ソーシャルコマースとは?注目されている理由から活用事例を徹底解説
商品の発見から購買までをSNS上で行えるソーシャルコマース。SNSの利用者が増加するとともに、多くの企業で活用されています。
本記事では、ソーシャルコマースの基礎から注目されている理由、活用事例を解説します。
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ソーシャルコマースとは
ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディア(SNS)上で商品の販売を行う手法です。一つのプラットフォームで商品の発見から購買(または自社ECへの誘導)をワンストップで行うことができるのが特徴です。
SNSが普及する以前は消費者の耳に入る情報が限られていたため、企業による宣伝・広告が購買までの大きな要素でした。
しかし現代ではX(旧Twitter)やインスタグラムをはじめとするSNSの利用者数が年々増加したことで、様々な情報が溢れています。これにより、一般消費者による生の声が購買プロセスにおいて重要な意味を持ち、生活者の63%が購入前にSNSで商品の口コミを探している(※)という調査結果も出ています。
※引用元:つなweB(https://tsunaweb.book.mynavi.jp/tsunaweb/tsuna/detail/id=3994)
上記のような背景から、オンラインとオフラインの垣根をなくしたマーケティング手法であるOMOが浸透したことも起因し、ソーシャルコマースが注目を集めるようになりました。
実際、アライドアーキテクツの調査によると、多くのSNSで約35%以上の人が「SNSで商品を知り、その場で商品購入に至った」と回答しています。
ソーシャルコマースと類似単語との違い
ソーシャルコマースとEコマースの違い
似たような意味を持つ単語として、Eコマースとライブコマースがあります。
まずEコマース(EC)は、自社ECやモール型ECなどインターネットを介して商品を販売することを指します。SNSの役割はあくまでも、商品に関する投稿などによる集客施策の一つであり、販売に関してはECサイトに誘導させる必要があります。
ソーシャルコマースもEコマースの1種ではありますが、SNSでの集客に加えて販売までSNS上で行えることができます。Eコマースと違い、SNSが起点となることで顧客側の利便性向上と手軽に運営できることが特徴です。
ソーシャルコマースとライブコマースの違い
商品の投稿をきっかけに購買を促す手法のソーシャルコマースと違い、SNSでのライブ配信中に商品を紹介し販売する手法がライブコマースです。役割が違うわけではなく、ソーシャルコマースから発展した一つの手法です。
コロナ渦の外出禁止の影響で店舗が休業や時短営業になったことで、ライブコマースが流行し、現在も多くの企業で活用されています。
ライブコマース最大のメリットは、実店舗と近い購買体験を提供できることです。配信者側が商品を着用して登場することで、実際に着用した際のイメージや素材感等を視聴者に伝えることができます。また、視聴者からの質問にリアルタイムで答えることも可能なため、画像だけでは伝えきれない商品の魅力を伝えることができます。
ソーシャルコマースの種類
ソーシャルコマースは、プラットフォームの特徴やユーザーの購買行動から様々な種類に分類されます。
今回は、日本でも多く活用される5種類をご紹介します。
SNS・ソーシャルメディア型
SNSでの投稿から購買まで繋げられるタイプを指します。InstagramやFacebook、Pinterestが該当します。
CtoC型
“Consumer to Consumer”の言葉通り、一般消費者同士で売買を行うタイプ(=フリマ)を指します。メルカリやヤフオク!、Amazonマーケットプレイスが該当します。
レコメンド型
メディア内に寄せられた商品レビューや口コミを活用し、購買を促すタイプを指します。Amazonやアットコスメが該当します。
ユーザー参加型
商品を購入するだけではなく、クラウドファウンディングを通して投資や企画に参加するタイプを指します。CAMPFIREやREADYFORが該当します。
ユーザーキュレーションタイプ
各ユーザーが公開している、購入・お気に入り商品をまとめたリストから購入できるタイプを指します。楽天が提供している、ROOMが該当します。
ソーシャルコマースのメリット
自社ECへの誘導施策の一つになる
今やほとんどの企業がECサイトを活用していますが、自社ECへの誘導に課題を持っている企業は多く存在します。そこで有効なのが、ソーシャルコマースです。
上述の通り、ソーシャルコマースでは一つのプラットフォームで商品の発見から購買と自社ECへの誘導をワンストップで行うことができるため、自社ECでの購買に繋げることができます。
さらにレコメンド機能を活用し他ページへ遷移させることで、客単価向上にも繋げることができます。
自社ECとECモールで粗利140%増となった方法を解説した記事はこちら>
手軽に運営できる
Instagramなどの購買まで完結できるSNSであれば、新規でサイトを構築する手間がありません。
自社ECをフルスクラッチで構築する場合は500万円以上の費用と莫大な時間がかかるため、まずは小規模でEC運営を考えている方は非常におすすめです。
ソーシャルコマースの活用事例
ルイ・ヴィトン
ソーシャルコマースは中国市場が最大とされており、2018年7月25日付けの東方新報によると、2020年時点でEC市場全体の31.3%をソーシャルコマースが占めることが予想されていました。
参考:東方新報,中国の「ソーシャルコマース」 今年の市場規模1兆元超える見通し
そんな中、2020年に中国の主要SNS「RED」で、高級ブランドとして初めてライブストリームイベントを行ったのが「ルイ・ヴィトン」です。ルイ・ヴィトンの販売員が自社商品を着用して登場しました。
中国は特に新型コロナウイルスによる外出制限の規制が厳しかったこと、偽物が出回りやすい市場であるためブランド公式による発信が安心感に繋がったことで、再生回数5万2,000回以上を記録しました。
GU(ジーユー)
Instagram公式アカウントの総フォロワー数が265万(23年10月時点)にも上るGUの最大の特徴は、新商品の投稿やブランディングを意識した投稿がメインの「gu_global」と販売スタッフや一般ユーザーによるコーディネート紹介がメインの「gu_for_all」の2アカウント存在することです。
ソーシャルコマースの面においては、「gu_for_all」アカウントで多くの工夫がされています。
新作や商品カテゴリごとにハイライト(※)の作成や「#ジーユー購入品」「#今日の服」といった一般ユーザーも活用するようなハッシュタグの大量設定、「あなたはどっち派?」などの対比構造を使ったクリエイティブなど、投稿が目に入りやすくなるように様々な工夫がされています。
※投稿から24時間経過後に消える「ストーリー」をプロフィール上に表示させ続ける機能
さらに、活用してほしいハッシュタグをプロフィール欄に記載することで、一般ユーザーによるバズりの醸成にも繋げています。
まとめ
- ソーシャルコマースとは、ソーシャルメディア(SNS)上で商品の販売を行う手法
- SNS利用者数の増加と、一般消費者の声が購買プロセスにおいて重要な意味を持ったことで、活用が広まった
- ソーシャルコマースを活用することで、自社ECへの誘導施策の一つになる