ユーザー同士の熱量伝播の場となったイベント「もっと在庫を回すんや!|FULL KAITEN award2025」を開催
2025年10月3日(金)に、FULL KAITENを導入いただくお客様向けのイベント「もっと在庫を回すんや!|FULL KAITEN award2025」を開催いたしました。
1年に1回、「もっと在庫を回すんや!」を体現した企業を表彰する本イベントですが、今回は、お客様から頂いた「活用事例を知りたい!」という声にお応えし、特に大きな成果を創出された2社に成果創出までのリアルをお話いただきました。
さらに、カスタマーサクセス部長矢田からは、成果が出る企業様の共通点を解説。プロダクト責任者田中からは、FULL KAITENがこの先1年間でどのような進化をするかをお話しいたしました。
お客様同士の熱量伝播の場となった本イベント。本記事では、ご参加できなかったみなさまにも当日の様子を感じていただけるように、各講演の内容をご紹介いたします!
今年のFULL KAITEN award2025受賞企業は?!
受賞企業決定にあたっては、以下3つの軸を全て数値化し、合計点を算出しました。
- FULL KAITENの利用がどのくらい定着しているか?
- 業務が楽になっているか?定量成果が出ているか?
- FULL KAITENのプロダクト進化への貢献度
そこから、「社内改革のストーリーがある」「現場オペレーションに落とし込まれている」などの定性情報を加味し、受賞企業を決定しております。その結果、FULL KAITEN award2025は以下の2社に授与されました。
- 株式会社ドーム様
- 株式会社エドウイン様
以下に、2社の担当者さまと当社カスタマーサクセス担当(矢田、永田、内舘)による受賞トークの概要をご紹介します。
【受賞1社目】1回の店間移動で年間利用料を回収!株式会社ドーム様
坪井様:株式会社ドームは、スポーツアパレルやシューズを展開する「UNDER ARMOUR(アンダーアーマー)」の日本における総合代理店として事業を行っています。
私自身は、現在リテール部で直営店の運営に携わっています。プロパー直営店やアウトレットの予算達成に向けた予実管理から在庫配分、消化促進のための施策実施を担当しております。
永田:ドーム様には、2023年10月からFULL KAITENを導入いただいております。今回は、〈店間移動〉*を活用して創出された、下記2点の成果についてお話いただきます。
- 1度の移動でFULL KAITENの年間利用料を回収できるほどの粗利を創出
- 今まで2日ほどかかっていた店間移動リスト作成が1回あたり1時間に短縮
*FULL KAITEN〈店間移動〉:売れる商品を売れる店舗に適量配置するための「使える移動指⽰書」を作成するプロダクト

矢田:導入前は、どのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
坪井様:当社の出荷形態には、自動フォロー(在庫の定数を設定しそれに合わせて前日在庫との差分を自動で出荷する仕組み)とマニュアルフォロー(出荷したい数量を入力)の2種類があります。
この自動フォローの部分で、主に「不明瞭なロジック」「属人化」「リソースの限界」「店舗への負担」という4つの課題を抱えていました。
導入前は、一人の担当者が膨大なデータ量のExcelを経験と感覚で分析し定数設定をしていました。そのため、属人化や残業が常態化していました。
さらに、大型店舗や売上上位店舗の繁忙期には、大量の商品が納品される傾向がありました。これが、現場の感覚や経験に基づいて構築された販売ロジック通りに動けば問題はないのですが、実際には一部の商品が十分に動かず、在庫として残るケースも多々見受けられました。
店舗側では、そうした販売が伸び悩む商品を受け入れ、お客様に届けるための工夫や対応が求められる場面もあり、結果として業務負担が増すことがあります。
その一方で、中・低月商の店舗は、売りたい商品があっても上位店に回ってしまい、納品されないという機会損失が生じていました。
こういった課題感があったため、システム導入を検討していたところ、FULL KAITENと出会ったのです。
矢田:FULL KAITEN導入前に店間移動を実施されたことはありましたか?
