NEWYORKERがスタッフ投稿で粗利益額155%向上! 実行を前に進めた仕組みとは
株式会社ダイドーフォワード
課題
- プロパー施策が売れ筋商品に集中し、その他の商品が余剰在庫になってしまっていた
解決策
- FULL KAITENで抽出した「売るべき在庫」をSTAFF STARTでコーディネート投稿し訴求
定量成果
- 投稿商品における「売るべき在庫」の選定率が26%から64%へ大幅に改善し、施策創出粗利が155%向上
「NEWYORKER(ニューヨーカー)」などのアパレルブランドの小売や製造卸売を手がける株式会社ダイドーフォワード様。同社では、プロパー期間における施策の打ち出しが売れ筋商品に集中し、その他の商品が消化されずに余剰在庫となってしまうという課題を抱えていました。そこでFULL KAITENとSTAFF START(株式会社バニッシュ・スタンダードが提供する店舗スタッフ向けSNS投稿ツール)を活用した施策を実施したことで、粗利益額155%向上という大きな成果を創出することができました。
本記事では、株式会社ダイドーフォワード マーケティング本部 ECグループ メンズバーゲン担当の吉濱様とマーケティング本部 MDグループ メンズリテール担当 ディストリビューター齊藤様、同社を支援する株式会社バニッシュ・スタンダード カスタマーサクセス 栢木様にPoCの取り組みについてお話を伺いました。
※本記事は2026年2月24日に開催したセミナーの内容を再構成したものです。
ダイドーフォワード様が抱えていた「プロパー施策の限界」
ーー当初抱えていた課題を教えてください。
齊藤様 これまでのプロパー施策は、新商品の打ち出しや在庫を大量に積んでいる商品に限定されがちでした。その結果、売れ筋商品ばかりに施策が集中し、その他の商品が消化されずに余剰在庫となってしまっていました。
また、FULL KAITENで抽出した「Better在庫」(売上粗利に貢献するが、売り切るのに時間がかかる欠品リスクの低い在庫)も活かしきれていませんでした。
永田(フルカイテンCS = カスタマーサクセス) こうした課題を解決するために、FULL KAITENとSTAFF START を掛け合わせて活用する施策を実施することになり、まずPoC(実証)に取り組むことになりました。
PoCの目的は、FULL KAITENの強みである「在庫分析」と、STAFF STARTによる「スタッフ投稿」を組み合わせることで、売上・粗利・在庫がどう改善されるかを検証することでした。
具体的には、単に売れ筋商品を紹介するのではなく、FULL KAITENが分析した「今後売れる見込みがあり、かつ在庫が潤沢な商品」を売るべき商品(Better在庫)と定義し、それらを3ヶ月間、STAFF STARTで優先的にコーディネート投稿していただきました。
従来は、投稿の対象に選定する商品の中で在庫リスクの高い在庫(Bad在庫)の割合が一番高くなっており、投稿を増やしても売上・粗利の改善には繋がりにくい状態でした。なぜかというと、売るべき商品(Better在庫)自体の認識が薄く、売りたい商品ばかり訴求していたためです。
検証後は、Better在庫の選定割合が26%から64%へ大幅に改善し、Bad在庫の選定が半数以下に減少したことで、創出粗利を155%向上させることができました。

在庫×人軸の効果検証で見えた実行の壁
ーー今回、FULL KAITENにSTAFF STARTを掛け合わせたことで、他に見えてきたことはありましたか。
永田 FULL KAITENでは、登録した施策の売上、粗利、在庫の効果検証が可能ですが、実際にユーザー企業の担当者様がどの程度施策を実行されているかまではみることができませんでした。
一方、STAFF STARTでは全商品に対して、スタッフによる投稿がどれだけ網羅されているかを確認できるため、FULL KAITENで今まで見えなかったデータを確認することができました。
実際ダイドーフォワード様では、FULL KAITENで売るべき商品を選定してもSTAFF STARTのデータを確認すると、実際には投稿されていない品番やカバー率(スタッフによる投稿がどれだけ網羅されているか)が低い商品があり、実行が不十分だったことが判明しました。
特に、投稿されていなかった商品にはアウトレット商品が多く含まれており、アウトレット店舗が忙しく投稿できていなかったことが原因だと判明したため、そもそも実行できない商品を選定すべきではなかったという改善点を見つけることができました。

