事例インタビュー

シーズン終盤に商品を再打ち出しして新規客に定価で月400万円販売! MDが店長を説得したカギは「データ」だった

株式会社カイタックインターナショナル

レディース・メンズアパレル

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カイタックグループで自社ブランドを中心にトレンドアパレルの製造から販売まで手がける株式会社カイタックインターナショナル。FULL KAITENを用いて客単価を上げ、全体の売上高も前年を上回っています。その秘訣を伺いました。

※本稿に含まれる情報は、2020年11月時点のものです。その後、フジテレビ様の独自取材により、「売上約5%増、在庫10%削減(いずれも昨対比)」という成果が明らかになりました。

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再打ち出しした商品がフリー客に定価で月400万円も売れた

カイタックインターナショナルは7つのアパレルブランドを展開しており、売上高は67億円(2020年2月期)。このうち、「グランマ ママ ドーター」や「カトー」などを運営するチームキットカンパニー(社内カンパニー)がFULL KAITENを導入している。

この夏から秋にかけて、チームキットカンパニーのブランドの店頭では、ちょっとした変化があった。シーズンが深まった時期なのに、シーズンものの商品を目立つ位置に陳列したり販売スタッフが着用したりと、再び販促を強化していたのだ。

従来、チームキットカンパニーの売上は顧客(固定客、常連客)が中心で、フリー客に対する売上は小さかった。顧客はシーズンものを先買いするケースが多く、秋物は晩夏、冬物は秋口によく売れていた。このため、実売時期に再び販促することはほぼ皆無だったという。

しかし、今季は違った。MDマネージャーの木村さんが、先買いをした顧客の売上実績を基に、店長たちに再打ち出しを指示したのだ。当然、店長たちは「顧客にはもう売り切ったものを再び打ち出して、本当に売れるんですか?」と難色を示した。

しかし、木村さんは「データから判断すると、まだまだ売れます」「まずは1週間、様子を見てください」と粘り強く説得し、再打ち出しの実行にこぎ着けた。

その効果はてきめんだった。再打ち出しした商品はフリー客の支持を集め、3シリーズだけで最初の1週間に175万円もの売上を作ったのだ。最終的に、これらの売上は10月だけで約400万円に上った。木村さんは「顧客に売り切った商品でさらに売上を作れるはずがない、という固定観念があったが、そこをデータの活用によってうまく修正できた。データを信じて施策を毎週繰り返してくれた店長たちに感謝しています」と振り返る。

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FULL KAITENのデータが店長たちを説得する決め手に

前章のような販促手法は、現場の店長たちにとってはいわば常識外れであり、実施に難色を示すのも無理もない。そこで、木村さんによる説得の根拠となったのが、FULL KAITENが出力したデータだった。

仕組みはこうだ。売上高は平均客単価と注文(販売)件数の掛け算で求められるが、FULL KAITENの単価向上機能では、全体の平均客単価の向上に貢献する客単価帯が分かる。その客単価帯の販売件数が増えれば、それ以外の客単価帯の販売件数が減ったとしても売上高は増加する(下図)。

木村さんはFULL KAITENを使い、狙った客単価帯でよく買われている商品を抽出。それらの商品の販促強化を各店に指示した。指示の中には、顧客が先買い済みの商品を再打ち出しすることも含まれていたため、店長たちは戸惑ったわけだ。

しかし、木村さんは来店客数が新型コロナウイルス危機前の水準まで戻るにはまだまだ時間がかかるとみて、「客単価アップは必須です」というメッセージを強く発信した。そのために、FULL KAITENのデータに裏打ちされた詳細な資料も作成したという。

その資料では、打ち出すべき商品を品番ごとにリストアップし、シーズンものと定番品のコーディネート提案も行うよう指示している。

同時に、平均客単価を下げてしまう商品を打ち出さないようにしたことで、客単価は予想以上に向上している。「フリー客は単価が低い商品を購入しがち、という思い込みがあり、今まではフリー客にはファッション雑貨などを打ち出し、顧客への販売によって売上を作るのが当たり前でした。それが今は、フリー客にも平均客単価を上げる商品をお買い上げいただいているほか、フリー客の顧客化にもつながっています」と木村さんは手応えを感じている。