坪井様:リソースの問題もあり、ほとんど店間移動はしていませんでした。唯一実施していたのは、店舗のバックヤードが在庫で溢れそうになった際に、どこかへ移動させてほしいと依頼があった場合です。
矢田:初めて店間移動を実施した時、上層部の皆様から担当の永田へ「結果はどうだったか」と直接問い合わせを頂きましたね。実際、社内の反応はいかがでしたか?
坪井様:従来は、色や品番といった特定の制限を設けていましたが、FULL KAITENでは、1つのSKUで10枚のうち5枚だけを移動させる、といった細かな指示が可能になりました。
それにより、初めての移動で大量の移動指示や、移動先も高月商店舗から低月商店舗へといった、前例がないような指示だったため、社内的な関心は非常に高かったのだと思います。
成功の秘訣は、とにかくFULL KAITENを信じ切ること
矢田:永田さんに、成果を出すために工夫した点をお伺いします。他社様とは少し異なる点があるように思いますが、いかがでしょうか。
永田:FULL KAITEN、つまりAIが出した指示をそのまま実行してくださった点が、他社様と大きく違うところだと感じています。これはなかなかできることではありません。多くの場合は、店舗の業務負荷やバックヤードの動線などを考慮し、様々な制約を設けることが多いためです。
しかし、ドーム様ではほとんど制約を設けずに、大量の移動指示を実行してくださいました。FULL KAITENを信じてくださったことが、大きな成果につながったのだと感じています。
矢田:(大量の移動指示は)我々の方から「ちょっと待ってください」と止めるほどでしたが、なぜ、思い切った意思決定ができたのでしょうか。怖くはなかったですか?
坪井様:怖さはありました。しかし、3ヶ月間のトライアル期間であり、その期間に店間移動ができるのは、スケジュール上、多くても2回が限度です。
その中で、中途半端な制約を設けてしまうことで「良いのか悪いのか分からない」という状況に陥るのが一番嫌だと思ったのです。
私自身、トライアル前からFULL KAITENが業務改革や効率化につながると確信していたため、導入したいという思いがありました。また、上層部の理解を得るためにも、なんとしてでも成果を出す必要がありました。
その意味でも、あえて何も制限をかけず、トライアル期間だからこそ思い切って実行しました。もちろん、社内調整は行った上での決断です。
矢田:FULL KAITEN〈店間移動〉をご存知ない方のために補足しますが、AIが各店舗×各SKUの販売状況を見て、余剰在庫を不足している店舗に移動させる指示を出します。
しかし、AIは機械的に指示を出すため、ある店舗に100点や2,000点といった膨大な在庫を移動させようとすることがあり得ます。そのため、通常は受け入れ可能な数量の上限を設けたり、在庫を抜かれる店舗に対して制約を設けたりするのですが、ドーム様は一切行わなかったのです。
また、成果を創出できた秘訣として私が思うのは、プロジェクト開始前から上層部の皆様を含めてFULL KAITENに対する理解が非常に進んでいた点です。当社主催のセミナーをすべて見ており、「もう大丈夫です。よく分かっているので、信頼してやります」といった状態でした。
プロジェクトを開始する前から、社内全体でそのような共通認識ができていたのは、どういった秘訣があったのでしょうか。
坪井様:一つは、別の部署で既に導入を検討していたため、事前にFULL KAITENについての情報共有がされていました。
また、実は当社は2017年に一度FULL KAITENをトライアル導入していました。当時は今の機能とは少し違うものでしたが、その時に得たインプットがあったのです。
さらに、冒頭でお話しした通り、業務がひっ迫しており、なんとしてでもシステムを導入して業務を効率化しなければならないという切迫感があったことも要因だったと思います。
継続的に活用には「FULL KAITENで利益向上できる」という納得感を
矢田:店間移動は1回で終わるプロジェクトではありません。業務として定着し、継続的に実行されることが重要です。この点に関して、何か工夫されたことはありますか。
坪井様:まず、本部側では、トライアルで良い結果が出たため、継続的に使い続けようという意識を徹底させました。
