売上・粗利・在庫消化を促進する値引きの方法とは?
値引き施策とは非常に面白く、売上を上げることも、粗利を上げることも、在庫消化をすることもできます。
しかし施策の目的ごとに戦略が変わるため、値引きを行う際は戦略立てが非常に重要です。本記事では、施策別にどの品番に対してどの時期にどんな価格設定をすれば良いかを徹底解説します。
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値引きをする前にプロパー販売を徹底する
値引きと一言で言っても、施策の種類によって在庫消化や売上、粗利を向上させることが可能です。しかし、良くも悪くもPLに与える影響が大きいため、やり方を間違えると業績不振に陥ってしまいます。
そもそも、値引きというのは最終手段です。無駄な値引きは利益毀損に繋がるため、値引きをしないに越したことはありません。
そのため、値引きをする前に商品ライフサイクル(※)に沿ってプロパー販売を促進していくことが重要です。
※商品の投入から完売までのプロセス
商品ライフサイクルについてはこちらの記事で詳しく解説しております。
新商品を投入し露出強化を行っていくと、売れる店舗と売れない店舗が出てきます。初動をみて、なぜ売れているのか?なぜ売れないのか?を販売チャネルごとに要因分析した上で、その結果を全社計画に反映します。
その後はピークイン(※)のタイミングで、売れる店舗へ売れる在庫を移動し、再度露出強化を行います。そして、それでもプロパーで売り切れなかった時に初めて、値引きの意思決定が必要になるのです。
※売上が大きく伸長する時期
また値引きをする際は、なぜプロパーで売り切ることができなかったのか?を特定するために以下のような分析を行う必要があります。
- 在庫量は適正だったか
- 販売期間は適正だったか(売り始めが遅すぎ/早すぎてはいなかったか)
- 上代価格の設定は適正だったのか
- 商品そのものが失敗だったのか
- 売り場や販売体制などの現場の実態はどうだったか
そして、業績が良い企業では上図①〜④の工程が素早く実行されており、売れない商品の値引き判断も早く行われています。
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成果が出る値引きの方法
値引き施策を行う際は、売上を上げたいのか、粗利を上げたいのか、消化促進をしたいのか、目的を明確にした上で、以下3要素の理解と実行が必要になります。
- 品番選定:どのカテゴリー(シーズン、部門、価格帯 etc…)で
- 実施時期:どの時期(ピークイン〜シーズンアウト)に
- 価格設定:いくら(10%OFF、20%OFF、30%OFF)にするか
では次に、主要な値引き施策である「期間限定価格」「売価変更」のポイントを解説します。
期間限定価格
「期間限定価格」は、入店客数・買上率・買上点数アップが見込めるため売上アップを目的とした集客施策として使われることが主です。
また、単品粗利率の高い商品を打ち出すことで粗利アップにも繋げることができる他、定番品や売上不振商品を打ち出すことで在庫消化を促進することも可能なため、非常に汎用性の高い施策です。
期間限定価格を設定する際は、消化ベースに乗っていない商品を選定することが前提となります。その上で、売上アップ、粗利アップ、消化促進の各目的ごとに商品選定を変えていきましょう。
売上アップを目的とする場合は、消化ベースに乗っていない商品に加えて、顧客需要の高い商品と時節を考慮した商品を選定します。
顧客需要の高い商品とは、多くの人が欲しいと思う、いわゆる売上上位の商品を指します。SNSや広告で目にした時に、実際に店舗へ行きたいと思ってもらうためには顧客需要の高い商品を打ち出すことが有効です。
時節を考慮した商品とは、月のイベントとお客様の購買心理に合わせた商品です。例えば、端境期(はざかいき)と呼ばれる2月〜3月はシーズンの変わり目のため、ボトムやインナーなどの買い換え需要が発生します。そのため、2月末〜3月にかけてボトムやインナーなどを打ち出すことで売上アップに繋げることが可能になります。
粗利アップを目的とするときは、消化ベースに乗っていない商品に加えて、顧客需要の高い商品と粗利率の高い商品を選定します。
例えば、全社粗利率が50%だった時に単品粗利率が50%の商品を値引きしてしまうと、全社粗利率も一緒に下がってしまいます。
一方で全社粗利率が50%だった時に、顧客需要が高く、単品粗利率が60%の商品を5%値引きして売った場合、販売率も伸長してくれるため全社粗利率も一緒に向上します。
