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小売企業が物流コストを削減するための3つの事例とは

近年EC需要の高まりとエネルギー価格の上昇により物流コストが高騰しています。この物流コスト上昇への対応は小売業界でも急務です。本記事では物流費を抑えて利益をあげるには?というテーマで解説します。

高騰し続ける物流コスト

物流コストは上昇が続く

近年原油をはじめとしたエネルギー価格が上昇しています。特に直近ではウクライナ情勢の影響やトラック運転手が不足していることもあり、物流コストの高騰は歯止めが効かない状況です。

公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)発表の「2021年度物流コスト調査報告書」によると、2021年の売上高物流コスト比率は全業種平均で5.7%となり、過去20年で最も高い比率となりました。

出典:公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)「2021年度物流コスト調査報告書」

物流コストが販管費の内訳上位に

小売業界にフォーカスして考えると、BtoB(企業間物流)は少なくなり、BtoC(宅配物流)が増えています。そして、宅配件数は増えているものの、1回当たりの配送料が減っている状況です。

小売が店舗だけを運営する場合、販管費のうち人件費や家賃などが2/3を占めますが、ECのみの企業では販管費の中身が変わります。

ECの場合は送料の割合が非常に大きく、物流作業費(人件費、業務委託費+本部人件費)と合わせて販管費全体の2/3(※)を占めます。

(※)在庫最適化コンサルタントの齊藤孝浩氏登壇 「『物流2024年危機』を見据えたOMO戦略 ~物流コストを粗利益に換える発想転換~」より抜粋

従来、アパレル及び小売専業の企業では物流費の項目は決算資料にはありませんでした。

ところがファーストリテイリングの有価証券報告書(2021年8月期)を見ると、物流費や委託費など明らかにECと関連している経費が販管費の内訳として開示されています。その売上比率は次の通りです。

  • 物流費:売上比率4.3%
  • 委託費:売上比率2.3%

このように、今まではマイナーな経費だと思われていた物流関連費が、経営課題として明らかに浮上していることが分かります。

「2024年問題」により物流コストは高騰し続ける

物流コストの上昇は一時的なものではありません。今後は「2024年問題」により更なるコスト上昇が懸念されています。これは物流業界だけの課題ではなく、小売業界にも多大な影響が及びます。

2024年問題とは、2024年4月1日以降、トラック運転手の時間外労働時間が年間960時間に制限されることにより懸念される影響を指します。

具体的には、以下のような影響が予想されています。

  • 会社の売上・利益減少
  • トラック運転手の収入減少
  • 荷主側が負担する運賃上昇

またEC市場の拡大により物流量は増加し続けていますが、労働時間の制限により各業者が対応できなくなる可能性もあります。

このように「2024年問題」による小売業界への影響は無視できないものであり、「経済の血液」とも呼ばれる物流のコスト上昇は、あらゆる企業が向き合わなければならない重要な課題なのです。

そもそも日本の物流はBtoB向けに効率化されている

本章は、在庫最適化コンサルタントの齊藤孝浩氏登壇 セミナー「「物流2024年危機」を見据えたOMO戦略 ~物流コストを粗利益に換える発想転換~」より引用しました。

そもそも物流は、BtoBのために効率化されてきた歴史が長いです。例えば積載効率を上げるために、ハブアンドスポーク(※)、往復活用など工夫して効率を高めてきました。

(※)中心拠点(ハブ)に貨物を集約させ、拠点(スポーク)毎に仕分けをし運搬する輸送方式

一方BtoCの歴史は浅く、まだ伸びしろや改善の余地があると感じます。日本の宅配は世界的に見ても便利ですが、個人負担が前提だった宅配運賃をECの売り手が競って自ら負担するのは無理があります。

現在小売企業は「初回会員登録で送料無料」や「お買い上げ5000円以上で送料無料」にしている企業が多くありますが、果たしてこの方法で利益を残せるのでしょうか。

大手ファッション通販サイトのZOZOTOWNでは一律210円で、送料の一部をお客様が負担しているケースです。アマゾンは送料無料とうたっていますが、プライム会員は年会費を払っているので実質送料は無料ではありません。