これは私も経験があるのですが、この手の業務改革システムは、導入して満足してしまい、現場に定着しないケースが圧倒的に多いからです。そのため、FULL KAITENを使い続けることで利益向上できるという意識を、チーム全体で高めました。
また、店舗に対しては、丁寧な説明を心掛けました。これまでは店間移動をほとんど行っていなかったため、「そもそもFULL KAITENとは何か」「どのようなロジックで移動指示が出されるのか」といった点を、まずはしっかりと店舗に落とし込みました。
それでも、店舗からは「なぜこの商品を抜かなければいけないのか」「なぜこの商品が送られてくるのか」といった疑問が出てきました。そこで、販売データや在庫データ、さらには送付先の店舗の売上状況といった実データを見せながら、「ここに置くよりも、移動させて全体として売上を上げる方が良いですよね」と丁寧に説明し、納得感を醸成していきました。
さらに、店舗に届いた商品がバックヤードに埋もれないよう、「AIが売れると予測した商品だから、すぐに店頭に出そう」という意識付けも行いました。
矢田:特にドーム様は、現場が非常に忙しいので、なんでもやっていただけるわけではありません。
我々としては、成果を可視化して、その取り組みを支えることが重要だと考えているのですが、永田さんはそこをどう支えていましたか?
永田:おっしゃる通り、これほど業務負荷が高い中で、「移動しても売れていなかったら意味がないのではないか」という声が上がってくるのは当然です。
そのため、店間移動後に、実際にその店舗で商品が売れていたかどうかを検証し、「これならちゃんと売れる」という納得感を店舗に持ってもらうことが重要です。そして、FULL KAITENの強みは、この効果検証が可視化できる点にあると思います。
矢田:最後に、今後FULL KAITENを活用してどのようなことに取り組みたいですか?
坪井様:現在は、倉庫出荷の最適化にチャレンジしています。
例えば、1週間に1点しか売れない商品をバックヤードに置いておくよりも、売れ筋商品を1枚でも多く置いておいた方が、機会損失を防ぐことができ、売上増にも繋がると思っています。このような取り組みをFULL KAITEN上で実現できるように進めている状況です。
もう一つ、我々は業務の定着や成果を出すことができましたが、特に矢田さん、永田さんのおかげだと感じています。今後は、我々自身で工夫することももちろんですが、フルカイテンという企業、そして人材の部分も活用させていただき、さらにプロジェクトを進めていきたいと考えています。
矢田:坪井さんは、本当に無茶を言うんですよ。FULL KAITENの画面ができたタイミングで、壮大なプレゼン資料を自分で作られていました。現在の業務課題を分析し、FULL KAITENでできる、できないを明確にした上で、「できない部分も改善してほしいのですが、できますか」と問われたのです。
坪井様は成果を出すことに貪欲で、目の前のお客様を満足させるために、うまくFULL KAITENを活用していただいていると感じています。この部分はぜひ皆さんに持ち帰っていただきたい点です。
【受賞2社目】最適な売価変更で粗利と消化率が向上!株式会社エドウイン様
田中様:株式会社エドウインでは、現在アウトレット店舗を26店舗運営しており、私はその責任者を務めています。具体的には、MDやSV、店長たちの管理、そして労務管理など、多岐にわたる業務を行っています。
内舘:エドウイン様では、約2年前に店間移動のプロジェクトからスタートし、その後、本日お話いただく売価変更で大きな成果を上げ、直近では倉庫出荷のプロダクトもご活用いただいております。
今回は、FULL KAITEN〈売価変更〉*を活用し、半袖カテゴリーを対象に実施した値引き施策で、粗利率前年2.1%UP、粗利額前年比133%UP、消化率前年3.2%UPという成果を創出した事例をお話しいただきます。
*FULL KAITEN〈売価変更〉:「売上粗利最大化」「消化促進」などの目的に応じた最適なOFF率を算出。値下げした場合の売粗在の着地見込みまで確認できるプロダクト

矢田:導入前は、どのような課題を抱えていらっしゃいましたか?
