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粗利率を4%上げつつ売上3割上振れ! 消化率がコロナ前を上回る秘訣は実店舗30店のDX

株式会社レイ・カズン

レディスアパレル

小売
実店舗
EC

MDや店長たちが培ってきた「経験と勘」に、データに基づく判断を加味することで売上・粗利益を増やしている株式会社レイ・カズン様。そうしたDXを陰で支えているのがFULL KAITENです。実店舗30カ所の販売現場ごとにFULL KAITENを使いこなし、適時適切な在庫移動により消化率が約5ポイント(約7%)改善したり、無駄な値引きを抑えたタイムセールによって粗利率を上げながら売上が3割上回ったりといった結果が出ています。執行役員第1事業本部本部長兼DX推進本部本部長の畠山達也様にお話を伺いました。

※写真右が畠山様。左はフルカイテンCS我妻
※本稿に含まれる情報は2022年7月時点のものです。

1.コロナ禍で実店舗の売上が激減。社長が全社的DXの大号令

株式会社レイ・カズンは1994年に設立。主力業態の「Ray Cassin」のほか、「DOUBLE NAME(ダブルネーム)」「frams RAYCASSIN(フレームスレイカズン)」等のブランドでレディスアパレルや雑貨を手がけている。
畠山氏は執行役員として2020年7月に新設されたDX推進本部本部長を務め、EC売上の強化や実店舗におけるDXを牽引している。

――なぜDXに本格的に取り組もうと考えたのですか

畠山 まず、2020年春にコロナ禍が始まって実店舗がクローズするなか、EC売上高を上げる必要がありました。また、2021年2月に自社アプリのローンチを控えていたこともあり、2020年7月に社内各部署から1人ずつ選抜してDX推進本部を立ち上げました。

接客面では、店舗が休業しているなかで店頭スタッフがEC売上に貢献できるようにするため、スタッフスタートの活動量を増やすことに取り組みました。いわば、店舗スタッフをオムニチャネル化する動きですね。

EC売上はコロナ前と比べ180%に伸びています。アプリも会員数が目標以上に伸びていて、自社サイトのセッションの5割以上がアプリ経由となっており、顧客とつながる最大の接点になっています。

――それでも、FULL KAITENを2021年7月に導入する前は課題を抱えていたんですね

畠山 EC売上が伸長したとはいえ、実店舗の売上の落ち込みをカバーするには至っていませんでした。そのため、「商品軸のDXも必要だろう」と考えていました。

アプリのローンチや会員分析ツールの導入といったDXに取り組んでいたとはいえ、モノ起点のDXはできていなかったんですね。やはり、経験や勘は大事ですが、コロナ禍でそれらが全く通用しなくなったと痛感しました。

社長の足達が「経験と勘だけでなく、データを基にアクションしていこう」と号令をかけ、今までのやり方から脱却しようと取り組むなかで、店舗で使えるDXツールとしてFULL KAITENの検討を始めました。

――FULL KAITENは在庫を効率よく利益に変えるための在庫分析クラウドですが、従来はどのように在庫を分析していましたか

畠山 従来は基幹システムからデータを抽出してExcelで計算していました。ただ、個々の在庫がどの位置にいるかを把握するのに時間がかかっていました。
なおかつ、ピンポイントでこのSKUをどうする、という施策立案は人の手ではできなかったですね。商品選定に多くの時間を費やしてしまいますから。

FULL KAITENは全ての在庫の「現在地」を4つに分類する

――確かに、在庫分析は業務負荷が大きいですが、分析それ自体は付加価値を生みません

畠山 そうなんです。MDは従来、品番単位の分析をしていましたが、今はSKU単位でできています。また、店間移動の処理だけでも2時間くらいかかっていましたが、今は時間をかけずに抽出できます。

マークダウンや店間移動の指示を出す際、基幹システムを見てExcelを叩いてという一連の作業が不要になったので、月曜の夕方に時間をかけてやっていたことが大幅に削減されました。

DX推進の手応えについて語る畠山氏

2.実店舗30店へFULL KAITEN浸透。消化率はコロナ前超え

レイ・カズンは「RayCassin」「DOUBLENAME」「frams RAY CASSIN」の3ブランドとアウトレットの全58店舗(ほぼ全て直営店)のうち約30店でFULL KAITENを導入している。30カ所の店舗でFULL KAITENを活用しているのは、FULL KAITEN利用企業の中で最多。経験と勘に客観的なデータを加味したデータドリブンな意思決定で粗利益と客単価の向上に取り組んでいる。

