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ファッションビジネス企業の8割弱が「値上げ幅は不十分」/9割が年度内に再値上げ視野

フルカイテン株式会社は、原材料高に伴う製品の値上げおよび価格転嫁に関するアンケートを実施しました。ファッションビジネス企業の8割弱が、「現状の値上げ幅(価格転嫁度合い)は不十分」とみており、このうち9割が2022年度(2023年2月期)中に主要製品を「再値上げする」または「再値上げを検討する」と回答しました。エネルギーや原材料、完成品を含めた調達コスト上昇分を製品の値上げに十分反映できず、採算が圧迫されている現状が浮かび上がっています。

33%が年度内に「再値上げ」、56%が「再値上げ検討」

アンケートは本年8月22日~31日、ファッションビジネス(アパレル、雑貨、靴等)を中心とした小売、卸売、商社、メーカーなどを対象に実施し、113社から回答を得ました(内訳:小売26社、卸売・商社17社、メーカー15社、製造販売12社など)。
全113社のうち、ファッションビジネス関連企業は51社でした。内訳は次の通りです。
 ・小売   :17社
 ・卸売   :2社
 ・商社・OEM:13社
 ・縫製・加工:7社
 ・システム :1社
 ・メーカー :9社
 ・その他  :2社
 
この51社のうち、76.5%(39社)は「これまでの調達コスト増加分を十分に価格転嫁(値上げ)できているか」という質問に対し「不十分」と回答しました(グラフ1)。

不十分と回答した39社のうち、2022年度(2023年2月期)中に再び「値上げする」とした企業は33.3%(13社)に上りました(グラフ2)。このほか56.4%(22社)が「値上げを検討する」としており、両者を合わせると89.7%が再値上げを視野に入れていることが分かります。

「良い円安」はウソ。7割の企業の業績にマイナス影響

グラフ1および2で見たとおり、ファッションビジネス企業が値上げや再値上げを迫られる一番の原因は為替相場の円安進行です。「現在の為替相場の水準は業績にどのような影響を与えるか」という質問への回答をまとめたのがグラフ3です。

円安へ急落した現在の為替相場が業績に「プラス」としたのは13.7%(7社)にすぎません。47.1%(24社)が「マイナス」、25.5%(13社)は「大いにマイナス」と回答しており、計72.5%の企業が円安によって業績悪化圧力を受けています。

これは、原材料の多くを輸入に頼っているほか、小売の場合は中国や東南アジアなどの海外から最終製品を輸入しており、円安により円建てのコストが上昇するという業界構造が影響しているとみられます。

調達コスト増加分の半分未満しか価格転嫁できず

次に、エネルギーや原材料、完成品を含めた2022年度の調達コストが前年度と比べどの程度増えるかに関する回答状況をまとめました。表1は回答企業全112社の結果です(※ファッションビジネス関連51社だけの結果と大差なし)。

表1:2022年度の調達コストは前年度と比べどの程度増えそうか

2022年度の調達コストが1割以上増えた企業は64.6%(73社)に上ります。2割以上増えた企業も33.6%(38社)に達しました。
一方、「減る」としたのは1社のみ、「変わらない」と回答したのは3社にとどまりました。

こうした調達コスト増加分をどの程度、製品に価格転嫁(値上げ)できるかを問うた質問への回答状況が表2です。対象は全112社のうち、表1の「減る」「変わらない」計4社を除いた108社です。

表2:2022年度中に調達コスト増加分をどの程度、製品に価格転嫁できそうか

調達コスト増加分の「10%~30%」を転嫁できると見通している企業が30.6%(33社)と最多でした。ただ、調達コスト増加分の「50%以上」を転嫁できると答えた企業は計14.8%(16社)にとどまり、「全く転嫁できない」とした企業も10.2%(11社)ありました。

では、多くの企業はどのようにしてコスト増加分を吸収しようとしているのでしょうか。グラフ4に複数選択の回答をまとめています。

値上げする会社は、顧客の理解を得やすくなるよう、製品の付加価値を上げる努力をしていることが窺えます。また、仕入れ先との価格交渉やサプライチェーン全体の見直し、仕入れ先の変更、代替材料の採用など、さらなるコスト削減への取り組みが多数に上りました。

以上から、調達コスト増加分を十分に製品価格に転嫁(値上げ)できず、他のコスト削減策で吸収し切れなかった分を苦肉の策として値上げに反映させる図式が浮かび上がります。

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