そのため粗利を上げたい場合は、値引きによって販売数がどの程度伸長すると、プロパー販売以上の売上額・粗利額を担保できるのか把握した上で、全社粗利率よりも単品粗利率の方が高い商品を選定することが重要です。
平日タイムセールで粗利額を122%UPした方法を解説した記事はこちら>
消化促進を目的とするときは、消化ベースに乗っていない商品に加えて、売価変更ができない定番品や繰越商品、顧客需要の低い全社で余っている商品を選定します。
定番品や繰越商品の場合は売価変更ができないため、上代価格の変わらない期間限定価格という施策は非常に相性が良いです。またECモールに出店している場合、モール側からセールイベント中は最低何%OFFして下さいと条件を提示されることがありますが、そのような際に全社で余っている在庫を消化させましょう。
売価変更
売価変更では、一度変更した価格を元に戻すことができません。そのため売価変更をする際は、早い時期に1回の売価変更で最終消化できる価格まで下げてしまうのが最も理想の形になります。
何度も何度も値引きをしたり、期末で一気に価格を落とすことは1番やってはいけません。
上図は販売開始4ヶ月後に一気に価格を落とした場合と、販売開始2ヶ月後に少し価格を落とした場合の簡単なシミュレーションです。上図からわかる通り、早期に売価変更した方が売上額、粗利額、粗利率が高くなっています。
特にシーズン性の高い商品は売れる時期が一瞬です。売れる時期が過ぎてお客様の購買需要も下がってしまうと、いくら値下げをしても売れなくなってしまいます。
そのため、上述の商品ライフサイクルに沿って実施する施策を決めて、購買需要が高まる一歩手前のタイミング(ピークイン)の時点から売価変更を検討していくことが必要です。
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値引率は商品ごとに傾斜をつける
どんな値引き施策をやるにしても、どれくらい値下げをするかが肝になります。値引率を設定する際は一律にするのではなく、消化状況と売上状況に応じて傾斜をつけることが重要です。
例えば消化状況が違う商品を値引きする場合、全て一律の値引率を設定してしまうと消化スピードが変わらないため、消化状況が悪い商品は期日までに消化することができません。そのため、消化の良い商品は最も浅い値引率、悪い商品は深い値引率を設定するなど、消化状況に応じて傾斜をつける必要があります。
さらに消化状況だけではなく売上状況も加味することで、より精度の高い値引率を設定することが可能です。
値引きの特性上、値引きした時の消化スピードは売れる商品になればなるほど大きく伸長します。そのため売上上位品、中位品、下位品ごとに値引率を変えることで、消化スピードを同じにすることができるのです。
このように、消化状況と売上状況の2軸から商品のマッピングを行い、傾斜をつけた値引率が理想の値引率になります。
そして、どのくらい値引きすれば良いのか?に関しては、どの商品カテゴリーで、どの時期に、いくら値引きすると、どの程度販売数が伸長するという実績を蓄積していくことで、価格設定の精度をさらに向上させることが可能になります。
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FULL KAITENのメイン機能である「クオリティ分析」では、AIを活用して在庫の質を4つに分けます。これにより、商品ライフサイクルのフェーズごとに、どの時期にどの在庫に対してどんな施策を行うべきかを把握することができます。
さらに消化状況と売上状況をもとに在庫の質を4つに分けているため、値引率に傾斜をつけることも容易です。
また「施策管理機能」では、売価変更の対象品番を値引率別で施策登録することができ、◯◯%OFFしたら売上/粗利/販売数はどう変化したかをすぐに把握することができます。
このような登録ができることで、◯◯%OFFした時にいつもこれくらい販売数が伸びるだったり、売上粗利はこう変化するという価格弾力性に関する知見を積み上げることができるのです。
まとめ
- 値引きは最終手段。値引きをする前に商品ライフサイクルに沿ってプロパー販売を促進していくことが重要。
- 売上・粗利アップ、消化促進をする値引きを行うためには、以下3要素の理解と実行が必要
- 品番選定:どのカテゴリー(シーズン、部門、価格帯 etc…)で
- 実施時期:どの時期(ピークイン〜シーズンアウト)に
- 価格設定:いくら(10%OFF、20%OFF、30%OFF)にするか
- FULL KAITENを使えば、未来の在庫状況を見ながら、効果的な値引き施策が可能になる
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