本当に必要な店間移動だけ実施→粗利益を1.5倍にしたリアル
デサントジャパン株式会社
課題
- 毎週の移動指示(商品選定、店への手配)に8時間前後の時間を要し、業務自体が経験と勘に頼る状態だった
- 店間移動が売上対策の1つとして実施されることがあり、最終的な利益まで含めた効果検証が不十分だった
解決策
- FULL KAITEN〈店間移動〉を活用してデータ分析と移動指示の作成を自動化
- 適切な時期に適切な数量を移動させるためにデータに基づく判断を重視
定量成果
- 1週間あたりの作業時間が8時間から2時間に短縮
- 効果が見込めない移動をしなくなった結果、移動数量は約3割減少させつつ、1回の移動で生み出す粗利益が1.5倍に増加
デサントジャパン株式会社様はコーポレートブランドの「DESCENTE(デサント)」のほか、さまざまな競技に根差した9つのスポーツブランドを展開しています。同社では以前、約100店舗に及ぶ店間移動の業務をExcelを用いた手作業でこなしていましたが、作業に丸1日を要するほど業務負荷が高く、担当者の経験に依存する属人化が課題となっていました。また、売れるかどうか根拠が不明瞭なままとりあえず商品を移動させるという「無駄打ち」も発生しており、利益観点での検証が十分にできていませんでした。
そこで、実務に落とし込める仕組みとしてFULL KAITENを導入。百貨店やアウトレット、直営店、ECなど様々な販路でデータに基づき「利益が出ないなら動かさない」という客観的な判断が可能になるなどした結果、移動数量を3割減らしながらも1回あたりの粗利益を1.5倍に拡大するという「量から質」への転換を果たしました。 本稿では、同社のDB(ディストリビューター)として実務を担う午房様、山岸様、飛田様と、経営企画部門からプロジェクトを管轄する三倉様に、FULL KAITENを通じた取り組みついてお話を伺いました。
※本記事に含まれる情報は2026年3月上旬時点のものです。
移動指示書の作成に毎週8時間
ーー皆様の簡単な自己紹介をお願いします。
午房様 2009年に入社した後、主に百貨店の営業をしておりました。DB歴としては5年ほどランバン スポールでプロパー店舗の担当などをして、現在はプロジェクトリーダー兼ルコックスポルティフブランドのゴルフカテゴリーのDBを担当しています。
山岸様 私は2007年の入社当初、店舗部隊の所属になりまして、2015年にDB課に配属されて以降、DB歴は10年になります。マンシングウェアを皮切りにデサントブランドのゴルフカテゴリーなどを経て、直近ではランバン スポールを担当しています。
飛田様 2019年の入社から丸7年、DBを担当しています。最初の3年間はアウトレットの営業とDB、4年目から現在までマンシングウェア(メンズ)のDB担当です。
三倉様 私はFULL KAITENの導入を決定した当時はIT部門で、データ関連の業務と新規のシステム導入のディレクションを担っていました。経歴としては生産から海外営業、デジタルマーケティングと幅広く経験し、現在は経営企画で計数管理などの業務に従事しています。経営部門に在庫管理の部署が併設されている関係で、引き続きFULL KAITENプロジェクトを管轄しております。
ーー導入前は店間移動や倉庫からの配分といった業務をどのように実施され、どういった課題をお持ちでしたか。

山岸様 以前は店舗の予算比や店舗ごとの売上の規模、そしてシーズンを通した長い期間における投入消化という3つのデータを組み合わせた資料を基に、力技で実行していました。そうしたデータをベースに、店舗の「売る力」といいますか、定番品の強い店、見栄えのする商品がよく売れる店というようなお店ごとの特徴と自分の経験から来る勘を組み合わせて判断していましたね。いま振り返ると、最終的に自分でしかできないようなやり方だったかもしれません。
ーーまさに属人化が起きていたとお見受けしました。結構負荷が大きかったり時間がかかったりということがありましたか。
山岸様 はい、本当にすごく時間がかかっていて、1週間の中で累計ではおそらく1日分に近い時間を要していたと思います。日曜日までの売上データを基にして店間移動のデータを起こし、店舗へ発信できるのが金曜日の午後になってしまうこともありました。
ーー次の週末に向けて商品を移動させるのであれば、手配はギリギリになりますね。
山岸様 間に合っていなかった週もありました。週始めの1日、2日は分析や他のことに時間を取られ、水曜日の午後頃から着手し始め、出来上がるのがどうしても金曜日になってしまうんですよね。
ーーそうなると、商品を受け入れる或いは送る側の店舗の負担も大きかったでしょうね。
山岸様 そうですね。 本当に至急で送ってほしいという指示をしたこともありましたし、「もし土日のうちに売れればそれに越したことはないので、売れ残ったら月曜日に発送してください」と、苦肉の策のような指示になったこともありましたね。
ーーなるほど、それだと書き入れ時である土日までに移動させるという点では、1週間遅れてしまうのと同じですね。

