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日本繊維製品消費科学会が主催する講座で瀬川が「在庫を制する者は粗利を制す」と題して講演しました

フルカイテン株式会社代表の瀬川直寛は、2020年12月11日に一般社団法人日本繊維製品消費科学会が主催した第39回消費科学講座に講師として招かれ、「在庫を制する者は粗利を制す~人口が年100万人減少する冬の時代の在庫戦略とは」との演題で講演しました。

講演要旨を以下にご紹介します。

大手の仕掛けにより価格競争は既に始まっている

私は2012年5月に会社を設立し、全く畑違いのベビー服の小売事業に参入しました。その後、全て在庫が原因で3度も倒産危機を経験しました。在庫の問題を解決していく過程で色々な気付きがあり、現在はそうした気付きを応用して様々な企業様の在庫問題を解決するソフトウエア『FULL KAITEN』を開発し、クラウドサービスとして提供しています。

本日は在庫問題と小売経営の未来はどう変わっていくかという2つのビジョンについてお話しします。

新型コロナウイルス危機では、わずか3ヵ月で需要が消失し、小売企業の経営悪化と経営破綻が相次ぎました。この原因は全て在庫過多なんです。余剰在庫の問題は過去からありましたが、コロナ禍で一気に顕在化し資金が回らなくなりました。

コロナ禍で消費者側に起きた変化を見てみると、お客さんがお店に来なくなったということと、使えるお金が減ったという2点あります。企業側で起きたのは、資金繰りを最優先した叩き売り、それからブランドの閉鎖や店舗網の縮小です。それでもどうにもならない場合にM&Aや倒産が起きました。

国内小売市場は、既に2014年には縮小が始まっていました。15年前の1999年と比べると、全世代で月間消費支出が減少しています。しかも、減少幅が最も大きい(月6.2万円)のは、世帯主が45~49歳という最もお金を使えるはずの世帯でした。

要は、コロナ禍で急に需要が消失したわけではないのです。

この先を見ていくと、2025年が人口減少のターニングポイントになります。およそ50年にわたり年間100万人前後の人口が減少する。そして2030年には生産年齢人口は50%台になります。

こういった縮小市場で起こるのが価格競争です(上図)。各社がECに注力しても、ECが過当競争になって価格下落が起きます。そして価格競争で有利なのは資金力のある大企業です。企業の大淘汰が起こるのは確実です。

しかも、価格競争は既に始まっています。ジーユー、ギャップジャパン、良品計画と定価を下げる動きが続いているのは皆さんご存知かと思います。ただ、コロナ禍をきっかけにした値下げではないことに留意してください。生産リードタイムを考えると、コロナ禍のずっと前から準備していたと考えるのが妥当でしょう。

今、日本の大多数の企業は、価格競争に参戦するかどうかの判断を迫られています。私は大半の企業は価格競争に身を投じるべきではないと考えています。

では、価格競争をどう回避するか。消費者は買い物に対する期待値が上がっているという事実に突破口があると思います。

そうした消費者の期待に応えるためのポイントは商品、店舗、販売員という顧客接点です。顧客接点がもたらす付加価値を上げるためにどれだけ投資できるかが、これからの勝敗を分けるでしょう。

付加価値とは、消費者に究極の自己満足を提供することだと思います。お客は、置かれたシチュエーションによって、同じ商品に期待する付加価値が変わるものだからです。

ただ、これだけ未来がどうなるか明らかなのに、実際は大半の企業が他社の動向を様子見するでしょうし、変化を嫌って価格競争に巻き込まれてしまうでしょう。そうすると企業の淘汰は進みます。

これは見方を変えれば、皆さんの競合企業が消えていくということです。だから、付加価値向上に今から取り組む企業には、カテゴリーで独り勝ちできるチャンスが巡ってくるのです。

手持ち在庫のポテンシャルを可視化し粗利確保を

今後の小売経営で目指すべきゴールは、粗利を増やすことであり、そのための課題設定は「在庫問題を解決する」ということになります。つまり、少ない在庫で多くの粗利を得られるビジネスモデルが必須になるのです。

在庫過多の問題を解決したければ、「AIを用いるなどしてしっかりと需要予測をすればいいじゃないか」という意見もあるかもしれません。しかし、AIも決して万能ではなく、需要やトレンドを抜群の精度で予測するのは非常に難しいのです。予測というのは、事前に予測し得ない外的な要因の影響を大きく受けてしまうからです。

ですから、皆さんには予測だけに頼るという考え方をやめてほしいと思います。なぜかというと、商品には発注から入荷、販売終了までライフタイムサイクルがありますが、予測だけで在庫問題を解決しようとすると、発注段階で予測が外れたら終わりですよね(下図)。

しかし、値引きや評価減で粗利を失うリスクは、発注段階で起きているのではなく、売り始めてから起こります。販売開始から販売期間終了までの期間内に、在庫リスクを抑えながら粗利を極力失わないようにすると考える方が、よほど現実的なんです。

予測をすることが目的ではなく、粗利を最大化するのが目的だということを考えてほしいと思います。予測精度は自分たちにはどうにもならないですが、売り始めてからの在庫リスクをコントロールすることは、自分たちの努力の範囲でできることだからです。

では、どうすればいいのでしょうか。在庫リスクを可視化し販促していけば、在庫リスクの悪化を抑制することは可能です。早めに隠れた実力商品を見つけて値引きせずに販促していくと、売上も粗利も増やせて在庫の消化が進むのです。

また、数をたくさん売れば売上は増えるというのは、誤った先入観のケースが多いものです。数をたくさん売るのは案外難しくて、市場が縮小しているのだからなおさら難しくなります。それよりも客単価を上げる方がずっと有効です。そのために、単純にセット率を上げるという手法は半分は正しくて半分は間違っています。そのセットが平均客単価を下げる商品だったら意味がないからです。

ちゃんと全体の平均客単価を上げてくれる商品をセットで売る必要があり、そういう商品はどれかというのを可視化すれば、数に頼らずに売上を増やすことができるようになります。

コロナ禍を経て、弊社にはいろんな課題感でのご相談が増えています。皆さんが今お持ちの在庫で売上と粗利を増やせる、値引きを抑制しながら在庫の消化を促せる、データ集計や分析に時間を使わずに済む。FULL KAITENはこうした価値をご提供します(下図)。

潮目が変わりつつある今の時代、トライを始めた企業さんが出てきています。
※詳細は事例紹介ページをご覧ください。

【質疑応答】

Q 事例のなかで、客単価向上にどのように取り組まれたのか、要点をお聞きしたいです。

瀬川 自分たちのお店(ECサイト)で、どういう客単価帯で買われるケースが多いかを調べ、それよりも少し上の客単価帯で買われている商品を特定します。そのうえで、合わせ買いなどを提案したのです。これで全体の客単価が上がりました。こうした取り組みは各社様に共通しています。

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