8カ月で8.5万点を店間移動!手動よりも粗利率が19pt高い圧倒的成果の裏側
株式会社パル
課題
- ブランドの売上が成長するステージで、在庫の配分や店間移動に割く人的リソースが足りなかった
- シーズン(販売期間)終了が近づくと一斉マークダウンや処分の指示を出していて、機会ロスが発生している可能性があった
解決策
- 全在庫を4象限のヒートマップで可視化するFULL KAITENの機能を活用し、早期値引きや店間移動の判断を省力化かつ迅速化
- FULL KAITENを活用して移動対象とする商品の基準を統一
定量成果
- 2025年3〜10月で累計約8.5万点を移動させ、稼働率(移動先の店舗で実際に売れた率)と粗利率が、手動で移動させた商品よりもそれぞれ15pt、19pt高くなった
- 店間移動のためのデータ集約、リスト作成に要する時間が従来の12人時から2〜3人時へ短縮
株式会社パル様が運営する人気アパレルブランド、CIAOPANIC TYPY(チャオパニックティピー、以下TYPY)は、自然体のライフスタイルを大切にしたいファミリー向けに少しのこだわりとリラックス感をあわせ持ったスタイルを提案しています。そんなTYPYでは売上高の大幅増が続いてブランドとして成長している中で、業務の属人化や店舗への適切な在庫配分といった面で課題を抱えるようになりました。
そこでFULL KAITENの活用により課題を解決していき、店間移動で大きな成果を創出するようになりました。本記事では、TYPYのMD(マーチャンダイザー)木戸様とDB(ディストリビューター)皆川様に、FULL KAITENを通じた取り組みについてお話を伺いました。
※本記事に含まれる情報は2025年12月中旬時点のものです。
ブランド急成長の陰で
ーーFULL KAITEN導入前は在庫配分や店間移動をどのように実施されていて、どういった苦労や課題があったのでしょうか。
木戸様 導入前はブランドの売上規模が一気に上がってきていた時期でした。パルグループ全体の業績が伸びていたという後押しももちろんありましたが、TYPYは本当に前年比で110%といった増収が続いて非常に好調でした。ただ、売上増に伴って、今まで人で成り立っていた在庫配分や店間移動の業務が正直しんどくなってきたんですね。作業にすごく時間を取られてしまい、DBとしてもっとやりたいことが色々とあるのに、時間を取られてなかなか業務が追いつかないという課題がありました。

ーーブランドが大きく成長していく過程でありがちな事態ですね。
木戸様 そうですね。数字でもって店舗を管理・検証していくというところが本当に追いつかなくなってきて、かつ人数も限られていましたから、効率化が必要な状況でした。
ーー業務が属人化していた部分もあったのでしょうか。
木戸様 ほぼほぼ属人化していました。感覚値に頼っていましたね。
ーー売上が伸びていく時期で商品の消化や利益創出の面では課題を感じられていましたか。
木戸様 適在(在庫の適正化)のところで一番課題がありました。やはりECの動きがすごく速かったので、店舗にある在庫を移動させたかったのですが、その確認作業ができるタイミングがなかなかありませんでした。利益観点で言うと、その適在が難しかったですね。かなり時間がかかっていましたので。
且つ商品を配分することが最優先だったので、その後の店間移動が後回しになっていた部分もありました。当時はライフスタイルコードもあったりして1,200〜1,400品番ほど抱えていて、全てを見切れないところの悩みが非常に大きかったです。
今から思い返すと、機会ロスが結構あったんじゃないかと思いますね。シーズンインから2カ月経った商品は「マークダウンしてください」「破棄してください」とシンプルに伝えていましたから。
ーーシーズンが終わるまで置いておけば売れていたんじゃないか、というようなところまで考える時間や余裕がなかったという感じでしょうか。
木戸様 そうですね。もう時間がなくて、「セールでこれだけ利益を確保しよう」ではなく、シンプルに「店頭をすっきりさせて新しい商品をどんどん入れて売っていこう」という方が圧倒的に優先順位が高かったですね。
そうしたところに、役員から「FULL KAITENというシステムを使ってみないか」と提案されました。感覚に頼らず先のことをAIで予測して発注を管理できればいいなと考えてTYPYで導入することにしました。
在庫のヒートマップで利益創出へ
ーー実際にFULL KAITENを利用してみていかがでしたか。