午房様 本来であればどんどん(販売の)ピーク前やピーク中に先手で移動を回していきたいわけですよ。移動が遅れてしまったら、受け入れ先の店舗も「それはもう要りません」となるので。移動が遅れると稼働に影響してきます。
ーー特に負担が大きかったのは、仕分けのためのデータ分析周りだったんでしょうか。
飛田様 私が担当しているマンシングウェアはFULL KAITEN導入当初、100店弱くらい店舗数がありました。どの店からどの店へというマッチングにどの品番をどれだけ(数量)という掛け算になり、メンズに関して1人で対応していましたので、そこが一番大変でした。
ーー実感として、移動させる時期を逸することで必要のない値引きを迫られたり売れ残ったりして、売上をみすみす逃しているのではないかという感覚はありましたか。
山岸様 はい、ありました。私の担当であるランバン スポールは高価格帯ブランドなので、初期に仕入れたものを売っておしまいという在庫回転率が比較的低い品番もあるんですね。そうした商品は非常に抜きづらい(移動させづらい)というか、それを抜くことでVMD自体が成り立たなくなってしまう店もあるので、移動元の店舗における他の商品の在庫状況も見ながら移動を手配しなければいけません。
それが、FULL KAITENを入れたことで、まとめて送ったり、逆に残したりという判断をできるようになったと感じています。
根拠をもって「動かさない」と判断
ーーFULL KAITEN導入を検討されたきっかけはどのようなことでしたか。
三倉様 もともと私がIT部門にいた頃から御社のサービスは知っていて、2019年頃からイベント等で瀬川社長の話もお聞きしていました。ただ、当時の当社ではまずは内製でのデータ活用で解決する方針でしたので、自分たちでデータ分析を行い、過去の売れ方などを見て移動すべき商品のリスト化まではなんとかできていました。

でも、それらをどの店舗へ動かすかという肝心の最後のリストを作るところの負荷が高いので、実用的なものにはなりませんでした。その点、業務システムとしてちゃんと実務に使えるレベルまで落とし込まれているサービスは、当時私が探した限りではFULL KAITENくらいしかなかったので、トライアルで使ってみようということになりました。他社の似たようなサービスは結局、BIツールでしかなかったように思えました。
あと、同じ伊藤忠商事グループのドーム社も使っていて、その事例も導入の後押しになりましたね。
- 参考:株式会社ドーム様の事例記事 >> “人では不可能”だった分析が1時間で完了。『仕組みの改善』で創出した年間利用料以上の価値とは
ーーなるほど、ありがとうございます。実際に導入されてみて、どんな変化がありましたか。
飛田様 まず、移動させても効果が出にくい時期というのはあります。そうしたタイミングで、FULL KAITENが出す数字を基に「動かさない」という判断ができるようになったことは大きいですね。以前は大量に動かしたにもかかわらず、最終的に5%、10%しか稼働せず(実際に売れず)、無駄な移動が多く生じることがありましたので。

ーーいわば「無駄打ち」をしないということを感覚ではなくデータに依拠して判断するということですね。データ分析にかかる時間はどうでしたか。
山岸様 当初は少し操作に手間取ったので半日くらいかかりましたけど、最近ではスムーズに行けば私1人でも2時間もかからないようになりました。
以前は、店間移動の明細を作成するからには「ある程度のボリューム(移動金額)で作らないと形にならない」という意識から、飛田と同様、動かしすぎていたきらいがありました。今は本当に必要な商品だけ必要な時期に移動を指示することができるようになったと実感しています。
ーー動かさない、というのも重要な意思決定だということですね。今まではその判断がなかなかできなかったと。
午房様 半ば義務的に(店間移動を)やっていた部分もあります。「売上対策として何か実施してほしい」と指示されたときに、とりあえず店間移動を実行するものの、そのタイミングで本当に必要な移動だったのかどうかは実務者しか分かりませんし、きちんとしたロジックが確立されていたわけではありませんでした。
栗原(フルカイテンCS = カスタマーサクセス) そうですよね。 そうした移動に付随するコストは結構大きかったのではないかと拝察します。物流費もですし、店舗スタッフの方を動かすのも同様です。利益という観点では重要なポイントだとは思います。

移動1回あたりの創出粗利が1.5倍に
ーー定量的な変化について伺います。トライアル期間中の稼働率(移動先で実際に売れた割合)が従前より約19ポイント上がって40.7%になりました。そして移動数量は約3割減ったものの1回の移動で生み出せる粗利益が約1.5倍になり、作業時間が8時間から2時間に短縮されました。
午房様 はい、当該期間に2つのブランドで前年同期と比較した数字になります。正直なところ稼働率はFULL KAITEN導入前はリアルタイムで把握できていなかったのですが、移動する粒度を品番単位からSKU単位にすることで稼働率はここまで伸びるんだな、と実感しています。
FULL KAITENを導入するからには、その費用分を上回る利益を出さないといけません。私はどちらかというと店舗の売上ベースで見ていましたが、物流費を含めた経費を勘案してどれだけの利益が店間移動によって出ているのか分析できるようになり、社内で店間移動に対する意識が変わってきました。そこが大きな成果かなと感じます。また、実務者の業務効率化も大きな改善点ですね。
三倉様 全社的に経営からも売上だけでなく利益へ意識を変えていきなさい、と後押しされています。FULL KAITENにコストをかけているからこそ、「その移動って本当に必要なのか」という指摘が出るようになったんですよ。「こんなに移動指示が出ていること自体が良いことなのか」「売上を取りに行くための移動なんだろうけど、配送費を含めてちゃんとペイできているのか」と。そういうシビアな考え方をする方向になってきたのはいいことだなと考えています。
ーーなるほど、意外な副次的効果ですね。
三倉様 そうですね。トライアル期間のことですが、移動した商品点数自体は前年比で3割減った一方で、粗利益として残った金額は1.5倍になりました。