田中様:課題は主に3つありました。
1つ目は、粗利確保が後手に回ってしまっている点です。
本来、売上のピーク時に適正価格にすべきなのに、実績がないなどの理由で値下げができない状況でした。その結果、間違ったタイミングで値下げして粗利を毀損しているという懸念を抱えていました。
また、手作業で作業していたため、本来なら必要のない値下げをしているのではないか、逆に値下げが必要なのにできていない商品もあるのではないか、と感じていました。
2点目は、業務負荷が非常に大きいという点。
3点目は、経験と勘に頼った意思決定により業務が属人化しているという点です。これが一番大きな課題かもしれません。属人化に頼っていると、担当者が辞めた場合に全てが振り出しに戻ってしまいます。どうすればこれを改善できるのか、日々悩んでいました。
とにかく実行!でプロジェクトを推進
矢田:成果を創出するために、どのようにFULL KAITEN〈売価変更〉を活用されましたか?
田中様:FULL KAITENは、大きく2つの部分で活用しています。
1つ目は、在庫リスクの予知です。FULL KAITENは「このままでは間違いなく売れ残る」という品番を可視化するため、人の目では見逃しがちな、売れ行きが鈍化し始めた段階の在庫も確認できるようになりました。
2つ目は、最適な値下げ率の提案です。単にリストアップするだけでなく、その品番にとって最も効果的で、粗利を最大化できる値下げ率とタイミングをデータに基づいて推奨してくれます。
矢田:エドウイン様は、導入前から手動で値下げのシミュレーションをしたり、勘に頼りつつも、過去の実績から価格弾力性のデータを検証したりされていましたよね。
田中:導入前は自分たちの経験に基づいた弾力性で予測を立てていましたが、人による分析だったため、正確性は不明でした。
しかし、FULL KAITENの活用によって、在庫が滞留する前に手を打てる機会が格段に増えたと感じています。また、必要以上の値下げを避けながら、粗利を最大化しつつ在庫を消化することも容易になりました。
一つの事例として、MDが自信を持って企画したTシャツが、AIからGW後に値下げをするよう提案がありました。
このTシャツは追加のフォロー出荷も予定されていたのですが、10%オフにしたところ、8月末には当社の目標である消化率80%を達成しました。追加フォローの予定も考慮した上での提案だったので、もし10%オフにしていなければ、おそらく消化率の目標は達成できなかったでしょう。
MDは「今売れていなくても絶対に売れる」と自信を持っていたでしょうし、これまではそういった個人の勘に頼る属人化された意思決定が行われていたと思います。しかし、今回はAIの提案に従ったことで、在庫をスムーズに消化できたという分かりやすい成果が出ました。
矢田:坪井様と同様に、田中様も「AIを信じる」と簡単に言われましたが、これは難しいことだと思います。特に値下げの意思決定は重要ですからね。なぜ、そう決断されたのでしょうか?
