いくらプロパー消化率を計測しても粗利は改善しない理由
コスト高の今、アパレル企業はもう値引きには頼れない
原材料、物流費、人件費などのコスト高の今、アパレル業界では値引きに頼らず粗利を伸ばしていくことが求められます。2021年12月17日付けの日本経済新聞でファーストリテーリングCFO岡崎氏がコスト高は長期化するとの認識を示し、一部製品の値上げを視野に入れている旨のインタビューが掲載されアパレル業界で話題となりました。
コストが上がっている分を価格に転嫁したいものの、供給が需要を上回る昨今の市場では商品価格を値上げすると消費者が離れていきます。そんな中でも利益を上げていくには、値引き販売を抑制するしかありません。
商品がどれぐらい定価で売れたのかを表す「プロパー消化率」はアパレル業界では定番の指標です。コスト高の今、粗利改善の重要KPIとして認識されている企業様も多いかと思います。
しかし実はプロパー消化率をKPIとして計測してもプロパー消化率を改善することができません。
先行指標と遅行指標
粗利を上げようとするとき、よく見受けられる間違いが「プロパー消化率を上げよう」という命題を掲げ、プロパー消化率何パーセントという“結果”をエクセルで一生懸命追いかけてしまうことです。
数学の分析ではプロパー消化率のような指標を「遅行指標」といい、これは結果を見るために用いる指標で何かを改善する時に用いる指標としては不適です。同じく、消化率、交叉比率、回転率のような指標も遅行指標かつ、値引きをすれば恣意的に改善できるため在庫の分析には向かないと弊社では考えています。
施策を打つためには「先行指標」を見ていく必要があります。
例えば「50点のテストの結果を改善しよう」という命題を掲げても、テストの結果はすでに出てしまっている、つまり「遅行指標」なので結果を変えることはできません。テストの結果を改善するためにはその手前である勉強時間などの先行指標を分析して行動を変えていく必要があります。
つまりこのままの勉強時間だとテストの結果が何点ぐらいになりそうかだから、もっと勉強時間を増やそうといった具体的なアクションが求められます。(ちなみにテストの場合、一夜漬けでは点数は大きく上がりません)
プロパー消化率の先行指標
プロパー消化率の先行指標について考えてみましょう。先行指標は結果が出る前の指標です。つまり商品がプロパー販売期間内に定価で消化できるかを早めに検知していくことが必要です。
ここでの先行指標は商品がいつまでに売り切れるかを予測する「完売予測日」になります。例えば、プロパー販売期限が「2022/12/31」だった場合、「2022/11/1」時点で期限までに売り切れるかどうかを予見できていれば、早めに手を打つことができます。
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全商品の完売予測日を人力で予測するのは困難
しかし多くのアパレル企業は、数万・数十万ものSKUを取り扱っているためデータ集計や帳票作成の業務負荷が高く、ごく一部の商品しか分析できずプロパー消化期限を過ぎそうな商品を見つけることが難しくなっています。
中にはエクセルのデータが重くPCが固まるという悩みを抱えている担当者の方もいらっしゃるかと思います。仮にプロパー販売期限を過ぎそうな商品を見つけられたとしても、値引きの基準が曖昧なため、属人的な判断に委ねられているケースも少なくありません。
こういった背景があるため、ほとんどの企業が一部の売れ筋商品に頼って売上や粗利を作っており、大半の商品は値下げ対象になるため、会社全体のプロパー消化率が上がらず、粗利を改善できないジレンマに陥っています。
私たちが提供するFULL KAITENは全SKUを対象に自動で完売予測日を予測することができます。
さらにその商品がどれぐらい売上に貢献するかを表す「売上貢献度」も予測することができるので販促の優先度もシステマティックに判断することができます。
売上貢献度も加味することで値引きによって在庫消化を促しているにすぎない商品を売れ筋商品と判断するなどのミスリードも防ぐことができます。
販促を強化する商品選定の明確な基準を設けることができるため、誰がやっても同じ成果を創出し、属人化を解消することができます。
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