ーーFULL KAITENの費用対効果、ROIはどのように評価されていますか。
三倉様 私個人の意見ではありますが、非常に満足しています。現状、インバウンドが急に減ったり、競合ブランドが急に広告でバズって売れ始めたりと、様々なことが起こりうる状況です。このため初期配分とフォロー投入だけでは、店頭で商品がダブつく事態はいつでも起こりうるものです。そうしたマーケットでは、FULL KAITENのようなツールを使って店間移動に取り組まなければ、不測の事態には対応できないので、今後も使っていくべきと思っています。
午房様 DBの負担が大きくなっている中で、FULL KAITENがあることによって初期配分である程度失敗しても店間移動でカバーできるという効果もあります。
山岸様 DBのプレッシャーが軽減されるという効果はあると思います。以前は、シーズンに入ってどうなるかわからないからなるべくフェイス投入を少なめにしていましたが、FULL KAITEN導入後はそのまま投入し、その後の動きを見ながら移動させるという考えにシフトすることができました。その結果、来シーズンの発注をする時に戦略上の武器が得られたというか、FULL KAITENがあるから発注の投入量を少し増やすという戦略につながったと感じています。

ーー今後、どのようにFULL KAITENを活用していきたいとお考えでしょうか。
飛田様 やはり業務の属人性をなくすのが一番ですね。今や9ブランドの取り扱いがありますが、1ブランドに対してDBを1人ずつ充てるというわけには今後いかなくなりそうなので、誰がどのブランドを担当しても一定の成果が出る、誰がやっても2時間、3時間という決まった時間で指示作業ができるという姿を、FULL KAITENを使って実現できるというのが一番近い理想像かなと思います。
実際、この4月から担当替えがあり、私も山岸も業務から離れる形になるんですが、後任がFULL KAITENを使って今と同じように店間移動で成果を出せるようになればいいですね。
※2026年4月から社内異動でFULL KAITEN利用者が交代
飛田様 従来の引き継ぎでは、だいたい半年くらいは店間移動の実務はできませんでした。そのブランドに精通し、店舗のことも理解していないと、下手に動かさない方がよいという判断になっていたためです。それが、もう4月から様々な業務ができるというのも非常に心強いと思っています。
栗原 私から補足させていただくと、先日、FULL KAITENを活用するチャネルをアウトレットにも拡大したんですが、その時の業務移行がものすごくスムーズだったんですよ。御社内でナレッジがしっかりとシェアされていたことがよく分かりました。なので今回、4月以降もスムーズに引き継いでいただけると思っています。まさに属人性の排除ですよね。
三倉様 冒頭の方で飛田から「移動しなくても良いということが分かったのが成果だった」という話がありましたけども、データを扱う側の立場としても、原因が明確化してくると、次にどこに手をつければ良いかが分かるんですよね。
例えばFULL KAITENが移動を指示しない品番・SKUというのが一定数ありますが、それらはきちんと消化されていて、どの店も欲しいから移動が起きないという状態ですよね。逆に、あまり売れていなくてどこの店舗も欲しがらない商品も、FULL KAITENは移動を指示しないわけです。FULL KAITENに上がってこないSKUを減らすための取り組みを考えたいと思っています。
ーーありがとうございます。 データに基づく意思決定がすごく徹底されてきているという印象を持ちました。 最後に他社にFULL KAITENをお勧めするとすれば、一番伝えたいことは何ですか。
三倉様 若干テクニカルな話になりますが、御社がデータ形式を柔軟に合わせてくれるところはすごいなと思います。「こういう形式でないと受け入れられません」「インターフェースはこれ指定です」ではなく、当社が渡したデータで初期の連携を含め全部やってくれるので、あまりシステム部門にリソースを割けていない会社でも導入しやすいのではないでしょうか。ITに弱い会社にもフレンドリーなサービスですね。
午房様 今までお話しした内容が全てなんですが、店頭と店間移動について会話をする機会が結構増えたと感じています。それまで店舗側から声をかけられることは無かったんですが、今は「入ってきた次の日に売れたよ」と教えてもらえるようになりました。FULL KAITENのデータ自体に対する信用が店頭でも上がっていて、私も非常に助かっています。
ーー本日はどうもありがとうございました。