田中様:中途半端にやるのではなく、やるならやらないと意味がない。つまり、人の判断を加えてはいけないと考えました。
矢田:田中様はチームに対して、定例MTGで「やるならフルベットしないと意味がないから、いいからやれ」とよく言われています。内舘さんも、田中様のこのスタンスには、プロジェクト推進の面で感じる部分があるのではないでしょうか。
内舘:現在、FULL KAITEN〈売価変更〉とは別にFULL KAITEN〈倉庫出荷〉のプロジェクトを進めているのですが、現状、エドウィン様では、店舗が倉庫から商品をいくつでも取り寄せられるという裁量権が店舗側にあります。
そこをFULL KAITENで変えていこうという中で、店舗からは「予測ではこうだが、売り場的にはもっと欲しい」という、まさに「バトル」が起こる場面がありました。
そういった状況でも、田中様は「まずやってみないと」としっかり対応されています。プロジェクトを遂行する上で、FULL KAITENの提案が中々徹底されないということがよくありますが、田中様はそれを徹底されているところが素晴らしいと思います。
AIの癖を学習し、人×AIで更なる成果創出へ
田中様:業務定着については、一人の担当者が率先してMDや数値管理を踏まえたやり方をチーム内で指導してくれました。
社内推進については、現場の腹落ちが絶対に必要です。そのため、個人的な経験や勘をいったん横に置き、AIからの指示の正しさを組織全体で検証することを掲げました。
その結果、店舗も含めて、AIが「おおむね正しい」という共通認識ができました。「絶対正しい」とは言えませんが、おおむね正しいと皆が理解したのです。
矢田:最後の「AIはおおむね正しい」の「おおむね」が非常に重要なポイントですね。現在の運用では、AIを全て受け入れるわけではなく、人の解釈も入れていますよね。
田中様:そうです。ただ、全て信じてうまく活用できた時期もありました。アウトレットのため、イレギュラーな状況が頻繁にあるのが普通なのですが、当時はそれがほとんどなかったので、全て信じてもうまくいったのです。
矢田:ここで重要なのは、AIの提案にフルベットしたことで、チームとして「AIの癖を学習した」ということです。こういうときにAIが出す示唆にそのまま従うとどうなるか、という解釈が生まれたので、それを前提として人の判断を少し加えるという、いわば両輪での運用になっているわけですね。
田中様:そうですね。やはり、イレギュラーなことに対してはAIが判断できないということがよく分かったので、人の目を加えるようになりました。矢田さんが常々おっしゃる「魔法の杖ではない」ということを念頭に置いて運用しています。
矢田:今後は、どのようにFULL KAITENを活用していきたいですか?
田中様:FULL KAITENについては、現在MDや数値管理の担当者が使っていますが、今後はSVにも展開したいと考えています。できるかどうかは分かりませんが、まずSVに使い方をレクチャーして、店舗での値下げや利益管理を任せていければと思っています。
矢田:最後に皆さまへ一言メッセージをお願いします。
田中様:フルカイテンの回し者だと思われるかもしれませんが、正直に言って、導入して本当に良かったと思っています。
元々実施していた手作業でのシミュレーションは、一人で2日ほどかかっていました。また、MDのアイテム選定も、以前は月曜日の丸1日、場合によっては火曜日までかかっていたのが、今は月曜日は他の作業をして、火曜日の午前中の1〜2時間で終わるようになりました。
数値管理の担当者もシミュレーションに2日かける必要がなくなり、手が空いたので、私の別の作業を手伝ってもらうことができています。
カスタマーサクセス部長 矢田より|成果が出る企業の共通点
矢田:それでは、最後に成果が出る企業の4つの共通点についてお話ししたいと思います。
