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在庫ビジネスで最も重要な「修正力」とは|業績を伸ばすPDCAの回し方を3ステップで解説【セミナーレポート】

2023/1/26(木)に、オンラインセミナー「需要予測に頼らない「販売計画」と業績を伸ばす「修正力」」を開催いたしました。

当日ご参加いただきました皆様に、御礼申し上げます。

本記事では、弊社カスタマーサクセス リーダー矢田が語った修正力の重要性と業績を伸ばす具体的なPDCAの回し方についてご紹介致します。

登壇者:矢田 陽平氏(フルカイテン株式会社カスタマーサクセス リーダー)

2011年に株式会社ファーストリテイリングに入社。ジーユー日本事業で店長やSVを経験した後に、海外(中国/台湾)で営業/教育責任者として、全店舗の統括、採用/育成プログラムやインシーズンの商売立案を担当。
その後、HR-Techスタートアップでカスタマーサクセスを経験しフルカイテンに入社。現在はカスタマーサクセスチームのリーダーとして多くの顧客支援に従事している。

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約80%の企業はPDCAが回せていない

矢田:皆さんはPDCAを回せていますか?小売企業にとって、施策を振り返りその結果をもとに改善策の検討を行うことは大変重要です。

しかし、弊社が支援をさせていただいている企業でも、この工程ができていなかった企業が多くいらっしゃいました。さらに下図のアンケート結果をみると、全体で約80%の企業ができていないと言えます。

セミナー中に実施した投票結果

では、多くの企業ではなぜこの工程ができていないのでしょうか。弊社がご支援中の企業にヒアリングをさせて頂いた結果、時間と方法が原因であると分かりました。

  • 時間の問題
    • 施策を行った結果であるデータを揃える時間がない
    • データは揃っているが、データを分析してなぜこのような結果になったかを解釈する時間がない
  • 方法の問題
    • 売上、粗利、在庫週数と複数ある指標の中で、どれを見れば良いのか分からない
    • 施策の良かった・悪かったを判断するために、どこ(前週比、昨対比など)を比較対象にすれば良いか分からない
    • VMDやメルマガで打ち出す商品の選定方法やOFF率の付け方に対して、どう良かった・悪かったを判断すれば良いのか分からない

多くの小売企業は、本部も店舗も実務が忙しく、一つの施策に対してゆっくりと話し合いをしている時間がありません。さらに、振り返りをしなくても日々業務は回り、改善検討する方法も分からない。

これが、約80%の企業が振り返りができていない原因だったのです。

しかし現在は、原材料や物流費の高騰、賃上げ問題など不確実な要素が多く、粗利を確保するのは難しくなっています。このような市況で、これまでの常識や今までの感覚に頼っていると、気づいた時には重要な損失が発生していることになりかねません。

そのため、計画を立てる(Plan)→実行する(Do)→施策の振り返りをする(Check)→振り返りを基に改善する(Action)という、所謂PDCAを素早く回すことが非常に重要なのです。

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そもそも当初立てた計画どおりに進むことはできない

矢田:ではPDCAを回す重要性について、もう少し深堀をしていきましょう。皆さんは普段から販売計画など、様々な計画を作られていると思います。

ですが、この販売計画通りに進むことはほとんどありません。前述の通り、今の市況は不確定要素が多い上、天候やインフルエンサーが商品紹介して急に販売数が伸びるなど、小売業は計画当初に想定できなかった事態に左右されることが多いためです。

昨今小売業界でも需要予測へのニーズが高まっており、様々な企業が需要予測を用いた初回発注にチャレンジしていますが、需要予測が完璧に機能したという噂を聞かないのも上記同様に不確定要素が多いことが原因です。

関連記事:【AIで需要予測は可能?】分析方法・メリット&デメリット&AIの限界や導入&活用事例を解説します

上記のような理由から、どうしても当初立てた計画と実績の間には乖離が発生してしまいます。そのため、PDCAの特にCheckからActionの工程を素早く回すことが重要であり、弊社ではこれを修正力と呼んでいます。

修正力とは販売計画と実績の乖離を最小にする力

矢田:では、本セミナーのタイトルにもなっている修正力について詳しくご説明します。修正力とは、販売計画と実績の乖離を最小化するための力を指します。

上記の通り、計画と実績には必ず乖離が発生します。まずはこれを認識し、なぜ乖離したかの要因分析を行う。そしてその結果を次の計画に反映させるというサイクルを回していくことがビジネスにおいて非常に重要です。

修正力を高めることで利益最大化が可能になる

矢田:修正力を高めることで、次に計画する販売計画の質を高めるだけではなく、利益最大化も叶えることができます。

計画と実績の乖離を最小化するということは、在庫発注数の適正化ができ、販売機会ロスの防止にも繋がります。さらに、今まで計画修正や追加発注にかかっていた時間も低減できるため、利益最大化が可能になるのです。

修正力を引き上げる3ステップ

矢田:では、 修正力を向上させるために必要な要素を3ステップでご紹介します。

ステップ1:振り返りの方法を定義する

矢田:ステップ1は、計画と実績の乖離がどの程度発生しているのかを把握するために、施策の振り返り方を3W1Hで定義することです。

  • 定義内容
    • When:行った施策に対していつ振り返るか
    • Which:何と(全社/シーズン/部門)と比較するか
    • What:何の指標(売上/粗利/在庫)を確認するのか
    • How:どうやって判断するのか

では、値引き施策とプロパー露出強化を例にしてみます。

このステップで1番重要なことは、上記の定義を決めて実際にやってみることです。特に判断基準となる具体的な数字については、定義決めの時点で何が正解なのかは分かりません。