実行を前に進めた仕組みとは
ーースタッフ投稿においては、店舗スタッフをどう動かすかが重要かと思います。実行に向けた取り組みについて教えてください。
吉濱様 実行する上では、やはり「スター店員」の存在が大きかったです。社内で評価されているスタッフの特徴を簡単に述べます。
まず1つ目は、投稿を会社の義務や業務として捉えるのではなく、販売やファン作りのためのチャンスとして捉えていることです。そのモチベーションの高さから、結果として投稿頻度や投稿数が安定し、露出機会が増えていきました。
2つ目は、写真の撮り方や見せ方が上手だということです。単なる商品紹介ではなく、「どう着るか」「どうお勧めするか」という提案までしっかり伝えられているスタッフは、実績もついてきています。それに伴い、スタッフ個人に対するお客様によるお気に入り登録数も多い傾向にあります。
3つ目は、自ら分析を行っていることです。STAFF START内で経由売上や閲覧数などを自分で確認し、反応が良かった投稿の内容を振り返っています。感覚だけでなく、データを基に改善を行っているスタッフが成果を出しています。
4つ目は、来店促進まで意識している点です。楽しんで読める構成や語り口を意識してファンを増やした結果、「オンラインでしか買っていなかったけれど、近くの店舗にそのスタッフがいるなら見に行こう」と実店舗への来店につながった例もありました。
またメンズ店舗では、女性スタッフが投稿した「男性スタッフに聞いたおすすめネクタイ」といった企画投稿が、代理購入を検討している女性客の目に留まり、来店につながった事例もありました。共通しているのは、オンラインで完結せず、実店舗への送客まで意識して機能していた点です。
全体を通して言えるのは、主体的に取り組んでいるという部分です。特別な素質があったわけではなく、一人ひとりが考えて行動を変えたスタッフたちが、前向きに取り組むことで「スター店員」になっていったと感じています。
ーー「売るべき商品を売る」ために評価制度を変更したとお伺いしています。その背景を教えていただけますか。
齊藤様 スタッフの投稿が、消化率の高い商品や売りやすい商品に偏ってしまう傾向がありました。そこで全社で「売るべき商品」を設定し、その商品については従来のインセンティブにプラス2%の報酬を出すことにしました。社内全体で打ち出す商品を揃えるために、評価制度をアップデートした形です。
ーー評価制度を変えたことで、スタッフの皆さんのモチベーションにはどのような変化がありましたか。
齊藤様 売るべき商品が明確になったことで、「どの商品を投稿しようか」と迷う時間が短縮されました。「提示されている売るべき商品の中から、まずこれをいつ投稿しようか」と逆算して考えられるようになり、作業がしやすくなったという声があります。以前は少し面倒だと感じていたスタッフも、モチベーションが上がったのではないかと考えています。
ーーその他にはどのような取り組みをされましたか。
吉濱様 PoCが始まったタイミングではコーディネート投稿が少なかったため、より余裕を持って作成できる「まとめ投稿」に移行しようと考え、特にアウトレット店舗においてはまとめ投稿を主体とする方針に変えました。
その際、投稿頻度が安定していたスター店員をアウトレット店舗の店長会に招き、レクチャーをしてもらいました。
1つ目は、単に投稿するのではなく「見て楽しい、読んでも楽しいブログ」を明確な目的として取り組むこと。そして、月間の投稿目標を立て、撮影日や作成日を計画的にスケジュール管理することです。
2つ目は、投稿作成の流れや工夫です。日常業務の中でネタ探しをすることや、自分の中でフォーマットを作成し、複製機能を利用して枠組みを作るなどの効率化を伝えました。投稿者の負担にならない仕組み作りが重要だという話です。
3つ目は、テーマ設定と構成のコツです。「釣れるサムネイル」を意識し、ストーリー仕立てで読みやすくすること。写真は多めにし、テキストは3行程度に留める。商品説明だけでなく、体験提案を伝えることを重視していると共有されました。
実際の成果として、ブログのPV(ページビュー)がコーディネート投稿を上回る月もあり、1投稿あたりのPVが大きく伸びました。成功のポイントは特別なテクニックではなく、目的を持って継続し改善する積み重ねである、という内容をレクチャーしていただきました。
栢木様(バニッシュ・スタンダード) 今お話に出た「まとめ機能」について補足します。簡単に言うとブログやホームページのLP(ランディングページ)のような訴求ページを、CMSのようにアプリやPCの管理画面からブロックを追加して簡単に作れる機能です。スタッフさんはアプリ上で、文字や写真の配列を選ぶだけで、テンプレートに写真をはめ込んだり、スタッフスナップや商品の詳細を組み込んだりして、簡単に記事を作成できます。

ーーこのまとめ機能を活用して「売るべき商品」を店舗へ配信したことによる反応はいかがでしたか。
齊藤様 プッシュ通知で配信することで、スタッフが売るべき商品を改めて再認識できるようになりました。あまり意識していなかったスタッフからも「あれで再認識できた」という声があり、非常に使いやすく効果的な機能だと感じています。
ーースタッフさんからすれば「売るべき商品」と言われても、売れ筋商品に隠れてなかなか覚えられないこともありますよね。プッシュ通知でのリマインドによって、売るべき商品の徹底が図られたというイメージですね。
今後も全社で売るべき品番に取り組む
ーー今後もFULL KAITENとSTAFF STARTを継続して活用し、さらなる売上・粗利の改善に繋げていかれるとのことですが、今後の取り組みについても教えてください。
齊藤様 現在は「全社で売るべき品番に取り組む」ことに向けて、効果測定の統一化を進めています。本部スタッフも店舗スタッフも、誰が見ても明確な効果測定にするため、具体的な分析アクションにつなげるためのチャネル別フォーマットを作成しています。
品番単位で、週次を含む3週分の「投稿数」「FULL KAITENのヒートマップ評価」「ECの受注件数」「STAFF START経由の直接売上」「セッション数(商品詳細)」「実施している施策」を追えるようにします。
これを基に、本部では週ごとの売上動向や消化進捗を確認し、特に消化ペースが悪い商品に対しては、店舗へスタッフ投稿だけでなく、VMDを絡めた店頭での打ち出しなど、週の戦い方を共有します。
店舗側では「売るべき品番=STAFF STARTで投稿すべき品番」という認識で止まりがちなので、店頭販売でも売るべき品番(VMD強化、接客時のセット率強化)への意識を持ってもらい、実行まで落とし込むことを目標としています。さらなる平準化を目指し、ゆくゆくは店舗単位の効果測定まで取り組みたいと考えています。
ーー週ごとに分析して次の改善につなげる。そのフォーマットの中に、FULL KAITENの売上・粗利・在庫データやヒートマップ評価、そしてSTAFF STARTの受注件数や投稿数を組み合わせることで、さらなる改善につなげていくということですね。今後この3社で一緒に取り組んでいければと思います。皆さま、本日は誠にありがとうございました。