これは、FULL KAITENのプロジェクトに限らず、成果を出す仕事という点で共通するものだと思います。本日ご登壇いただいた坪井様や田中様のお話にも通じる内容です。

1.FULL KAITEN「で」成果を出す。
1つ目は、FULL KAITEN「で」成果を出す。対になる言葉はFULL KAITEN「が」成果を出す。です。
当社はAIといった高度なソリューションを提供しているため、「まるで魔法の杖を使っている」かのような錯覚に陥るケースがあります。つまり、FULL KAITEN「が」成果を出してくれる。と思いがちなのです。
しかし、成果を出す企業様は、FULL KAITENをいかに使いこなすか。FULL KAITENの強みと弱みも把握した上で、どのように業務に組み込むか。というスタンスです。先ほど田中様のお話にもあった、AIの癖を把握し業務フローにのせることも、その一つです。成果を出すのはFULL KAITENではありません。それを使う企業様、利用者のみなさんです。
2.スクラム志向。一緒に創り上げる。
2つ目は、スクラム志向です。「一緒に作り上げる」というスタンスを意味します。
私たちは、「FULL KAITENを使ってほしい」という目的で仕事をしているわけではありません。我々は「お客様の課題解決」のために仕事をしています。課題解決に向けて、伴走したいと考えています。FULL KAITENを活用することは課題解決の一手段にすぎません。
坪井様は「課題を解決したい。だから、これをやってほしい、あれもやってほしい」という姿勢で、サービスの枠組みを超えて提案、要望をしてくださいます。田中様も同様に、「この機能がないと困る」と、自らの業務に合わせて具体的な要望を伝えてくださいます。
成果を出す企業様は、既存サービスの枠を超えて、我々をうまく巻き込んでくれます。契約サービスを使うことが目的ではなく、課題解決することが目的になっています。課題解決のためにプロジェクトを共に創り上げていくというスタンスが重要だと考えます。
3.経営(商売)とは実行。実行してなんぼ。
3つ目は、実行です。商売は「実行」がすべてだと考えています。
特に不確実性の高い現代においては、いくら精密な計画を立案しても、仕組みを構築しても実際にやってみなければ何も分かりません。計画や仮説立案ばかりに時間を投資し、なかなか実行に移せないケースも多く見受けられます。
実行して早く失敗をする。その経験を次に活かすことが重要です。
成果を出す企業様は、既存のやり方に捉われず、「まず、やってみる」「うまくいかなかったら、すぐに軌道修正する」という考え方でプロジェクトに臨んでいます。田中様の言葉を借りれば「いいからやれ」の精神が大事だと思います。
4.一人の熱狂、想いが、みんなを動かす。
最後は熱意です。本日ご登壇いただいたお二方から、尋常ではない熱量を感じませんでしたか? このお二方はWebミーティングでも、画面から飛び出してくるのではないかと思うほどの勢いで話されます。どんな分野でもそうですが、個人の熱意や想いが仲間を集めます。
例えば、施策を実行するのは最終的に店舗の方々です。売価変更であれば、値札の貼り替え作業が発生することもありますし、変更の理由を説明する必要も出てきます。
この時、誰に言われるかによって、スタッフの行動は大きく変わります。本当に熱意を持って「自分はこう変えたいんだ」という想いがあれば、周囲を巻き込むことができるでしょう。一方で、誰かに言われたから(会社のプロジェクトとして、任命されたから)指示を出す。そこに想いのない人間は見透かされます。人はついてきません。
プロジェクトを推進する中で、この熱意や想いがすべての中心にあるのだと、私は強く感じます。私も、プロジェクトをご一緒していて「この人のためには何とかしてあげたい」と思う方がいらっしゃいます。熱や想いを感じる人には、理不尽な要求があっても悪い気持ちにはなりません。皆さんは熱い気持ち、想いでプロジェクトを推進できていますか?