しかし、結果に対して感じること(判断基準)は人によってバラバラなため、定義を決めておかないと振り返りの結果を次の施策に活かすことはできません。

そのため、定義が正解なのか不正解なのかは一旦考えず、まずは決めてしまうこと。そしてより精度の高い振り返りを行うために、徐々に定義自体のブラッシュアップも行うことが重要なのです。

ステップ2:振り返りの結果に対して更に深ぼって分析する

矢田:定義した内容をもとに振り返りを行うことで、施策が良かったのか・悪かったのかを判断できました。次のステップでは、なぜ良かったのか・悪かったのかを考えていきます。

例えば値引き施策の場合、カットソーは10%オフ、コートは30%オフなど、商品カテゴリーごとにオフ率を設定することがあるかと思います。このような場合は、オフ率別や商品カテゴリー別に深ぼって分析してみると、なぜそうなったのか(Why)気づきを得ることができます。

値引き施策・プロパー露出強化施策に対する要因分析の例

このように、結果に対して多角的に分析をすることで、次に施策を行うときにどこを改善すれば良いかも見えてくるのです。

ステップ3:分析結果を次の施策に反映し、形式知化する

矢田:ステップ3では、ステップ2までで得た振り返りの結果を次の施策に反映します。ここで最初に行うことは、「次の計画をいつ」「誰がどのように反映するか」という部分まで決めることです。

この部分が決まった後は、再現性のある仕事にするために文章やマニュアルなど何らかの形式にまとめ、自分以外の人にも共有できる状態にすることが重要です。

せっかく修正力が高まり販売計画の質が向上したとしても、実施している担当者だけに知識が溜まっている状態では、会社全体のアウトプットが最大化されたとは言えません。小売企業ではMDやDB、店舗スタッフなど様々な人が働いていますが、個々が持つ知識が社内に貯まらない状態では属人化していく一方です。

そのため、どんな形でも良いので溜まった知見を社内に残していく。そしてその知見を社内の誰でも見える形にして再現性のある仕事に消化させていくことが非常に重要です。

FULL KAITENでより効率的に多角的に

矢田:ここからは、今までお話しさせて頂いた修正力を、より効率的に引き上げる方法をご紹介させていただきます。

弊社が提供しているクラウドシステム「FULL KAITEN」は、2022年11月に施策管理機能という新機能をリリース致しました。この施策管理機能を使うことで、振り返りにかかる業務負荷の低減や、より多角的な分析が可能になります。

施策管理機能について詳しくはこちら>

様々な使い方ができるのですが、今回は具体例を3つご紹介致します。

値段と売上の関係について知見を積み上げることができる

矢田:例えば値引き施策の場合、売価変更の対象品番をOFF率別で施策登録することがで、◯◯%OFFしたら売上/粗利/販売数はどう変化したかをすぐに把握することができます。

またOFF率別だけではなくチャネル別での登録も可能です。

このような登録ができることで、◯◯%OFFした時にいつもこれくらい販売数が伸びるだったり、売上粗利はこう変化するという価格弾力性に関する知見を積み上げることができるのです。

新商品投入時の参考とすることが可能

矢田:FULL KAITENではECサイト投入から◯週経過した商品など様々な切り口で商品リストを作成することができ、各ECモールや店舗ごとにモニタリングすることが可能です。これにより、新商品を販売開始した際にECと店舗どちらが初動が良いのかだったり、長期間でみた時にどう変化するかなどのモニタリングをすることができます。

初動をモニタリングすることで、新商品投入時にどのチャネルにどれだけ配分すれば良いかの知見を溜めることができます。

業績に寄与した売場展開位置の特定が可能

矢田:また、ECサイトや実店舗の打ち出し位置(売り場)によってどのような業績を作ったのかを確認することができます。

売り場ごとの商品リストを施策管理機能に登録することによって、この売り場はこの程度売上を作ってくれる、逆にこの打ち出し位置は良くないなどの検証が可能になります。

Q&A 

Q1.矢田様の感覚値で、振り返りができている企業とできていない企業で特徴はありますか? 

矢田:振り返りが足りない企業の特徴として、ステップ1の定義が詰め切れていないという共通点があると感じています。やはり振り返りの定義ができていないと、施策がやりっぱなしで終わってしまい、せっかく良い成果を出せたとしても再現性を持たせることができなくなってしまいます。

そのため、施策に応じて最適な判断基準を定義することが重要だと考えております。

Q2.多モール展開している場合でも、FULL KAITENに集約することはできますか?

矢田:可能です。FULL KAITENでは、EC・倉庫・店舗の在庫データを登録することができ、モールごとに施策登録をしていただければ、各モールの売上粗利や在庫の変化をモニタリングすることができます。

Q3.データに対してどのような切り口で分析して、その結果をどう評価するのかが難しいのですが、この問題に対してFULL KAITENでできることはありますか?

矢田:FULL KAITENを使って自社だけで成果を出せるように、FULL KAITEN導入後は私のようなカスタマーサクセスがご支援をさせて頂いております。「この施策を実施した時はこのような視点でこの指標をみた方が良い」という知見を多く持っている私共がサポートする点もFULL KAITENの強みだと考えております。

在庫を利益に変えるクラウド『FULL KAITEN』

FULL KAITENでは在庫データを活用して、EC・店舗・倉庫、全ての在庫をAIを用いて予測・分析し、商品力はあるのに眠っている在庫を明らかにします。商品力を可視化することにより、利益を生み出す在庫とその施策を立てることが可能になります。

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