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在庫回転率が前年比1.5倍超へ! 的確な売価変更でスピード消化と粗利増加を両立したOPSの勝ちパターン

株式会社ゲオクリア

レディスアパレル/メンズアパレル

小売
実店舗

メーカーや小売店などから販売時期を逃した商品や余剰品を仕入れ、低価格で販売するオフプライスストア。この業界をリードするLuck Rack(ラックラック)を運営会社するのが株式会社ゲオクリア様です。FULL KAITENの活用により、大きな負荷(人的コスト)がかかっていた「在庫分析」を自動化した結果、きちんと粗利益を取りつつ在庫の消化スピードを上げる仕組みが定着してきました。在庫回転率はFULL KAITEN導入から半年で1.3倍に上がり、通年では1.5倍超になる見込みです。ローコストオペレーションで在庫を効率よく売上・利益に変える業務フロー改善を牽引する株式会社ゲオホールディングスIT企画部の李基丞様にお話を伺いました。

※写真中央が李様。左はフルカイテンCS藤本、右は同・内舘
※本稿に含まれる情報は2022年9月末時点のものです。

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1. 20万超のSKUを分析するには自動化ツールが必須

株式会社ゲオクリアは2018年(平成30年)8月、株式会社ゲオホールディングス傘下で設立し、オフプライスストア事業(Luck Rack)を運営している。オフプライスストアはアパレルをはじめとするメーカー等から余剰在庫や季節外商品を仕入れ、メーカー希望小売価格より低価格で販売する形態。1つの店舗に様々なブランドのアイテムが並ぶ点でアウトレットと異なる。

――FULL KAITENを導入する前はどのような課題を抱えていましたか

李 基本的にLuck Rackは品番単位ではなくSKU単位で在庫を管理しています。なおかつオフプライスストアという業態なので仕入れ先が多く、取り扱うSKU数は20万以上に上ります。一方で、人の手で在庫商品を分析しようとすると、1週間で1.5万SKUをさばくことができれば「よくやった」というレベルでした。それでも総SKUの1割にも満たず、手動での分析に限界を感じていました。

効率的な在庫消化のためには的確な在庫分析が必要不可欠です。そこで、在庫分析をしてくれるITツールを探すことになりました。

――FULL KAITENの他にも複数のツールを調べたのですか

 はい、調べてはみたのですが、良いものはありませんでした。ツールがある程度までまとめたデータを人の目で見て分析するというものはありましたが、FULL KAITENのように分析まで完全に自動化してくれるツールは他にありませんでした。

――その点は、他のお客様もよく仰います

 やはり、完全に自動化されることで業務負荷が下がり、その分時間が得られます。FULL KAITENは画面の視認性が良く、ボタンをワンクリックするだけで見たい情報が見られるところが良いですね。想定よりも安価だった価格面も大きく響きました。

また、決まったフォーマットでデータを提供さえすれば、翌日には分析後のアウトプットデータが得られる点も秀逸ですよ。

――FULL KAITENを使って、どのように課題とビジネスダメージを解決できると思いましたか

李 FULL KAITENは実績データを基にSKU単位で全在庫を分析した後、四象限のアウトプットをしてくれますよね(下図)。これをベースにして販売戦略を立てるフローを確立できると考えました。その結果、売上・粗利を最適化できると想定したのです。

FULL KAITENは全ての在庫の「現在地」を4つに分類する

――導入に際して苦労したことや別の課題はありましたか

李 まず、誰がFULL KAITENを使って在庫を分析し、誰が販売戦略を立てるのかという点が浮上しました。立てた戦略を起点として店舗での作業まで、どういう流れでFULL KAITENの分析結果を実際の業務に落とし込んでいくかという仕組み化の問題です。

そのためには、FULL KAITENを中心に社内の業務フローをガラッと変える必要がありました。本部にいる私は「やれるのでは?」と思ったのですが、店舗では作業負荷が上がることになるので、想定外の反応がありました。

本部側は業務効率が上がるのでFULL KAITENに好意的な意見ばかりでした。でも、店舗側は違います。今までは手動分析に基づいて1.5万SKUの売価変更をすれば良かったのに、売変をかける対象となるSKUが大きく増えたので、店舗の負担が重くなりました。

今は「作業が増えた分だけ売上が増えるから報われる」という考え方へ思考のベクトルを合わせている途上です。現状はただただ「作業」としてしか見ることができておらず、細やかな売変という作業が売上につながり、評価にもつながるというところまで浸透していません。この辺りのベクトルを合わせるのがこれからの課題ですね。

