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オンラインセミナー【PL脳をBS脳へ】在庫問題を解決する考え方と具体的手法を徹底解説 を開催しました

※開催概要はこちら

フルカイテン株式会社は2020年7月14日、オンラインセミナー「PL脳をBS脳へ~在庫問題を解決する考え方と具体的手法を徹底解説」を開催しました。新型コロナウイルス危機で小売における需要が短期間に“蒸発”するなか、代表の瀬川直寛が在庫政策を含む経営そのものをBS(貸借対照表)視点に切り替えることが、ウィズコロナから「2030年問題」を迎える時代に必須であることを説明しました。セミナーには50名の方にご参加いただきました。

瀬川による講演の要約をご紹介します。

コロナ危機は「2030年問題」の疑似体験

小売業者の皆さんは、コロナ危機を経て次のような悩みを抱えているのではないでしょうか。

  • 2020年春夏物の在庫が滞留
  • 2020年秋冬の仕入れ予算が激減
  • 消費マインドの冷え込み

これからはウィズコロナともいうべき時期ですが、コロナが落ち着いたとしても個人消費は元通りにはなりません。

それは、10年先に「2030年問題」が控えているからです。私はコロナ危機は2030年問題の疑似体験だと考えています。

日本ではこれから10年間のうちに、九州に住んでいるのと同じくらいの人口が消滅します。人類史上初めてのスピードで人口が減っていくのです。

でも本当のターニングポイントは、わずか4年後の2024年にやってきます。第1次ベビーブーム世代の人たちが全員75歳以上の後期高齢者となり、社会保障制度維持のための増税や介護支出増大といった問題が顕在化します。

要は介護負担がもっと深刻になるため、可処分所得が減るのです。すると需要や消費の消失が2024年以降に加速していきます。

これは、まさにコロナ危機で体験した事態と同じなんですね。これからの小売業の浮沈は、2024年までの4年間でどう変われるのかにかかっているでしょう。

「BS脳」で隠れた原価と棚卸資産に着目

では、どう変わっていくべきなのでしょうか。一つ言えるのは、従来の在庫過多を前提にしたビジネスモデルは、もはや成立しないということです。

在庫問題は、「売上を逸するよりも在庫を持つ方が良い」と考えるために在庫過多が常態化しているのが原因です。しかし、在庫過多は経営破綻を招くということがコロナ危機で分かりました。

ですので、まずは皆さんに脳、つまり考え方を転換していただきたいと思います。PL脳からBS脳へ、数字の見方を切り替えるということです。

従来は原価は低く抑えようとし、消化率を重視していたと思います。これを「原価は高くても良い」「消化率は重視しない」へ転換するということです。

原価を抑えるには、まとまった量の発注が必須です。例えば(上図の例)、原価率を5割に抑えるために1個100円で100個発注し、売価200円で50個は売れたものの50個売れ残った場合について考えてみます。

PLには売れた50個分の原価しか載ってきません。売れ残った50個にかかった原価5000円はBSに棚卸資産として記載されます。つまり在庫です。

利益は出ていますが、仕入れにかかった代金(100個@100円→1万円)と売上(50個@200円→1万円)は同じなので、現金は増えません。

これが繰り返されて棚卸資産が蓄積されていくと、コロナ危機のような急激に需要が消失する局面では資金繰りを悪化させます。

さらに、棚卸資産は「ずっと5000円の価値がある」とはみなされず、評価損が付きものです。売れ残って時間が経過することで2000円の価値しかないと判断されれば、評価損3000円を認識しないといけません。

つまり、見かけの利益を出しても、棚卸資産がどんどん増えていったら、結局は利益は減っていくのです。大事なのは、原価よりも棚卸資産と利益のバランスなのです。

消化率だけを見ていると本質を見落とす

次に消化率です。在庫消化率は経営管理に用いられることが多いKPIですが、私は消化率は無視していいと思っています。むしろ完売予想日で考えるべきです。

何故かというと、消化率が同じでも、完売予想日が異なると商品の価値は違うからです。

上図の中の1つ目の例を見てください。SKU_AとSKU_Bはある時点での消化率は同じですが、完売予想日(売り切るまでに要する期間)には5カ月もの差があります。

棚卸資産の「価値」としてはAの方が優れているのは明らかですが、これは消化率だけを追っていては分からないことです。

さらに上図の2つ目の例のように、値下げをすれば消化を促すことができますから、消化率は「いつまでに売り切れるか」「商品ごとの収支は成り立っているか」といった在庫の価値を正しく計測できません。

