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EC売上が昨対比11%増に対し粗利額は16%増! 在庫分析 × 顧客分析の先駆者が語る真のデータドリブン経営

株式会社アーバンリサーチ

レディスアパレル/メンズアパレル

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幅広い年齢層の男女から支持を集めるURBAN RESEARCH(株式会社アーバンリサーチ様)。新型コロナウイルス危機が始まった2020年度から本格的にECに注力したものの、当初はデータ活用すらままならない状態でした。しかし、2022年度上半期(2~7月)には昨対比で売上高が11.5%増加し、粗利益額に至っては16.2%増加という目覚ましい成果を上げました。在庫を利益に変えるクラウドシステム『FULL KAITEN』とCXプラットフォーム『KARTE』をフル活用し、どのように値引きを抑えて粗利益を積み上げていったのか。執行役員デジタル事業本部デジタル営業部部長の齊藤悟様が語り尽くしました。

※写真右が齊藤様。左はフルカイテンCS矢田
※本稿は2022年11月24日に開催したセミナーの内容を再構成したものです

顧客の特性に合わせて値引きをコントロール

齊藤様は1998年、大阪のURBAN RESEARCH1号店の販売スタッフとして入社。 2001年に東京でプレスルームを設立し、マーケティング、CRM、アプリ開発・運用などの販売促進部署の統括業務を担当してきた。2020年度よりWEB営業部やデザイン、 情報システムの部署などを加えたデジタル事業部を統括している。

――FULL KAITENを導入する前はどのような課題を抱えていましたか

齊藤 まず、2020年の着任当時に感じていたのは「ECバブル」だということです。「とにかく売上をつくる!」という売上至上主義だったと思います。これは、他社も似たり寄ったりだったのではないでしょうか。
多くのお客様がECで購入してくださいましたが、そこでデータをしっかり取っていくという作業があまりできていませんでした。顧客データと販売データを持つ部署が異なるため、ここの掛け合わせが全くできておらず、CRMチームで有効な施策を打ち出すこともできないままでしたね。

とはいえ、実店舗が閉まっていたのでECでは何らかの施策を打たないといけません。とりあえず「クーポンやります」「値下げやります」という選択肢になっていました。

――その結果、無駄な値引きによって粗利益が毀損されていたということですか

齊藤 はい、コロナ下の自社ECは、売上の伸び率の方が粗利額の伸び幅より大きかったです。実際問題として店舗が休業していたので在庫が膨らんでいたので、ECでの販促を集中的に行った結果どうしてもそうなってしまいました。

要は、まだまだプロパーで売れそうな商品と絶対に売れ残るであろう商品との線引きをどのように予測すれば良いのかが分からなかったんですね。分かりやすく言うと、30%引きで売れる商品も含めて全て50%引きにして売ってしまっていたということです。このため、在庫と顧客分析の掛け合わせによって在庫を利益に変えるためのアクションプランを具体的に必要としていました。

――データドリブン経営は、言うは易く行うは難しですよね

齊藤 ものすごくたくさんデータがあるのに、洋服屋として「感覚的にどう」というのが判断材料になっていました。感覚を重視した判断というレガシーがOMO推進を妨げていたことは否めません。

でも、データドリブンは金に換えられますよ、ということを2022年正月に実証したんですよ。結局データドリブンとなると、EC側の者が困ることとして「ブランド側の人がやってくれない」というのがほとんどです。そこでブランド側が喜ぶことをEC側でやった方が良いと考え、データ活用の有効性を示そうとしました。正月に自宅で、1年52週の売上トップ20のランキングをスプレッドシートで一覧にし、お気に入りコメント等と一緒にまとめる作業をやりました。

その時に気付いたのが、レビューに「ワンピースの丈が長い。私は148cmなんですけど」というコメントが集まるブランドが決まっていることです。年明けの経営会議に自作の資料を提出しました。その結果、低身長向けSサイズを展開するようになりました。データを使った成功体験をブランド側に積んでもらったということです。すごく面倒くさい作業でしたが(笑)。

ECのメンバーは店舗側から異動してきた者が大半で、彼らは店頭でずっと頑張ってきたという点に対するプライオリティが強い。これはダメなことでは決してないですが、生まれ変わるきっかけを作らないと、会社全体のデジタル化は進まないということを身をもって体験しました。

――FULL KAITENを使って、どのように課題とビジネスダメージを解決できると思いましたか

齊藤 滞留在庫に対する打ち手(販促施策)を具体化するため、これまで粗利益を削っていた値引きという要因に着目し、いかに顧客の特性に合わせて(価格を)下げ過ぎずに売るかを追求することにしました。株式会社プレイドのCXプラットフォーム『KARTE』とFULL KAITENを掛け合わせた連携ソリューションのPoC(実証実験)から始めたわけですが、まずはタイムセールから手を付け、売上高と粗利益額、CVRの3つの指標を見ていくことになりました。

FULL KAITENは実績データを基にSKU単位で全在庫を分析した後、四象限に分類しますよね(下図)。

FULL KAITENは全ての在庫の「現在地」を4つに分類する

Betterの領域から「隠れた売れ筋商品」を抽出し、それらの商品に関心がありそうなお客様をKARTEによって割り出し、レコメンドに乗せるというやり方を、不要な値引き抑制に向けた施策に落とし込んでいけると考えました。

――導入に際して苦労したことや別の課題はありましたか

齊藤 叩き上げのMDやDBは、そもそもKARTEやFULL KAITENのようなツール自体を疑った目で見がちなので、理解してもらうのに時間がかかりましたね。だから私はMDと並走しながらやれることからやっていこうよ、というスタンスで臨みました。

