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大塚商会様主催の「在庫の効率化・一元化・最適化を徹底解説するセミナー」に登壇しました

フルカイテン株式会社は2020年9月24日、株式会社大塚商会がオンラインにて主催した「在庫の効率化・一元化・最適化を徹底解説するセミナー」に参加し、弊社代表・瀬川直寛が「<在庫文脈で語るDX>コロナで変わった小売経営の潮目!~人口が年100万人減少する冬の時代の在庫戦略とは~」と題して講演しました。

※開催概要はこちら

瀬川による講演の要約をご紹介します。

コロナ禍のような需要消失は2030年にかけて続く

新型コロナウイルス危機では、わずか3ヵ月のうちに需要が消失し、実店舗の固定費負担と過剰な在庫という経営破綻の2大要因が浮き彫りになりました。しかし、これはコロナ禍が収束するまでの一過性のものではなく、2030年問題の疑似体験であるといえます。

2024年には団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者になり、社会保障給付費が急増します。そして可処分所得は減少していきます。さらに2025年以降、国内では毎年100万人前後の人口減少が見込まれ、これから10年間のうちに、九州に住んでいるのと同じくらいの人口が消滅します。

つまり、2030年に向けて需要消失は加速し定着するのです。そして、転機となる2024年まで、あと4年しかありません。

「粗利」を正しく理解しよう

小売企業が需要消失時代を生き抜くためには、在庫問題を解決する力が必要です。在庫を増やしたら売上も増える、在庫を減らせば売上も減るという大きな課題がありました。一方で、これまでは「売上を失うより在庫を持つ方がよい」と考える企業が多いがために、在庫過多は解決されてきませんでした。

しかし、需要が消失する環境下では在庫過多は経営破綻を招くということが明らかになりました。では、どうすれば良いのでしょうか。

そのカギは、売上重視の「PL発想」から、粗利を重視する「BS発想」への転換にあります。これを実現するには、在庫と粗利の密接な関係を理解する必要があります。

例えば、ある商品を100個も売る力はないのに、原価率を5割に抑えるために1個100円で100個発注し、売価200円で値付けしたものの、1個あたり20円値引きして50個売れた場合が上図です。

PL(損益計算書)には売れた50個分の原価しか載ってきません。売れ残った50個にかかった原価5000円はBSに棚卸資産として記載されます。つまり在庫です。

さらに、棚卸資産は「ずっと5000円の価値がある」とはみなされず、価値は毎期下がります。これは評価減(評価損)と呼ばれています。

売れ残って時間が経過することで2000円の価値しかないと判断されれば、評価損3000円を認識しないといけません(下図)。

評価損は当期の商品原価に加算されて「売上原価」となり、結局は粗利が削られてしまいます。つまり、粗利は値引きと評価損、商品原価の3つで決まることから、在庫過多を放置して売上増加を追求すると粗利が残らないのです。

こうした値引きと評価損の影響は、PLだけを見ていてはなかなか気付けません。

そして、大いなる誤解が「原価=商品原価」というものです。この2つは同じではありません。ここを誤解して商品原価をさらに下げようとすると、大量生産が助長されるうえ、商品が他社と同質化し、商品力が落ちてますます売れ残りが増えてしまいます。

ですから、原価を下げるために商品原価を下げようとするのではなく、値引きと評価損を抑制することが重要なのです。

AIをもってしても需要予測は当たらない

小売企業さんの中には、「AIを使うなどして需要予測をすればいい」と考える方が多いかと思います。しかしながら、AIをもってしても高い精度で需要を予測するのは困難なのです。

それは、AIが予想し得ない外的な要因の影響を大きく受けるからです。予測の前提となる条件は日々変化しますが、条件がほんの少し変化するだけで、結果が大きく変わってしまうのです(いわゆるカオス理論)。

AIは現在、「過度な期待」の状態にあります(ガートナー「ハイプサイクル」)。つまり、実際のビジネスの現場で使うために必要な精度が得られないのです。

では、どうすればいいのでしょうか。予測は外れる、変化は起こることを制約条件にすれば良いのです。

そして、変化が起こることを前提に、変化に強い仕組みを作ることです。

そのためには「在庫の質」を可視化することが必要になります。そのうえで、商品それぞれの「在庫としての質」に合わせた販促などの施策を実行することで、不必要な値引きや防げたはずの評価損を抑制できるようになります。