木戸様 4象限(ベスト、グッド、ベター、バッド)の基準に基づいて全在庫をバンと分類表示してくれるので、例えばバッドになっている商品は「どうにかしないといけないね」と次のステップ(販促テコ入れなど)に一瞬で進むことができますよね(下図)。従来はこの共通理解に至るまでのところに時間がかかっていたので、そこを短縮できたのは非常に良かったと思います。今までは感覚的に「この品番は(動きが)悪いな」くらいで話が終わっていましたので。

ーーそれによって、チームにどんな変化が出てきましたか。
木戸様 実は、変化を感じ出したのは利用を始めてから2年くらい経過してからだったんですよ。最初は難しいというのが正直なところでした。まず自分の感覚とFULL KAITENが出す数字とのずれですね。自分では「これぐらい配分した方がいいんじゃないか」と考えた店と商品に関して、FULL KAITENでは「もう在庫はいらない」と出てくるギャップを埋めるため、栗原さん(フルカイテンCS = カスタマーサクセス)に確認するため何度も電話等でやり取りさせていただきましたね。
あとは、FULL KAITENによる運用をまず私自身が理解し、その後にチームのみんなに理解してもらうためにアウトプットするところまで深く理解するのが大変でした。また、店長たちは本部から情報を送ってもらう方法として基幹システムから出力した従来のExcelベースに慣れてしまっていましたから、当時から約60店ありましたけども、私もなかなか店間移動に踏み出せずにいました。
そこにDBとして皆川が入ってきて、変化が出始めました。具体的な活用の姿をしっかりと考えられるようになり、店側に負担をかけずに移動を行うというところを毎週どんどんとサイクルを回せるようになっていきました。FULL KAITENのシステムアップデートもされていって、1年半くらい前から店間移動の実績をきちんと視覚化ができたという点が非常に大きかったですね。
栗原(フルカイテンCS) ブランドが急成長している時期に「さらに何かを変えていこう」という取り組みが重なったので大変だったと思いますが、その中でもやり遂げられたのは素晴らしいと思います。
ーー皆川さんは最初、DB業務に対してどんな印象を持たれましたか。
皆川様 私も現場上がりで、店舗の店長をやっていましたので、そもそも在庫配分や利益という着眼点からは程遠い人間でした。やはりお店の売上が第一ですから、利益を取るためにどうすれば良いのか、そのためにどう商品を配分するのかという概念すらありませんでした。
ただ、DBとして何をどう考えないといけないのかが分かってくると、FULL KAITENの4象限というのは実はすごく見やすいんだということに気付きました。

ーーやはり店長さんの立場だと、どうしても自店の売上に目が行ってしまうものなんですね。
皆川様 そうですね。店長からすれば「売れるもの全部よこせ」くらいの勢いですから。そうしたFULL KAITENの思想とは全く違う考え方だった頭を矯正していくのが大変でしたよ。
ーー矯正してみて、いかがですか。
皆川様 今はもう「これ(FULL KAITENの考え方)以外ないでしょ!」と思っています(笑)。在庫の移動に関しては私が一番活用していまして、明らかにどんどん効果が上がっていますし、移動させる数量(点数)が増えているのに、粗利率が変わらず創出利益が増えているのは、自分でもすごいことだと感じています。やはり、手作業で同じだけの数量を移動させるとなると、最初の頃の移動の基準が、販売期間が終わりに近づくにつれて徐々に変わってしまうため、粗利率がどうしても下がっていってしまいます。
栗原 すごく嬉しいコメントです。やはりTYPY様の場合SKUが多いので、時間効率的にもお役に立てていると思います。
木戸様 従来は、移動対象を集約するとなると2人でそれぞれ6時間ずつくらい作業しないと終わりませんでした。それが今は2、3時間で済みます。午前中だけあれば完了するイメージです。人件費の面ではかなり削減できていますね。
ーー直近の定量的な成果はどれくらい出ているのでしょうか。
皆川様 今年(2025年)の結果で言うと、3月から10月末までの8カ月間で、FULL KAITENの指示で移動させた商品の稼働率(移動先の店舗で売れた割合)は約38%で、粗利率は約61%でした。同じ期間に手作業で指示を出した商品は、稼働率が約23%、粗利率は約42%でした。稼働率で15ポイント、粗利率で19ポイントの差が出ています。
