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5分で分かるステマ規制|23年10月から法規制! 「知らぬ間に違反」を防ぐには

消費者に広告・宣伝だと気づかれないように商品やサービスをPRするステルスマーケティング(ステマ)が、2023年10月1日から違法になります。

「自分はインフルエンサーじゃないから大丈夫」というのは大きな誤解であり、小売企業や消費者向けサービスを提供する会社に勤務する人なら誰でも、うっかりステマ行為をしてしまうことが十分に考えられるのです。違反の程度によっては行政処分を受けて社名が公表されるため、細心の注意が必要となるステマ規制。

本記事では5分程度で理解できるよう、規制についてまとめています。

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ステマの何が問題か

ステルスマーケティング(ステマ)とは、消費者に広告・宣伝だと気づかれないように、商品やサービスを宣伝することを指します。典型的なのがSNSの投稿やレビューサイトの口コミです。

これらは一見すると事業者の広告・宣伝ではなく、消費者やインフルエンサーなどの第三者の意見・感想に見えます。しかし、こうした表示の中には、次のようなコンテンツが含まれている場合が少なくありません。

  • 実は商品・サービスを製造販売している事業者が投稿している
  • 商品・サービスを製造販売している事業者から依頼を受けたインフルエンサーなどが投稿している

このように、実質的に広告であるにもかかわらず、広告であることを隠して広告・宣伝を行うことをステルスマーケティング(ステマ)というのです。

図1:典型的なステマの構図

では、ステマのいったい何が問題なのでしょうか。パッケージやウェブサイト、広告は消費者が商品・サービスを選ぶ判断材料となっています。消費者はパッケージやウェブサイト、広告などの表示を見て、購入するかどうかを決めているということです。

このため、パッケージやウェブサイト、広告は消費者が誤認しないように正しく、分かりやすい表示である必要があります。

一方で、消費者もそこまで愚かではありません。企業が行う広告宣伝には、多少の誇張があると理解しています。

しかし、企業とは関係のない「第三者の感想」だったらどうでしょうか? 消費者はそこに誇張があるとは考えないでしょう。特に著名インフルエンサーの「感想」だったら、表示内容を誇張なしのありのままに受け取りかねません。

やはり、ECが活発になる中で、インターネットやSNSにあふれるコンテンツが企業が出した広告なのか、それとも第三者の感想であるのか、消費者が明確に判別できる必要があるのです。ステマは消費者を欺くという点で問題となります。

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社員も「知らないうちにステマ」の恐れあり

そこで消費者庁は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すステルスマーケティングを2023年10月1日から規制することにしました。具体的には、消費者保護を目的とした景品表示法を改正し、広告の中身を問わず、「ステマである」というだけで違法性を問えるようにします。

そして、違反した企業には行政処分が下され、違反内容(どのようなステマ行為に及んだか)や社名が公表されます。なお、ステマ規制は10月1日から施行されますが、10月1日より前に出稿・投稿された広告コンテンツも規制の対象になるので注意が必要です。

また、ステマは欧米では既に厳しく規制されており、日本もようやく追いつく形となります。

規制が施行されると、小売企業やサービス業に従事する従業員が、知らないうちにステマ規制に抵触する行為をしてしまう恐れが出てきます。ここから注意点を見ていきましょう。

全ての従業員が注意しなければならないのがSNS投稿です。例えば、個人のアカウントで自分が関わる商品やサービスを紹介するケースがあります。

アパレル社員がX(twitter)で自社商品を紹介する例を以下に挙げてみました。

  • このカットソー、どんなボトムスにも合わせやすいし、可愛くてオススメ♡ https://xxx.xx/(※LPのURL)

このポスト(ツイート)はステマに該当しNGとなります。なぜなら、自分の立場(その商品を販売する会社の従業員)を明らかにしていないからです。

では、次のポストはどうでしょうか。

  • [PR]この革パン、どんなトップスにも合わせやすいし、動きやすくてオススメ!https://xxx.xx/(※LPのURL)
  • 私がXXX社でデザインを担当したパーカ、使い回しの良さと可愛さで大人気です^^ https://xxx.xx/(※LPのURL)

この2つはOKです。前者は[PR]という表示があることで、個人アカウントによる投稿だとしても当該会社の関係者のポストだと推定できるからです。

後者も、商品企画に自らが携わったことを明記していますので、会社関係者によるポストだと分かります。

このように、一般消費者にとって広告なのか第三者の意見・感想なのかが分かりやすく表示されていれば、ステマ規制に抵触することはありません。正直に、誠実に、広告は広告である旨をきちんと明らかにすべきだということなのです。

拙速な法規制に懸念点も

ただ、懸念点もあります。今回のステルスマーケティング(ステマ)規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する企業・個人事業主(広告主)です。広告主から依頼を受けてコンテンツを制作する第三者(インフルエンサー、アフィリエイターなど)や広告代理店、コンテンツを掲載するメディア、ITプラットフォーマーは規制の対象外となります。

つまり、以下の場合は、行為自体が明らかにステマだったとしても、ステマ規制の対象外になります。

  1. メディア(インターネットメディアを含む)が広告主A社から広告費を受け取り、メディアがインフルエンサーに依頼して商品に好意的な動画を制作してもらい、広告と明示せずに配信する
  2. 広告主B社がインフルエンサー等の第三者に無償で商品またはサービスを提供してSNSに好意的な投稿をするよう依頼するものの、インフルエンサー等があくまで「自主的な意思」に基づいて投稿する

①の場合、もし広告主A社が直接インフルエンサーに動画制作を依頼したら、ステマ規制の対象になります。同じことをしてもA社とメディアとで法規制の判断が分かれるのは不公平感があるのではないでしょうか。

②の場合、インフルエンサーが本当に自主的な意思に基づく内容としてSNS投稿したのか、はたまた無償で商品またはサービスを提供された見返りに好意的な内容の投稿をしたのか、客観的に判定するのは困難でしょう。

つまり、何がステマで何がステマでないのかに関する具体的なガイドラインが消費者庁から示されていないのです。このままでは「消費者庁の恣意的な判断を許すことになる」という声も広告代理店の一部関係者から出ているようです。

広告主によるステマだけが規制されれば、テレビやECモールでメディアやプラットフォーマーが介在する新たなステマビジネスが勃興しかねないと危惧するのは筆者だけでしょうか。

10月以降、ECモールやSNS、ポータルサイトで広告を含む様々なコンテンツにどのような変化が起こるのか、小売・サービス業で働く皆さんには是非とも注視していってほしいと思います。

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