客数減にどう向き合う?客単価109%成長の高単価アパレル小売事例
年々続く入店客数の減少——。
小売業はどのように客単価を上げ売上、利益を最大化していくべきなのでしょうか?
本記事では、手持ちの在庫で客単価アップ施策を実施し、客単価が109%伸長した事例をご紹介します。
※お客様との協議で社名は非公開です。FULL KAITENを導入するお客様のインタビューを元に、記事を構成しています
感覚からデータ活用で「売れる組み合わせ」が見えた
ーーどのような在庫課題を抱えていましたか
年々物価が高騰する中で、どのメーカーも商品の価格をある程度は上げざるを得ない状況だと思います。ショッピングセンターや百貨店の入店客数もかなり減っており、その中でも中間層と呼ばれるお客様の入店客数が特に減っています。
弊社は中間層から上のお客様をターゲットにしておりますので、客単価を上げるしかないと考えていました。出店している百貨店の中でも、弊社は他のブランド様よりセット率が低い傾向にあったので、FULL KAITEN〈セット提案〉を活用することを決めました。
ーーFULL KAITEN導入前に実施していた、セット率UPの取り組みを教えてください
データをもとにセット率を上げる商品を判断していたというよりは、SVや店長の肌感覚で「AとBをコーディネート提案していきましょう。」と感覚論に近い方法で決めていました。
正直、どこの店舗も細かい在庫データの分析まではできておらず、客単価を上げる商品の組み合わせは分かっていませんでした。
FULL KAITEN〈セット提案〉の活用によって「これとこれが売れているんだ!」という新たな発見があり、それを店舗に伝えたところ、「そのコーディネート提案は考えたことは無かった!」という反応が多数ありました。取り組みを通じて既存顧客様だけではなく、新規顧客様の獲得に繋がった実感があります。
店舗スタッフもデータに基づいた接客によって、自信を持って提案できるようになりました。
ーーどのようにFULL KAITEN〈セット提案〉を活用しましたか
FULL KAITENでは全ての在庫を4つに分けるのですが、その中でも、Betterに属する商品からセット提案する商品を選びました。


Betterに属する商品をリストアップし、店舗に打ち出し(メイン棚への陳列、接客トーク、マネキンへの着用など)の指示を出しました。
打ち出し対象の商品がその店舗に無い場合は、FULL KAITEN〈店間移動〉を使って、どのように移動すれば全体最適になるか考えて移動をしました。
商品のリストアップはクリックだけでできるので簡単でした。
「新商品が主役」の常識を覆す!データ活用で売場改革
ーー店長様の反応はいかがでしたか
はじめは先入観から「メインの棚には新商品を並べないといけない!」と反発する声もありました。弊社は各店自主発注の方式を取っており、お店によって品揃えが異なるため店長のカラーが色濃くMDにも反映されます。今までは感覚に頼った意思決定でしたが、データで客単価を上げる組み合わせの情報を伝えたことで「接客の幅が広がった!」という声が寄せられました。
滞留在庫に埋もれていた商品が試着に繋がることもあり、接客の幅が広がったことでスタッフの経験値も上がったと思います。
本部から打ち出し商品の指示を出した当初は、店舗スタッフも身構えていましたが、実際にその商品が売れたことで徐々にデータを信頼し前のめりで取り組むようになりました。
ーー既存顧客様、新規顧客様それぞれに合わせた商品レイアウトに変更したと伺いました
月初は既存顧客様が新商品の入荷に合わせて来店されます。弊社のブランドの傾向として、売上の推移が頭でっかちで尻すぼみになりやすく、月の後半は売上自体の金額は下がっていました。
それを解消するために、月中以降は新規顧客様向けに既存商品を活用したレイアウトに変更する工夫をしました。既存顧客様は新商品を目当てに来店されますが、新規顧客様はどれが新商品なのかはあまり気にせずに気に入ったものを購入される場合が多いです。
レイアウト変更により、売上が月末にかけて下がりづらく、なだらかになりました。
手持ち在庫で客単価109%アップ!客単価向上で健全な経営、在庫数を保つ
ーーFULL KAITEN〈セット提案〉導入で創出した成果を教えてください
施策を実施した期間中に、客単価が109%増加(実施店舗3店舗の客単価の伸⻑率の中央値)しました。
「セット提案の対象品として選ばれる=商品としての魅力がある」のだと思いますが、もし何も行動しなかったら、魅力があっても他の在庫に埋もれて売れなかった可能性があるので、非常にもったいないと思います。
今回一番すごいと思ったのは、新商品ではなく、手持ちの在庫を対象に限られた店舗スペースでここまでの成果を出せたことです。客単価伸長と同時に消化率も上がりました。
今回は限られた店舗で客単価アップの取り組みをしましたが、仮に全店舗の客単価が109%増加した場合、1か月で370万円ほどの粗利額アップになります。年間に換算すると4,440万円の粗利額アップになり、手持ち在庫の活用は業績インパクトが大きいと思います。
ーー本部と店舗の業務負荷はどうでしたか
分析自体はクリックだけで完結するので、本部の業務時間はほぼ変わりません。
店舗には本部から無理のない指示を出すように心がけたので、習熟度の高い店舗は1時間ほどで作業が完了しています。
ーー店舗を巻き込むためにどう行動しましたか
初めは身構えている様子で、このままでは「やらされている感じ」になってしまうと思いました。そこで、都内の店舗に足を運んで店長に目的などを直接話しました。遠方の店舗には電話をして色々とヒアリングをしました。メールでやりとりするのではなく、直接話してお互いに腹落ちした状態を作ることを意識しました。
対象店舗の選定では、東と西のSVがいる店舗を選び、今後全体に展開しやすいようにしました。
ーーどのような課題を持っている方にFULL KAITEN〈セット提案〉を勧めたいですか
客数の少ない店舗は有効活用できると思います。客数は自分たちでどうにもならない部分もありますが、売れている店舗は客単価が高い傾向があるので、客数よりも客単価が重要になってくると思います。
魅力がある商品でも、滞留在庫に埋もれて期末に値引きをすると粗利を毀損してしまいます。そういう商品を定価で打ち出すことで、健全な経営や在庫数を保つことにも繋がります。
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