キンメダイ1 尾750円! 鮮魚市場でみた市場原理と、需給を無視したアパレル“余剰在庫”の愚
キンメダイといえば、誰もが知る高級魚。淡泊なのに絶妙に脂がのった白身は絶品で、気軽に家庭で食べられる魚ではありません。
ところが、新型コロナウイルス危機によって、庶民の手が届く魚になっていると聞けば、皆さん驚かれるのではないでしょうか。
筆者は先日、大阪府豊中市にある豊南市場へ家族と出かけ、鮮魚売り場で我が目を疑いました。
「キンメダイ 1尾 750円」
キンメダイが店頭に並ぶこと自体珍しく、数年前に当店で見かけたときは1尾2千円くらいで、隣に並べられていたもっと安いキンキを買った記憶があります。これほどの“価格破壊”は初めてでした。
迷わず2尾購入し、1尾は煮付け、1尾は造りにして家族みんなでいただきました。
そういえば、日本経済新聞の2020年5月14日付朝刊1面コラムに、こんなことが書いてありました。
スーパーに手ごろな値で刺し身用のブリが並んでいた。
(中略)時ならぬ豊漁のめぐみに加えて、近ごろは、これまで値が張って手を出しにくかった魚介類も求めやすくなり、鮮魚の売り場は華やかさを増した感がある。新型のコロナウイルスの感染拡大で多人数の宴会が取りやめられ、さらには飲食店からの引き合いも減って、地域のありふれた店舗にしたたり落ちてきたのであろう。
マダイは1サクが400円前後、煮付けにも刺し身にもできるキンメダイが1尾1000円ほど。ホンマグロだって背伸びすれば買えそうだ。漁業関係者は安値ゆえの苦境にあるに違いない。ならば、不漁で去年はなかなかお目にかかれなかったサンマやイカの分まで食べ、激減した需要を微力ながら下支えしたいものだ。
まさにその通りで、筆者が食べたキンメダイも本来ならば大阪・北新地の料亭などへしかるべき値段で卸されていたはずです。それが、新型コロナ危機で多くの飲食店が休業ないしは営業体制の大幅縮小を余儀なくされ、引き取り手がなくなったために一般消費者向け市場に出てきたのでしょう。
とはいえ、いくら家庭で高級魚を食べられるチャンスとはいっても、値段が高くては手が出ません。このため1尾750円という破格値が付けられたのだと思われます。
ここでポイントとなるのが、価格は需要と供給で決まるという市場経済の原理。中学校で習う需要と供給の曲線のアレです。
アパレル業界が陥る供給過剰と過剰在庫
少しおさらいしてみましょう。
供給量が変わらなければ、需要が増えれば価格は上がり、需要が減れば価格は下がります。逆に需要が一定の場合、供給が増えれば価格は下がり、供給が減れば価格は上がります。
冒頭のキンメダイの値付けもこの原理に則っていますね。
ところが、この原理に反した経済活動が業界全体で行われている産業があります。それはアパレルです。
市場規模は日本国内だけで10兆円弱ありますが、1年間に流通する衣料品のうち一度も消費者の手に渡らずに処分される割合は5割とも7割ともいわれています。つまり、売れ残ると分かっていながら毎年、実際の需要を大幅に上回る量の衣服が製造されているのです。
プロパー価格(正価)で売れなかった商品は値引きをし、それでも消化できなかった余剰在庫は様々なルートで処分する。こうしたコストや不良在庫の廃棄ロスを加味した価格設定が行われているといえます。
モノがよく売れていた時代は、滞留在庫でも持っておく意味はありました。しかし現在は滞留在庫はリスクでしかありません。さらに、こうした焼き畑農業的なビジネスモデルは近年、SDGsやESG経営の観点で社会から厳しい批判を浴びています。
脂ののったキンメダイの造りを口に運びながら、アパレル企業が『FULL KAITEN』を使えば無駄な供給を抑えられるのになあ、と考えていました。
過剰供給も余剰在庫も、「在庫を余分に積まなければ売上が減ってしまう」という思い込みが遠因です。
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