この4つの要素は、本日ご登壇いただいたお二方にも共通して見られるものです。本日ご参加いただいている多くの企業様の中にも、素晴らしい方がたくさんいらっしゃいます。私自身も日々、皆様から多くを学ばせていただいております。
ここからは、私たち(フルカイテン)が何のために仕事をしているのか?についてもお伝えさせて下さい。
我々の原動力は、お客様からの感謝の言葉や喜びの声です。ミーティングで寄せられる、お客様の笑顔や現場の方々からの感謝の言葉も、私たちの大きな力になります。
我々は、シンプルに「目の前のお客様を喜んでもらうこと」に真剣に取り組んでいます。その先に、自ずと業績の改善や成果が生まれると信じています。
しかし、本日お伝えしたいのは、その先です。
当社のミッションは「世界の大量廃棄問題を解決する」これを実現するために「必要最低限の在庫で粗利最大化を実現する」プロダクト開発やサービス設計に取り組んでいます。
この場にいる社員はこのミッションに共感して集まった仲間です。私も同じです。

多くの企業様が「より少ない在庫で利益を確保」できるようになれば、結果として、より良い未来、より良い世界、より良い地球を実現できると信じています。この想いだけは、ぜひご理解いただきたいと考えております。
最後に、本日ここにお集まりの皆様は、同志だと考えています。社会や世界を変えるという目標は、当社だけの力で実現できるものではありません。
もちろん、導入していただいたサービスをうまく活用し、会社の業績を上げることは重要です。
しかし、その先にある、社会や業界を変えるということを、私たちは本気で志しています。みなさんにも、業績改善のその先にある目標を一緒に志してほしい。私は皆様と一緒に、業界、社会、そして常識を変えたいと強く思っています。
この熱い想いを胸に、本日の場を有効活用していただき、日々の業務に取り組んでいただけたら幸いです。以上で私からの話を終了とさせていただきます。ありがとうございました。
世界の大量廃棄問題の解決に向けて、新しい領域へチャレンジ
後半は、当社取締役CPOの田中から、FULL KAITENがもっと活用しやすくなるようなアップデートや今後のプロダクト構想についてお話いたしました。非公開情報を多く含むため、公開できる範囲でお伝えさせて頂きます。
田中:当社では現在、今年8月にリリースした〈在庫ドッグ〉をはじめ、〈店間移動〉や〈売価変更〉〈倉庫出荷〉など、多様なプロダクトを揃えています。
プロダクトを増やした結果、昨年と比べてご利用いただく企業様も業界も大幅に増えました。いつもご利用いただき、誠にありがとうございます。

FULL KAITENのコンセプトは「粗利経営」です。
粗利経営とは、少ない在庫で、いかに効率よく利益を稼ぐかという考え方です。これに異論がある方は少ないでしょう。小売経営において、利益を出すためには在庫効率が重要であるという認識は、業界全体で共有されていると確信しています。
そのため、「いかに粗利を残すか」「いかに在庫を効率化するか」ということが、FULL KAITENの最上位概念となっています。
この概念を測る上で、私たちが最も重要視している指標が「GMROI」です。
GMROIは、在庫効率(=在庫1円あたりで、いくらの粗利を生み出しているか)を示す指標です。例えば、GMROIが1であれば、1円の在庫から1円の粗利を生み出していることになります。このGMROIを見ることで、在庫効率を客観的に把握することができるのです。
(中略)
最後に、改めてお伝えしたいことがあります。
現時点でFULL KAITENは、100点満点のプロダクトだとは考えていません。皆様に磨いていただき、一緒に育てていきたいと考えています。そのためには、皆様からのご要望が不可欠です。
来年、またこのような機会に、これだけ進化しましたとご報告できるよう、引き続き皆様と一緒にFULL KAITENを育てていきたいと考えています。本日はご清聴いただきありがとうございました。
参加者からの声
最後に、ご参加頂いた方からのご感想も一部抜粋してご紹介いたします。
受賞者の熱量。フルカイテンを最大限活用しようとする行動力。フルカイテン様の、取引先企業と一緒に問題解決に取り組む姿勢がすてきだと思いました
今後のプロダクト計画にワクワクしました
他社様との交流会。ざっくばらんに各社の実態・課題感を共有できる機会は貴重で非常に有意義なコミュニケーションが取れました
フルカイテンはツールの一つであり、最大限有効活用するためにリクエストをどんどん行っていただきたい、、という点に関して今後改めて遠慮なく取り組んでいきたいと思います
今回のFULL KAITENaward2025は、過去最多である50名にご参加いただきました。ご参加いただいた皆様、ご足労いただき誠にありがとうございました。
ドーム様、エドウイン様のお話や他社様との交流を通し、「FULL KAITENをフル活用していきます!」「うちももっと頑張らないといけないですね!」というお言葉をたくさん頂戴いたしました。
引き続き、皆様が今ある在庫で効率よく利益を稼げるよう、社員一丸となってご支援して参ります。引き続き、FULL KAITENを何卒よろしくお願いいたします!