あと、MDからすれば、FULL KAITENを入れることで仕事が取られるんじゃないか、という懸念もあったかもしれません。でもMD自身も施策を考えたり振り返ったりすることに時間を使えるようになりますから、「商品と向き合って商品のことを考えよう」と語りかけ、皆ついてきてくれています。

質問に答える齊藤氏(右)と矢田

売上底上げに必要不可欠なLTV向上が見えてきた

――FULL KAITEN × KARTEのPoCで具体的にどのようなアクションを取ったんですか

齊藤 まず、Betterに含まれるのは想定よりも売れ残るという商品ですが、Betterの中の右側半分は売上に貢献するものの残品の可能性が特に高いものなので、タイムセールの対象にしました。

そして、これまで私たちは左側半分(Bestに近い方)の扱いを間違っていたことに気付いたんです。何故かというと、左側半分はプロパー消化の確度が高いのに、まとめてタイムセール等で値引きしていたからです。これらは、レコメンドの強化によって値引きなしで売れるので、PoCの施策に反映させていきました。

次のステップとして、KARTEの方で購入頻度が高いお客様を抽出します。例えば、消化を促進したい商品カテゴリーがあったとして、関連した商品を買ったことがあるお客様へレコメンドを当てるわけです(下図)。FULL KAITENのデータと組み合わせると、まだまだプロパー消化できる商品を、過去の購買体験からその商品の特性にマッチしそうなお客様に向けてピンポイントでレコメンドできます。

――3カ月間のPoCでどのような成果が出ましたか

齊藤 当社が独自にやっていた施策とPoCとを比較すると、売上高は19%増、粗利率は15ポイント上昇、CVRは31ポイント向上となりました。もともとセール対象のはずだった商品を対象にしていますから、粗利率を上げるのは並大抵のことではありません。それでも15ポイントアップしている点は評価できると考えています。

そして、PoCを含む上半期(2022年2~7月)トータルの影響を追ったところ、売上昨対比は11.5%増、粗利額の昨対比は16.2%増でした。これこそが求めていた成果です。
また、在庫に関しては、溜めに溜めた2020年度、21年度の残在庫が100だったとして、今は35くらいしかありません。キャリー在庫はほぼ持っていない状態です。

講演する齊藤氏

FULL KAITENの得意なところは粗利額と粗利率の改善であり、KARTEはCVR向上に貢献します。この2つを組み合わせれば顧客LTVに貢献しそうです。やはり、LTVを上げないと来期の売上目標は上げられません。

例えば、経営陣が「ECはまだまだ進化するやろ。とりあえず売上20%増で予算組んでみよか」と言っているとします。でもそんなのは、どだい無理なんですよね。会員さんの購入頻度を上げ、購入金額を上げないことには売上の底上げはできません。

ただ、KARTEとFULL KAITENの掛け合わせも魔法の杖ではないですから、日々のメンテナンスは重要です。そして店舗とEC、MDそしてDBの共通言語ができたことも重要な成果だと思っています。

――約3カ月という短期間でこれほどの成果を出せた要因は何ですか

齊藤 取り組みとしての施策をたくさん打ったことだと思います。正直言って、最初の1、2本はうまく組めていなくて結果はもう一つでしたが、反省して続けていくうちに成果が出る手ごたえを感じられるようになりました。

また、当初は私もFULL KAITENのことをよく理解できていなかったんですが、途中から猛スピードで使い始めたことで、改善できるようになりました。要は、やる人がどこに気付くか次第。気付けるようにたくさん施策を打つということでしょうか。

MDがFULL KAITENを使い込むことでさらなる成果を

―― FULL KAITEN導入で社内のマインドはどう変わりましたか

齊藤 約200店ある実店舗の店長全員に、FULL KAITENの使い方を指導したところなんですよ。それによってセット率の向上を期待しています。

具体的には、Betterにある商品を使ってセット率を上げる手立てのヒントが得られます。例えば、ジャンパーワンピースとハイネックニットはかなりの確率で合わせ買いされているが、ダウンジャケットと一緒に買われている商品はあまり無い場合です。

ジャンパーワンピースを買おうとしているお客様にはハイネックニットをお薦めするべきだし、ダウンジャケットを購入しようとしているお客様には無理やり合わせ買いを提案してはいけないということにデータから気付けるわけです。

すると、セット率向上だけでなくお客様の満足度が上がります。

――FULL KAITENが「共通言語」を提供していることのメリットも感じられますか

齊藤 商品調達に効果が出てきていると思います。だいたい在庫がありすぎるか足りないかという問題しか出てこないんですよ。「この商品を欲しいというお客様がまだいたんですよ」という声が出たときには、「そのお客様はどんな方なの?」とか深掘りできるようになりました。そして生産管理も関わってきますから、生地でストックし、その生地を使う商品のグループを組んでFULL KAITENに分析させれば、その生地にどれくらいポテンシャルがあるかが定量的に分かります。

――さらなる定量的成果を創出するために次のチャレンジとして考えていることを教えてください

齊藤 まずはMDが使い込んでいくということです。Betterの右側とbadに近い方をつなぐと逆L字のような形になりますが(下図)、この逆L字の部分の値引きの出し分けを突き詰めたいです。

それ以上に大事だと思っているのが、リードタイムを考慮して3カ月くらいあるいは2カ月くらいのスパンで見ることです。例えば、冬物は1/31と2/28をお尻に置いて、既に消化が厳しいと判明している商品は今からタイムセールにかけていくとかですね。

ちょうど、品番でくくって粗利の推移を可視化するFULL KAITENの機能が出てきたので、それを今ものすごく使っていますよ。


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