消化率よりも棚卸資産と利益とのバランスが重要なことがお分かりいただけたかと思います。

原価低減は終わりのない消耗戦です。資本力が大きい者が勝つ消耗戦ではなく、原価を上げることでクリエイティブの戦いへ移りましょう。これからの時代は個性を出した企業が生き残ると思います。

サプライチェーンにも利点あり

ただ、「原価が高いと儲からないのでは?」という質問がよく寄せられます。しかし、少量発注を繰り返し、在庫回転数を上げれば利益は出るんです。

また、「在庫当たりの運賃負担が増えてしまうのでは」という疑問もあると思いますが、運送費の増加と棚卸資産の評価損のどちらが大きいか考えてみましょう。運送費の影響の方がずっと小さいのは明らかですよね。

「少量発注は工場が受け付けてくれないのではないか」という指摘もあると思います。ですが、交渉の余地はあるはずです。工場もいつ来るか分からない大量発注に備えて原材料を多く備蓄しています。彼らからすればコンスタントに少量発注が来る方が資金繰りがラクになるのです。

とはいえ、交渉しても受け入れてもらえない場合は、少量発注は諦めましょう。棚卸資産のパフォーマンスを最大化させる他の方法はありますので、そちらに考えを切り替えましょう。

棚卸資産の「質」を可視化する

従来は大量生産で売れ残らないように消化率をチェックしていたと思います。そして、需要を予測して少しでも売れ残りを減らそうと試みてきたのではないでしょうか。

しかし、AIによる需要予測には限界があります。抜群の精度で予測するのはほぼ不可能なのです。正確な予測は前提条件が変わらないことが必須なのに、実際は条件は大きく揺れ動きます。条件に入っていない色々な変化が実際には起きるからです。

ですので、予測は外れることを前提に、変化に強い仕組みをつくる必要があります。そのためには以下の2つを実行します。

  1. 棚卸資産の「質」を可視化する
  2. 質に合わせた対策を打つ

棚卸資産の質が可視化されていれば、状況の変化が起きても在庫への影響に適時に気付くことができます。さらに、予測が外れてもタイムリーかつ柔軟に対策を打つことができるようになります。

これを弊社フルカイテンでは在庫実行管理(IEM = Inventory Execution Management)と呼んでいます。

IEMでは「棚卸資産の質」を3つのポイントでもって可視化します。

  • 「今ある在庫」の中から、まだまだ売れる隠れた実力商品を見つける
  • 「今ある在庫」の中から、客単価向上に貢献する実力商品を見つける
  • 発注業務の負荷を下げることで発注頻度を高め、1回の発注量を減らす

※参考:在庫実行管理(IEM)

このIEMは、理屈だけで生まれたわけではありません。私がかつてEC事業を経営していた頃、在庫過多による3度の倒産危機を回避する過程で実践してきたことです。

※参考:開発ストーリー

倒産危機の前は、PLで見かけの利益が出ていても、BSの棚卸資産(在庫)が多すぎました。それで2カ月後の給料も払えないような状態に陥りました。

一方で、大学での研究テーマから、需要予測は変化に弱いことを知っていたため、環境変化に強い小売経営のモデルを導き出せたと思っています。

そうした紆余曲折を経て棚卸資産の質を可視化する方法を見つけたのです。これが全てだと思っています。

2020年秋冬商戦から始めよう

ウィズコロナはピンチではありません。ビジネスを変えていくタイミングにしてほしいと思います。変わる勇気をもってほしいのです。

棚卸資産を可視化すれば、案外「在庫は宝の山だな」と気付けるはずです。

コロナ危機を経験した現在、どこかで仕入れを抑制して2020年春夏ものの在庫を減らさないといけませんが、2020年秋冬商戦は良いタイミングではないかと思います。

消費の冷え込みが続いていますが、総需要の減退はこれから2030年に向けてもっと続きます。たくさん売るのではなく、原価が上がっても良い商品をつくって客単価を上げる。そういう戦いをウィズコロナ下でやり始められれば、ピンチをチャンスに変えられると思っています。

フルカイテン株式会社は2020年7月29日(水)、『2030年アパレルの未来 ‐日本企業が半分になる日‐』著者で株式会社ローランド・ベルガーのパートナー、福田稔氏と弊社代表・瀬川による特別対談を無料オンラインセミナーとして実施します。両者が対談の中で2030年に向けての「アパレル業界のビジネスモデル変革」についてLiveで提言をまとめ、発表します。

ぜひご参加ください。
→申し込みはこちら

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