FULL KAITEN導入の手応えについて語る李様

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2.SKUごとに最適な売価変更で粗利がっちり確保

ゲオクリアはFULL KAITENの活用により、在庫回転率が半年で1.3倍に向上した。無駄な値引きを抑制しながら消化スピードを上げることができたため、売上とともに粗利益も伸長した。その結果、わずか数カ月における粗利益増加分によってFULL KAITENに対する年間投資額を回収している。

――FULL KAITENが稼働して7カ月余が経ちました。どのような成果が出ていますか

 まず、オフプライスストアはお客様が店内を自由に歩き回って気に入る商品を探すセルフ事業なので、ローコストオペレーションで効率よく粗利を取っていくことが重要になります。しかし、これまでは商品を売り場に投入して売れるのを待つという動きしかありませんでした。

すると、売れ残れば翌年へキャリーし、新たな仕入れができなくなるという悪循環も起きていました。その点、FULL KAITENによって売価変更で効率よく消化できるようになり、新たな仕入れができるようになっています。

数量回転率でいうと、FULL KAITEN導入からわずか半年で前期の1.3倍に向上しています。このペースだと年間では前期の1.5倍超になります。想定を上回る効果が出そうです。

単価が高い商品から低いものまで様々なので金額ベースの在庫回転率も見ています。高単価の方が回転率は若干低いものの、全体では約1.5倍まで改善していますね。

――それは嬉しい変化です。具体的に、例えばこの春夏でどの商品を打ち出すかをどのように決め、どういった指示を出したんですか

 当初はいつ分析するかを決めていませんでした。毎週、たまたま目についたアイテムがイレギュラーな動きを見せた場合、FULL KAITENで分析していました。

そうすると、それ以外のSKUが分析対象とならないまま2週、3週と経過してロスが生じていました。ですので、「納品してから何週間たったら必ず売価変更する」というスキームを作ったんです。この結果、漏れがなくなり、消化スピードが上がりました。定例会議では売変の効果の検証と、次なる売変の方針の話し合いを繰り返しています。

――そして、売変の幅に強弱をつけるところが戦略そのものになるわけですね

 はい、そうですね。SKUごとの最適な売変の幅(オフ率)は今も模索中です。とはいえ、既にBadの商品はBetterの商品よりもオフ率を深くするといったアクションを取っています。まずはFULL KAITENを1年通して使ってみて、オフの基準と最適なオフ率の深さを探っていこうと考えています。

そうしたロジックを組むことができれば、人の思考コストが下がり、さらに効率が上がると想定しています。

――この8月は久しぶりに行動制限がない夏でした

 はい、春夏物の消化は非常に良かったです。

3.同じ数字を追いながら会話し思考するマインド定着

Luck Rackの常設店舗は現在、全国に17店あり、毎年5~10店のペースで新規出店を進める計画だ。売上の伸長に伴い、ローコストオペレーションと効率的な在庫消化がますます求められる。

――FULL KAITENで新たにできるようになったことのうち、最も大きいものは何ですか

 一番はやはり、在庫の見える化ですね。それまではどのSKUがどれだけあるかすら把握できていませんでした。FULL KAITEN導入によってコンディション(在庫リスクの現状)はどうかまで見えるようになりましたね。

それによって売価変更を穴の無いようにできるようになりました。非稼働商材でも在庫リスクを適時に察知できるので、早めに必要なアクションを起こすことができるようになったことは非常に大きいです。

かつ、在庫量に対して消化スピードが遅いSKUについても早めに対処できるようになりました。

―― FULL KAITEN導入で社内のマインドはどう変わりましたか

 数字を追って会話していくようになりました。それだけでも大きな効果があったと思っています。部署を問わず皆が同じ画面で同じ分析結果の数字を見られることは、思考のベクトルを揃えることに効果絶大です。

SKUごとに、適切なオフ率で、早めに売価変更し、速くお金に変えていくというマインドが根付く要因になったと思います。

――今後新たに取り組みたいことは何でしょうか

 これまでは売価変更しても、それらの商品を置く場所がありませんでした。なので、この9月末から、各店舗に売変した商品を集めるゾーニングを実施しています。これを本格化していきます。お客様にとっては「今週オフしたものはこれ」と分かりやすくなりますので、そうした商品目当てのリピート客が増えることも狙っています。


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