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SDGsとアパレルの関係性とは?必須になる対応と事例をご紹介

日本全体やアパレル業界において、SDGsというワードを耳にしない日はなくなりました。

しかし、日本において、特にアパレルでは「サステナブル素材を使ったブランド」などと素材面と環境面に偏重した取り組みに逃げている傾向があります。

本記事ではSDGsとアパレルの関係性から、今後必須となる2つの対策について解説します。

人権とビジネスの関係性について0から説明した資料はこちら>

SDGsとは

SDGs(Sustainable Development Goals)とは、貧困・不平等・経済・気候変動など、世界が直面する課題を解決し、全ての人たちにとってより良く持続可能な世界を目指すために設定された国際目標です。

2015年の国連サミットで採択され、下記17のゴールと169のゴールから構成されてます。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダー平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公平をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsとアパレルの関係

服を一枚作るために、原材料の調達から製造・販売・廃棄と多くの工程を辿りますが、この各過程において環境に大きな影響を与えています。その影響について、環境と労働という観点から解説します。

環境問題

SDGsとアパレルを聞いて、多くの人が思い浮かべるのが「12.つくる責任つかう責任」でしょう。

2020年は81.9万トンの衣類が国内で新規供給されました。ですが、その内の90%である78.7万トンは使用後に捨てられていると言われており、廃棄・リサイクル・リユースされています。

  • 廃棄:51万トン
  • リサイクル:12.3万トン
  • リユース:15.4万トン

参考:環境省 令和2年度 ファッションと環境に関する調査業務

より分かりやすく一人当たりの年間利用枚数で考えてみましょう。

  • 購入枚数:約18枚
  • 捨てる枚数:約12枚

上記から分かる通り、多くの服が生産・購入をされておりその半数以上が廃棄されています。これらはファッションの短サイクル化や低価格化が原因と言われており、大量生産・大量廃棄は拡大傾向にあるのです。

また、大量生産・大量廃棄されているのは服そのものだけではありません。

原材料調達から製造段階における環境負荷を服1着あたりに換算すると、CO2はペットボトル(500ml)を約255本分製造する際の排出量に相当し、浴槽約11杯分の水が消費されているのです。

参考:環境省_サステナブルファッション

労働問題

アパレルが抱えている問題は、環境問題だけではなく労働問題も深刻です。

労働問題に注目が集まるきっかけとなったのが、2013年にバングラデシュにある複数の縫製工場が入ったビル「ラナ・プラザ」が崩壊し、1127人の死者を出した事故です。

ラナ・プラザはそもそも正式な許可なしに建築された建物であり、事故当時の労働環境は低賃金かつ健康に悪影響を及ぼすほどのものだったと言われています。

ラナ・プラザ崩壊事故をきっかけに、ファッション産業の下請け業者が多い発展途上国の実情が浮き彫りとなり、事故後は「バングラデシュにおける火災予防および建設物の安全に関わる協定(アコード)」や「ファッションレボリューションデイ」などアパレル産業を変革するべく様々な取り組みが行われるようになりました。

アパレル企業は環境・人権両方への対応が必須

サステナブルファッション

SDGsの達成のためには、サステナブルファッションへの取り組みが欠かせません。

一般的にサステナブルと聞くと素材の面に注目されますが、素材だけではなく「適量生産・適量購入・循環利用」という循環型の生産モデルにすることが重要です。

サステナブルファッションの推進には、消費者と企業の双方による取り組みが必要ですが、企業として取り組めることは以下のようなことが挙げられます。

  • 消費者が長く使えるような商品作り
  • 店頭回収の実施
  • 過剰在庫の削減
  • 商品の環境配慮に関する情報の提示
  • アップサイクル(※)の実施

(※)本来捨てられるはずの廃棄物や長く在庫されている商品に付加価値を持たせ、アップグレードさせること

人権

日本企業がSDGs対応を謳う場合、上記のような「サステナブル素材使用」「太陽光で電力調達」など環境問題に対する取り組みが多いのが現状です。

ですが、今後は環境問題と同等に人権対応も行なっていかなければなりません。

特に欧米各国は人権に配慮しない企業を締め出す規制を強めており、実際に2021年にはウイグルの人権問題を巡りフランス検察がユニクロに対して捜査に入りました。

ウイグル自治区は世界三大コットンの内の一つである「新疆綿」の産地として有名ですが、同自治区の少数民族が強制労働に強いられているとして、欧米をはじめ日本企業でも使用中止の動きが出ています。

このように、素材の生産を含めた全てのサプライチェーンにおいて人権対応がされているかが非常に重要視されており、さらに取り組みへの対応状況が外部から分かるようにする必要があるのです。

人権とビジネスの関係性について0から説明した資料はこちら>

SDGsに取り組む企業3選

パタゴニア

アウトドアブランドとして有名なパタゴニアは、世界の中でもいち早くSDGsへの取り組みを始めた企業です。1996年、コットンを使用している製品全てをオーガニックコットンに切り替えたことからはじまり、現在では全製品の88%で環境に優しい素材を採用しています。

素材の面だけではなく、自然環境の保護・回復を目的に売上の1%を環境団体に寄付していたり、長く使用できるようギアの修理ガイド・サービスを行う「WornWearプログラム」を提供しています。

今後2025年までに、石油を原料とするバージン繊維の使用中止や、ハングタグ・パッケージを簡単にリサイクルできるものに変更。2030年にはビジネス全体でネットゼロ(※)達成を目指しています。

(※)大気中に放出される温室効果ガスを実質ゼロにすること

参考:https://www.patagonia.jp/our-responsibility-programs.html

オールユアーズ

アパレルブランドのオールユアーズでは、「環す」というごみを生み出さないよう使い手を超えて衣服を循環させる仕組みの提供を2021年9月より開始しました。

製品のリペア・裾上げサービスに加え、着れなくなった服をブランド問わず回収をし、新たな服へのリメイクや次の製品の原材料として活用しています。

2022年7月〜9月にはJR中央線・南武線の計4駅とJRCDの駅ビルにて衣服の回収を行う「MAWASU STATION」の実証実験や、「環す」で回収した衣服を「新しい古着」として提供する新ブランド「ROLE YOURS」の立ち上げを行いました。

参考:https://allyours.jp/blogs/journal/role-yours-release

無印良品

無印良品は2021年4月に「『無印良品』の綿とサプライチェーンについて」というニュースリリースを発表しました。

店頭やウェブサイト等で販売している綿製品についての問い合わせを多数受けたことから、良品計画としての考えを社外に公表する流れになりました。

無印良品の製品は、1999年より衣料品の全てにオーガニックコットンを使用しており、栽培スケジュールに合わせて第三者機関を栽培地に派遣していますが、改めて、生産工程において法令や同社の行動規範に対する違反が確認された場合には取引を停止する方針を示しました。

参考:https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2021_0414.html

まとめ

・SDGsとは、持続可能な世界を目指すために設定された国際目標
・アパレル業界は、環境面・労働面において多くの課題がある
・今後はサステナブルファッションだけではなく、人権保護の対応が必須となる

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