また、FULL KAITENの指示による移動数量は前年同期が約2.3万点だったのに対し、25年は8.5万点とおよそ3.8倍になりました。一方で稼働率と粗利率は前年とほとんど変わりません。先ほど申し上げたように、数量がこんなに増えているのに粗利率が変わらないというところにも結果が出ています。
栗原 この点は本当に素晴らしくて、TYPY様は何ステップかに分けて進化していらっしゃいます。最初は手動で移動させていて、どれだけ動いているか(移動先で売れているか)も分からないような状況でしたよね。そこを効率化させて、稼働率や粗利率が改善したことが分かって、全社に向けて効果を実証することができました。
そのうえで、お二方がFULL KAITENの機能を改善するために色々と調整してくださっているんですよ。その中でFULL KAITEN活用のスコープもどんどん広がっています。
DBとMDのコミュニケーションツールに
ーー他に定性的な変化や成果はどんなことがありましたか。
木戸様 まず、店舗の作業を減らすことによって、お店がもっと接客や販売に集中できるようにすることを目標に掲げていました。そこで今年(2025年)からは倉庫から店舗への追加配分もFULL KAITENの指示に則って実施するようになりました。適切な量を各店にフォロー出荷するようになりますので、無駄な店間移動も発生しないという流れを目指しています。
これにより、現場からは「物流の作業が減りました」「集約の作業も減っています」という声をもらっています。SNS投稿や部下とのミーティングの時間を増やすことができたんじゃないかと思います。
皆川様 私は現在、早期のマークダウンによって在庫リスクを減らすためのオペレーションにFULL KAITENを活用しています。全ての在庫をクォリティごとに4象限に分類(ベスト、グッド、ベター、バッド)する〈在庫分析〉の指標を活用しています。
私たちは商品ごとの状況を記載したExcelデータをブランド内で共有しているんですが、そこに品番ごとに4象限のクォリティを記入して毎週共有するようにしています。MD自身に決めてもらった期限(販売期間)内に売り切れるか売れ残るかをFULL KAITENが予測したクォリティですね。例えば、この品番は期限までに売り切れると予測されるので「ベスト」、別の品番は期限を過ぎても売れ残るから「バッド」という具合です。
DBとMDがそれぞれ違う表や異なる数字を見ていたら判断が一致しないというケースも出てくると思うんですけど、4象限を見ることで一つの共通認識を得るツールとして使えていると考えています。
実際、MDが「めっちゃええやん」と受け止めている品番の商品が、実はAI目線では今の売上ペースだと期限を過ぎても余ってしまうから「ベター」なんだよ、だから早期値引きが必要ですね、といった情報共有ができています。
ーーなるほど、そういう使い方もあるんですね。
皆川様 ひと手間はありますけど、時間にしたら10分、15分で終わりますし。全品番の状態をMDたちと共有できる点で言えば、すごく便利に使わせていただいています。

ーーありがとうございます。今後、FULL KAITENをどのように活用していきたいとお考えですか。
木戸様 今、栗原さんとも話を進めている段階ではありますが、店舗における欠品を無くしていきたいと考えています。現在、欠品は少ないとはいえ、お店からしたらもっと無くしてほしいという要望があります。それに対し、私たちは欠品率を全て検証できているわけではないというのが正直なところです。
無駄な出荷を抑えつつ、ブランド全体を網羅した欠品率と売上ランクとの関係を検証できる体制を整えて、そこから具体のアクションにつなげられるよう進めているところです。
栗原 そこの部分は、FULL KAITENの機能として提供できるよう準備を進めていて、これから色々なハードルを越えていくところです。
余談になるんですが、TYPYのお二方は積極的に「FULL KAITENのここをこう改善したい」という要望を寄せてくださるんですよ。そうしたご意見というのは、FULL KAITENの改良や発展のために欠かせないもので、すごく良いご意見をいただいていると毎回感じます。この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
ーー結果的にプロダクトのためになり、他のお客様のお役にも立つので、すごくありがたい話ですね。ご期待に沿えるよう改善を順次実現してまいります。皆さま、本日は誠にありがとうございました。
