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2020年SS(春夏)の販売に苦戦、滞留在庫を抱えたアパレルが今後とる戦略は?

新型コロナウィルス流行の影響は、アパレル企業の2020年SS(春夏)新作商品の売れ行きにおいても大打撃を与えました。

多くの企業は景気の好転が見えない中、滞留在庫やキャッシュフロー悪化により2020年AW(秋冬)の生産・発注を絞らざるを得ない状況になっています。

そこで、今回は「既に抱えてしまった在庫をどうしていくか」「今後の戦略(販売計画・仕入れなど)をどうしていくべきか」の2点について、実際の事例を交えてまとめてみたいと思います。
まずは、既に抱えてしまった在庫の対応について述べていきます。

次シーズンに商品をキャリーし、プロパー(定価)で再販する

新型コロナ流行による臨時休業が明けた百貨店の婦人服。国内客の売上高は前年比80%に減ったものの、その後、想定以上の売れ行きで推移しているとのこと。

2020年6月23日付の繊研新聞において、阪急阪神百貨店にて婦人服担当責任者の佃尚明氏はこう語っています。

「売れているのは完全にプロパー商品。時期が遅れた春物の値下げ品よりも、やはり今欲しいものです(中略)来春まで商品をキャリーし、プロパーで再販しても良いと思っています」

2020年6月23日付の繊研新聞

背景には、SDGs的な観点でサステイナビリティ(持続可能性)に着目する必要性が高まってきたこともあるといいます。

また、昨今では画一的なトレンドに合わせた商品でなく、個性的な商品が売れるようになってきているそう。そうすれば、毎年トレンドに合わせた新商品を作るのではなく、各ブランドのアイデンティティに合わせた商品を長期間保持しプロパーで売ることが可能になってきます。

自商品をトレンドに合わせるのでなく、ブランディングやアイデンティを確立することが、プロパーでの販売率や利益率アップに繋がると言えます。

同じような事例は、過去のブログで紹介している家具ECのRe:CENO(リセノ)のケースもご参照ください。

オンリーワンのブランディングで、SKU数を半減!薄利多売モデルからの脱却へ

大きめのセールで一気に売り切る

こちらはオーソドックスな手法です。プロパーでの販売よりも利益率が悪化するものの、滞留在庫をキャッシュに換えるという意味ではまだまだ必要な施策です。

繊維産業全般とファッション情報に詳しいジャーナリスト南充浩氏に寄稿いただいたブログにはこうあります。

店頭の割引セールやネット通販での最終値引き処分を見ていると、相当そこで消化していると考えられます。(中略)「値引きセールをしない」ということが眼目であるなら、それは確かに達成できていませんが、こと消化に関していえば、セールを含めるとかなりの割合で消化できていると考えられます。

ザイコロジー・ニュース

今回のような新型コロナウィルスの影響は誰にも予測できなかったため、在庫の消化率を高めるにはセールもやむなしです。

しかし、何度も値引きセールやクーポンの乱発を行えばブランド価値が毀損してしまう恐れもあります。やるのであれば、年に数回の大きめのセールで一気に売り切るなど工夫が必要でしょう。

次に今後の戦略について述べていきます。

ECでサプライチェーンを効率化、在庫ゼロを目指す

オンワードホールディングスでは、2021年2月期に国内外で約700店舗を閉店することが明らかになりました。2020年6月3日付の日経MJ新聞では、保元道宣社長がこう語っています

大半の店舗が休業し、中核のオンワード樫山の5月の店舗売上高は前年同月比で約8割減った。その一方でEC売上高は約8割増えた。店舗の減収分を一部カバーし、グループ全体の売上高は前年実績の5割強の水準だ。

ECを中心に据えた経営戦略を今後、明確にしたい。3~5月の実績で見ても、EC売上高は前年同期比で6割増えている。実店舗の補助的な事業では、もはやない。

2020年6月3日付の日経MJ新聞

店舗はショールームとしての機能が強まるとの見解を示し、ECを中心に据えた経営戦略にするとのこと。

また、サプライチェーンの効率化、コスト削減や価格競争力向上の観点から、D2C(Direct to Consumer、消費者直販型)にも注力していきたいと述べています。

受注した商品をその都度作るようになれば、究極的に在庫はゼロになる、消費者の購買データを商品開発に生かすこともできる、とビジネスモデルを根本的に見直す方針を固めているようです。

「必要以上に欠品を恐れる」ことからの脱却

新型コロナウィルスが終息しても、売上が元に戻るわけではないと語るのは、マーガレット・ハウエルやナチュラルビューティーベーシック、ナノ・ユニバースなどのブランドを展開するTSIホールディングスの上田谷真一社長です。

同じく2020年6月3日付の日経MJ新聞において、上田谷社長はこう述べていました。

トレンドを予測しきれぬまま、季節を先取りした商品を作り、『欠品は悪』との意識で店に並べ続けた。セールを良しとする文化もあった。それが過剰ブランド、過剰在庫を生み、収益力を低下させてきた。


2020年6月3日付の日経MJ

作れば作っただけ売れた時代と違い、今後は人口減少により需要・消費力は減退していく一方です。もはや野放図な大量生産のビジネスモデルは経営破綻を招くものでしかないでしょう。

今後の方針として、 上田谷氏は生産数を抑え、プロパーでの販売率を高めていくと宣言しています。

端的に必要な数だけを作り、プロパー(定価)販売する。今後は投入する点数を現在の8~9割に抑え、(現在ブランドごとに5~7割の)プロパー販売比率を8~9割まで引き上げたい。

2020年6月3日付の日経MJ

消費者の嗜好にもっと寄り添うブランドを

さらに、上田谷氏はこうも語っています。

消費者の嗜好にもっと寄り添うブランドを育てたい。ユニクロのように『工業製品』として良品でかつ低価格という勝負は我々には難しい。価格競争に巻き込まれた時点で負ける。多少高くても、顧客が買いたいと思うようなデザイン、品質を追求するほかない。

2020年6月3日付の日経MJ

株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインの事例のように、コーディネートブックの作成やECに掲載する商品画像の強化により、商品の良さを伝えることで、高価格帯でも買いたいと思う消費者層を増やすことができます。

また、 上田谷氏は生産拠点を国内にすることで、質の高い商品を作ること、ひいては生産拠点を国外に依存してしまうリスクを回避できることにも触れています。

生産の国内回帰も進む。山形県や宮崎県の工場では7万円台で非常に良いコートができる。少量多品種生産にも対応できる国内工場は、重要性が増す。中国依存のリスク分散にもつながる。

2020年6月3日付の日経MJ

外出自粛や在宅勤務の普及による消費行動の変化も積極的に取り入れていくとのことです。

巣ごもり消費の中でも、女性らしいフェミニンな部屋着のニーズが増している。我々のブランドでは『ジルスチュアート』などにその傾向が強い。商品の個性をきちんと立て、顧客の趣味に応えられればブランドとして生き残れる。

2020年6月3日付の日経MJ

以上、紹介したように、新型コロナウィルスの流行をきっかけに、各社ともビジネスモデルやブランド戦略を抜本的に変えていくことを窺い知ることができました。
弊社が開発・提供しているクラウドサービス「FULL KAITEN」も、まさにこれからの小売企業の変化の一助になるものといえます。

滞留在庫にメスを入れることで、「今ある在庫」から売上を増やし、結果として不良在庫の削減が実現できます。

具体的にどんな機能を使ってどういうことができるかが知りたい方は、以下のフォームよりお問い合わせください。

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(マーケティング 江崎百佳)

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