不良在庫を効率的に店間DBし、売れる店で消化につなげる

チームキットカンパニーでもう1つ効果があったのが、商品の店舗間移動(ディストリビューション=DB)だ。

FULL KAITENの消化率向上機能は、SKUごとに在庫リスク(売れ残りリスク)を計算し、そのリスクの大小によって全在庫を「フル回転在庫」「過剰在庫」「不良在庫」の3つに分類する。いま現在の在庫量が多くても、販売期間内に売り切れるとFULL KAITENのAIが判断すれば、そのSKUは不良在庫ではないし、逆に現時点の在庫量が少なくても期間内に売り切ることができないとAIが予測すれば、そのSKUは不良在庫に分類される。

DBの横山さん。在庫の店舗間移動で手応えを感じている

DB担当のリテール課リーダー、横山さんは過剰在庫や不良在庫の中でも特に売れ残りリスクが大きい品番をリスト化し、動いていない店舗から動いている店舗へ移動させるという判断を2週間ごとに行っている。

本年9月に「不良在庫」と判断された新商品を移動させたところ、移動した先の店舗で売り切ることができたという。横山さんは「移動先のお店から『やっと売り切ったのに、また入ってきたか』と言われたことはありました(笑)。でも、移動元から『その商品は持って行かないで』と言われたことはないので、大きな効果が出ていると思います」と語る。

これまで今AWでワースト50品番など、抽出条件を変えて4回・計120品番ほど動かしており、最適な基準が見つかりつつある。店間DBはFULL KAITEN導入前も実施していたが、1シーズンに3~5回のみだった。しかも、エクセルを使っていたため、計算に半日はかかっていたが、今では30~40分もあれば作業が終わるようになっている。

これからAWの新規商材が減っていくので、既存品番の店間DBがますます重要になります」(横山さん)

データを蓄積して計画の精緻化に活かしたい

以上のような事情もあり、チームキットカンパニーでは10月の既存店全体の売上高が前年比3%増となった。昨年10月は消費税率引き上げ直後で個人消費が冷え込んでいたとはいえ、今年は新型コロナウイルス危機に見舞われていることを考慮すると十分価値があるといえるだろう。

「フリー客はどれくらい売上を作ることができるか読めないため、これまでは顧客で売上を作ることが当たり前でした。それが今ではFULL KAITENのデータの活用で、フリー客の売上をある程度コントロールできるようになりました」と木村さん。狙った客単価帯を超える客単価を取れるケースも増えている

右上から時計回りにDB横山さん、MD木村さん、
弊社CS(カスタマーサクセス)島田、弊社CS永田

FULL KAITENを使いこなして様々な販促、店舗間移動を積み重ね、成果を出している木村さんと横山さんだが、もともとはFULL KAITENを知ったカイタックグループの経営陣からトップダウンで導入検討の指示があったという。

カイタックグループは卸売業の比率が高く、小売店舗における消化状況や商品動向を把握する仕組みがなかった。事業規模が拡大するなかで不稼働在庫が増え、売上目標を引き上げた結果、残在庫がさらに増えるという悪循環に陥っていたという。

このため、チームキットカンパニーが先駆けて導入し、グループでどのように役立てていけるかを観ることになった。その過程で、比較検討した他のツール・システムは特になかったという。

チームキットカンパニーの井上博文ゼネラルマネージャーは、導入の背景についてこう語る。

「FULL KAITENは、このまま何も手を打たないと不良在庫になる、とAIが判断した商品に対して何らかの施策を行うという考え方が非常にシンプル且つ分かりやすかったです。そのように判断された商品の全てに対応しなくても、一部の数品番だけにでも対応すればそれなりの結果は出せるのではないかと考えたら、導入する側としても非常にハードルが下がりました。また、施策によってどれくらい在庫が売上に変わったのかという結果が分かることで、使えば使うだけ施策の精度が上がるという確信を持てたことが導入の決め手でした

今後、どのようにFULL KAITENを使っていきたいかを木村さんと横山さんに聞いてみた。

木村さんは「客単価は上がっているが、さらにあと15%ほど上げることを目指しています。また、入り口(発注段階)から調整して販売計画を立てることで、より精度の高い計画にしたいですね」と意欲的。横山さんは「さらにデータを溜めていくことで、過剰在庫・不良在庫の特徴や傾向が分かるようになるので、発注段階の基準にしていきたいです」と話してくれた。

コロナ危機下にあって実店舗に足を運ぶ消費者は、商品との一期一会、VMDの世界観、接客など、そのブランドならではの体験価値を求めており、その価値に対して対価を支払う。チームキットカンパニーがFULL KAITENを活用し、さらに提供価値を上げることに期待したい。