こういったサービスに競合するために、企業側が送料を全て負担しなければならないという状況に陥っており、考え直していく必要があります。

BtoC向けの物流の未来は、企業が頑張るだけでなく、企業と顧客の未来の共創が必要になります。これまで構築したBtoB物流を上手く活用して、できるだけ企業間をつなぎ、最後にどう手渡すかを模索する(※)ことが求められます。

企業側も顧客側も、現状を理解をしながら進んでいかなければならない未来です。

(※)在庫最適化コンサルタントの齊藤孝浩氏登壇 「『物流2024年危機』を見据えたOMO戦略 ~物流コストを粗利益に換える発想転換~」より抜粋

物流コストを削減して利益を上げた3つの事例

では物流コストを削減するために各社が行っている事例を海外事例を交えてご紹介します。

 クリック&コレクトで送料無料に

欧米では、宅配に時間もお金もかかるため、小売業が持つ物流網と店舗の拠点を生かして、オムニチャネルという言葉が世界的に出てきた2010年代前半くらいから、様々な対策に取り組んでいます。

例えば英国では、クリック&コレクト(※)にいち早く取り組んでいます。

※クリック&コレクト:ECサイトで購入した商品を自宅以外の場所で商品を受け取るようにするショッピングスタイル

大手チェーン「NEXT」では、深夜12時までの注文で翌昼に店舗受け取りが可能です。お客様が最寄りの店舗へ受け取りに行くことで、送料不要で迅速に商品を受け取ることができます。さらに自社商品だけではなく他社商品にも対応しており、コロナ渦でオンライン売上比率50%→65%(2021年1月期)に伸長しました。

店舗の配送拠点化で物流コストと在庫削減を両立

欧米中国では店舗は顧客にとって身近な倉庫であり、配送拠点という発想が進んでいます。

ファッション業界でいうとZARAは、店舗のバックヤード在庫とEC在庫を一元化して、オンライン注文でも店舗在庫を引き当てての出荷が可能になりました。これにより2020年にはEC化率が35%まで上がり、そのうち18%は店舗在庫からの出荷でした。

ZARAは上記のように、店舗を配送拠点化し店舗に新たな役割をもたらすことができました。さらに店舗を配送拠点化したことにより、物流コストの削減と在庫削減の両立も叶えています。

※配送拠点化などの物流戦略に課題をお持ちの方は、「在庫最適化コンサルタントが解説 物流は”コスト”から”戦略的投資”へ」をご覧ください。

店間移動で物流コスト以上の利益を

店間移動は経費がかかるので禁止している企業もあると思います。ですが、セール期まで放置するより、運賃をかけてでも適時売れる店舗へ移動をし、プロパーで販売したほうが粗利を上げることができます。

例えば1週間で100万円分の値引きを余儀なくされたとします。粗利率が50%の場合、1週間で200万円分の売上を失っているのと同義です。200万円分の売上を取り返すには、新たに在庫を積むしかありません。

そのようなリスクを抱えるのであれば、物流に投資して店間移動をする方が粗利を稼ぐことができるでしょう。

例えば下記図は、弊社システムFULL KAITENを使って店間移動を行った結果を表したものです。

FULL KAITENは、EC・店舗・倉庫全ての在庫をAIを用いて分析をし、売上貢献度と完売予測日をもとに、在庫の質を「Best、Better、Good、Bad」の4つに分けます。この機能を用いて、セール開始前に売上が小さく在庫過多になっている店舗から、売上が大きく在庫過小な店舗へ店間移動を行いました。

以前までは、シーズン末にかけて売上が大きい店舗で在庫が少なくなり、売上を伸ばし切れていないという課題がありました。ですが店間移動をした結果、補充店舗・回収店舗ともに売上前週比100%超えを達成することができました。

在庫を利益に変えるクラウド「FULL KAITEN」の製品資料ダウンロードはこちらから>

このように売れる店舗へ的確に在庫を移動することで、物流コストを上回る利益を生み出すことができるのです。

今後も続くと予想される物流コストの高騰は避けられない上、「経済の血液」である物流を無くすこともできません。いかに物流コストを抑え、利益を上げていくかを各企業が考えていくことが必要です。

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