安く」購入し、「必要な部門に確実に届けて使われる」までのプロセスが含まれます。

いわば、主に仕入れと在庫にかかる業務の管理であり、売上に関する業務を管理する販売管理とはセットになるものといえるでしょう。

販売管理を行う目的

1.損益の把握と利益の向上

販売管理を行う目的の最たるものは、「損益(採算)を把握し、利益を増やす」ことです。一連の販売活動は仕入れ、入荷、受注、出荷、請求書発行(即時決済でない場合)といった様々な業務で構成され、当然ながらそれぞれにコストが発生します。

こうしたお金の流れとコストを取引ごとに記録していくことで、正確な損益を把握できるようなります。損益を把握できなければ、利益を上げることは覚束ないでしょう。

2.業務の適切な管理

販売管理の対象となる仕入れ、入荷、受注、出荷、請求書発行(即時決済でない場合)などの様々な業務は、企業ごとに処理ルールや手順が決まっています。取引ごとに一つひとつの業務が適切に処理されているか、処理に漏れがないかどうかをチェックすることは、損益の把握でなく不正防止などの内部統制の観点でも非常に重要です。

販売管理の仕組みがあれば、こうした業務の適切な管理が非常にやりやすくなるといえます。

3.顧客との関係構築

顧客との関係構築も、販売管理の目的の1つになります。経済が右肩上がりの時代はとうの昔に終わり、現在は1人(1社)の消費者(顧客)との取引を太くし、関係を密にして長く付き合うことが求められています。

よく知られたLTV(顧客生涯価値)を最大化させるという考え方ですね。LTV向上には個客ごとの関係性とコミュニケーションを一元的に管理することが必要不可欠ですが、ちゃんと販売管理を行って顧客データを整理して把握することが大前提となります。

販売管理の業務フロー

販売管理の業務フローはB2BかB2C、製造業、卸売業か小売業という業種・業態の違いによって若干異なりますが、大別すると次の5つになります。

1.受注管理

まず受注管理です。顧客から注文があれば商品の見積もりを行い、価格や納期、納品条件を伝達します。相手方と見積書の内容で合意できたら契約締結となり、その内容を受注データとして管理します。

小売業においては、ECサイトがイメージしやすいと思います。顧客が購入商品をクリックしたら、配送先と物流センターとの距離、在庫引き当て状況などから納期(配達日)を決定し、データとして蓄積します。

2.出荷管理

次の出荷管理では、受注データに基づいて商品を出荷し、顧客へ納品する業務までを管理します。デジタル、紙ベースいずれも受注伝票のデータを基に「出荷指示書」のような帳票が発行され、在庫担当者は出荷を準備します。

配送をアウトソーシングしている場合は業者へ指示を出します。この後、納品伝票や受領証に顧客からサインまたは受領印をもらい、着品を確認します。

3.請求管理

請求管理では、請求金額を確定して顧客に請求書を発行し、入金期限までに支払いがあるかどうかを確認します。小売や卸売で継続的に取引がある顧客の場合は通常、「月末締め」などで区切った一定期間内の売上をまとめて請求します。

請求書には明細欄があり、売上の日付、商品品番、数量、単価など、販売管理にとって重要なデータが記されます。

4.仕入管理

商品を売るためには仕入れが必要です。仕入管理では見積もり依頼、購買契約、発注、入庫・検収、支払いという業務の流れになります。

発注までに仕入単価、割り戻し額(ボリュームディスカウント)、納期などが決まるので、入庫時に検収し、約定数量と品質が担保されているかを確認します。検収結果を基に仕入伝票を起票し、仕入れ先から受領した請求書に基づいて期日までに支払いを行います。

5.在庫管理

在庫管理は、商品を仕入れてから販売するまでの間、仕入れ先情報や商品マスタと紐づけて商品の在庫数を管理する非常に重要な業務となります。商品の入荷時および出荷時に単価、数量、金額で管理します。

また、データ上(帳簿上)の数字だけでなく、倉庫や店頭の実物量を把握する現地棚卸しも必要になります。

この在庫管理については、下記の関連記事で詳しく解説しています。
https://full-kaiten.com/news/blog/3325

販売管理システムとは

販売管理なくして企業活動なし、ということを前章まででご説明いたしました。それでは販売管理を行うために必須となる、販売管理システムについて見てみます。

販売管理システムとは、販売管理における一連の業務を効率的かつ適切に行うためのシステムです。

具体的には、以下のような機能が内蔵されています。

  • 販売管理機能
    • 見積書・請求書作成、契約・受注管理
  • 在庫管理
    • 在庫管理、入出庫管理、棚卸
  • 購買管理
    • 商材発注、仕入先・サプライヤー管理