以上を体系化した理論を弊社では在庫実行管理、略してIEM(Inventory Execution Management)と呼んで提唱しています。

このIEMをうまく業務に組み込むことができれば、粗利の増加と在庫削減を両立できるようになります。

次に、在庫の質を可視化する3つのポイントです。

まず一つ目。「今ある在庫」の中からまだまだ売れる隠れた実力商品を見つけます。つまり隠れた実力商品を販促することで、大きな値引きをせずに売上をつくるということです。

二つ目は客単価を上げることで売上を増やすという点です。市場がシュリンクする中ですべきは、数をたくさん売ろうとすることではなく、客単価を上げることです。実は客単価を上げてくれる商品はあります。そういう商品を「今ある在庫」の中から見つけ、可視化するのです。

三つ目は発注に関してです。追加で発注すべき商品はどれかというのを見える化します。一回あたりの発注量を減らし、発注にかかる業務負荷を下げて発注頻度を上げることで、欠品も売れ残りリスクも格段に下げることができます。

コロナ危機下で発注2割減ながら売上は維持

以上に述べた「変化に強い」仕組みである在庫実行管理IEMを実践するためのツールが、弊社が開発する『FULL KAITEN』です。

FULL KAITENの導入による利益とキャッシュフローの改善効果は計り知れません。あるアパレル系のお客様は在庫を半減させるとともに、売上は毎月、前年同月を上回っています。また、雑貨系のお客様では在庫量は導入前と変わらないのに売上が倍増したというケースもありました。

つい最近も、導入から2ヵ月で発注は計画から2割削減しているのに、売上は計画どおりという大手企業さまの事例がありました。

また、FULL KAITENはSaaS(クラウドサービス)ですので、低料金というのも特長です。ある程度の規模の企業であれば、1年もあれば利用料金をペイできてしまうでしょう。

質疑応答

ここからは、参加者から寄せられた質問と瀬川からの回答をご紹介します。

Q サイズ展開が多い場合、「在庫の質」の可視化はどのように解決すればいいですか。
A(瀬川) 在庫を品番で管理していると、良い面も悪い面も隠れてしまいます。例えば、同じ品番でもカラー、サイズごとによく売れているSKU、あまり売れていないSKUに分かれますよね。FULL KAITENは、SKUごとに在庫リスクを評価します。SKUが数万、数十万と膨大になってエクセルでの分析が困難なケースでも、FULL KAITENは自動で計算してくれます。

Q 小売業もメーカーも解決方法は同じでしょうか。
A(瀬川) メーカーも小売企業も基本的には同じです。製品を卸しているケースと製造小売りのケース。どちらも、モノを作って販売しているという点では同じであり、製品の在庫リスクは発生していますよね。そして、サプライチェーンにおいて取引先と利害を一致させられれば、在庫問題は解決していくと考えています。例えば多頻度・少量発注には生産側の協力が必要不可欠ですが、生産側にとってもメリットはあるんです。工場も原材料の在庫リスクを負っていますが、いつ来るか分からない大量発注に備えて多くの原材料を備蓄するよりも、少量でも多頻度で注文が来る方が在庫リスクは軽減されます。また、定期的に注文が来た方が資金繰りが楽になるという効果もありますね。

Q プロパー消化率はどう捉えたらよいですか。
A(瀬川) プロパー消化率は非常に重要な指標ですが、私はこればかり見ていては本質を見誤ると考えています。最も重要なのは粗利です。考えてみてください。プロパー消化率を重視するあまり、商品が売れ残り、最終的に不必要な大きい値引きをしてこなかったでしょうか。それよりも、極力大きな値引きをせず、小さな値引きをしながら売り切っていく方が多くの粗利を得られるでしょう。プロパー消化率だけを追いかけると、よく売れている商品ばかり販促を強化してしまい、薄い値引きで売れていたはずの商品が、販促がおろそかになってしまったことによって大きい値引きをしないと売れなくなってしまうということが起きてしまいます。在庫の「質」を見定め、質に合わせて手を打っていくべきです。

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