販売管理システムのメリット

販売管理なくして企業活動なし、ということを前章まででご説明しましたので、販売管理システムのメリットについて見てみます。

1.収支の可視化

販売管理の肝は「いつ、誰に、何を、いくらで、どこで、どれだけ」販売したのかというデータを把握して集約することです。

小売業のケースで考えてみると、そもそも販売によって入ってくるお金というのは、先に仕入れに費やしたお金に利益分を上乗せした金額を回収するものでなければなりません。販売管理の対象となるデータを集計すれば、取引ごと、ひいては商品ごとの収支(損益)を見える化できます

2.業務の効率化

販売管理には様々な作業が必要ですが、手作業では入力ミスや人による作業品質のばらつき(属人性)がどうしても生じます。また、入力から管理まで多大な労力と時間を要してしまいます。

販売管理システムを導入すれば、人的ミスが大きく減少するほか、全ての担当者で管理方法を共有でき、業務が効率化します。人件費をはじめとしたコストが下がることで、利益率が改善するでしょう。

3.トレンドをおさえた販売予測

販売予測(需要予測)を行うには、商品ごとの細かいデータが必要になります。販売管理システムを利用していると、決まったルールでデータを集約していますから、販売予測の点でもメリットがあります。

例えば、取引先・地域ごとの出荷状況や在庫の増減を追うことで販売動向を分析でき、仕入れの判断の参考にできるようになります。

4.データの蓄積

システム化によって、販売管理データを蓄積できるようになります。データは企業にとって“宝”であり、CRM(顧客関係管理)マーケティングにも必要不可欠なものです。

さらに、データが蓄積されると需要予測の精度が向上します。この場合、データはフォーマットが統一されている、抜けが無い、など綺麗でなくてはいけません。販売管理システムがきちんと機能していれば、データの加工も容易になります。

また、近年重視されるようになった原材料等のトレーサビリティ(流通過程の追跡可能性)を明らかにするという面でも、データの蓄積による可視化は効果を発揮するでしょう。

販売管理システムの選定ポイント

こうした販売管理の重要性を踏まえ、販売管理システムを選ぶうえでのポイントを考えてみましょう。

1.課題解決に必要な基本機能を洗い出したか?

販売管理システムの導入を検討しているということは、何か課題を抱えているはずです。

  • 売上の増加に伴い、業務の実態が合わなくなってきた
  • 売掛金・買掛金の管理が限界。人的ミスも無くしたい
  • 得意先の注文指示が細かいので、入力を自動化したい
  • データ分析で新たな顧客層を開拓したい

などなど。導入するシステムは、そうした課題を解決するものでなくては無用の長物になってしまいます。まずは自社の課題をしっかりと定義し、それに対応した基本機能を洗い出すことが肝要です。

2.自社の業種・業界に精通しているか?

例えば、同じ販売管理システムでも、メーカー、卸売業、小売業という業種や食品、アパレル、雑貨、化粧品といった業界別に向き不向きがあります。商慣習は業界ごとに違い、業務フローもそれに左右されるという面もあります。

そのシステムの導入事例やトップメッセージなどをよく読み、自社の業種・業界に精通しているかどうかは最低限、調べておくべきでしょう。

3.企業規模にあったシステムか?

会社の規模によって販売管理にかかわる従業者数も変わります。大企業であれば、データ量や操作人数の多さに耐えられるようオーダーメイドが必要になるケースも多いでしょう。逆に中小企業では、必要な機能を備えたパッケージシステムで安価で済む場合が多いと思います。

4.販売情報を一元管理できるシステムか?

現在は販売管理システムからデータを人為的に取り出すことなく、販売管理システムとAPI連携することで他のシステムやソフトウエアに販売データを自動的に取り込み、様々な顧客分析やマーケティングを行う行動が当たり前になっています。

販売情報を一元管理できない販売管理システムでは、こうしたことができません。せっかくのシステム化のメリットが半減してしまいます。

5.クラウドか?オンプレミスか?

インターネットを経由してシステムを利用するクラウド型(SaaS)か、自社内でサーバとネットワークを用意するオンプレミス型かという点も重要です。

SaaSだと初期費用と保守コストを低廉に抑えることができます。ただし、SaaSは大きなカスタマイズができないことが大半であることに注意が必要です。

6.入力や操作がしやすいか?

システムとしては、使いやすさなどのUI(ユーザインターフェース)も大変重要です。使い勝手が悪くては、作業効率化というメリットが薄れてしまいますし、入力時や操作時にミスが起きては元も子もありません。

自社の業務フローに合わせて入力や操作をしやすくするため、カスタマイズが可能であれば検討することも必要でしょう。

7.サポート体制が整っているか?

販売管理システムも機械である以上、エラーやバグなどによって障害が起き、急に使えなくなることも想定されます。そういった場合、いかに早く復旧させられるかが重要です。オーダーメイドシステムを自社で運用するのであれば、保守担当者がいつでも対応できる体制にしておく必要があります。

ベンダー側によるサポートがある場合は、体制が手厚いシステムにするという選択肢があります。また、クラウド型(SaaS)はシステムがインターネット経由で提供されるので、障害の復旧はSaaS会社に委ねられます。その復旧体制がどうなっているかもポイントになるでしょう。

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