――何がFULL KAITEN導入の決め手になりましたか

畠山 店舗単位で在庫を分析できるところですね。本部主導ではなく、店長たちが使えるツールを入れて店舗ごとに自律的にDXを進めていくことが大事ですから。

店舗を統括するマネージャーたちがFULL KAITENをしっかりと理解し、その必要性と有用性を店長たちに浸透させています。本部は本部で、MDやDBが自分たちのアクションを決めるのに使っています。

あと、フルカイテンさんのサポートがすごくしっかりしています。今も週1で各ブランドとの定例ミーティングを持っていて、店舗単位でも月1くらいで会議を開いてもらっています。積極的に使いこなしていくことに常に力点を置いています。

――FULL KAITENの活用によって、どんな変化がありましたか

畠山 今までは商品を作り、売れなければ値引きして消化するというやり方でした。でも今はそうではなく、どれだけプロパーで売上をつくるかを最重要視しています。セールでの消化に頼らず、それでも売れない商品は出てくるので、そこはしっかりと消化のためのアクションをとるということです。

その結果、売上高だけでなく粗利益に対する意識が芽生えてきました。特に実店舗では客単価が重要ですが、そこに対する意識も高まりました。客単価を上げるのにもFULL KAITENは使えるので、さらなる粗利益アップに活用しています。

――成果を出すには、御社の業務設計をFULL KAITENに合わせて変えていただく必要がありました

畠山 まず、ブランドごとにいるマネージャーの業務にFULL KAITENを落とし込みました。次に彼女らが担当エリアの店舗へ落とし込んでいきました。推進役の肝になったマネージャーたちは総じて抵抗なくFULL KAITENを使うようになっていきましたね。

とはいえ、店舗ごとにFULL KAITENの習熟度に差はあります。きちんと理解したマネージャーが担当する店舗は、うまく行っていると思います。FULL KAITENに合わせて業務フローを変えられる店長の店舗はうまく使えています。

やっぱり、何でもかんでもデジタルツールを入れればいいというものではないですね。ツールを使う社員の意識が変わらないと導入の意味が無いと思います。導入した意図をきちんと伝えて初めて意識が変わり始めますからね。

――他にも新たにできるようになったことは何ですか

畠山 クリック1つで誰もが同じ数字(データ)を出すことができます。そこに個人的な感情は入らないので、AIによる予測結果と、自分たちのそれまでの認識とのギャップを把握できます。そして店長がメインで使っていて、各スタッフへ明確に指示を出していますね。その結果、アクションに対するスピードが上がっています。

また、在庫移動もできます。私自身は在庫の店間移動は徐々に削減していきたいと考えていました。時間もコストもかかりますから。その業務を人からFULL KAITENのAIに任せ、それによってできた時間を他のことに使えれば効率も上がるはずです。店間移動は最近始めたばかりですが、少しずつ進めています。

3.消化率5ポイント上昇/粗利率を上げながら売上3割上振れ

2022年6月中旬、FULLKAITENに基づいて在庫移動した結果、週次の消化率が70.4%から75.2%へ4.8ポイント(6.8%)も向上した。
また、タイムセールの売上が33.5%増となり、なおかつ粗利率は4.0%上昇。FULLKAITENで在庫リスクが高くなってきた商品をピックアップし、シーズンセールよりも薄いオフ率でタイムセールを実施したところ、粗利率の維持と消化促進を両立させた。

――コロナ禍も丸2年が経ち、消化率はどういった状況ですか

畠山 前期(2021年9月期)はコロナ禍で80%台後半という厳しい数字でしたから、今期はそこからは回復しています。2022SSは95%程度になる見込みであり、コロナ前の2019年を超える水準を見込んでいます。一連の取り組みの成果が出てきていると感じます。

また、無駄な値引きを抑制しようということで、客単価も上がっています。ただ、ベースである店舗売上がコロナ禍前の水準まで戻り切っていないので、FULL KAITENをうまくかみ合わせてさらに効率を上げていきたいですね。仕入れを抑制していますから、既にある在庫をいかに最大活用するかという視点がより重要になっていると思います。

なおかつ原価も上がっていますし、社会背景的にもガンガン物をつくる環境ではもはや無い。とはいえ売上は作らないといけないので、粗利益を取りながら消化率を上げるためにFULL KAITENをフル活用していきます。

――粗利益を伴う売上というのがとにかく重要ですよね

畠山 そうですね。粗利率は施策ごとで見ると徐々に上がっています。ただ、原価高騰分を吸収しきれてはいないのが現状です。

とはいえ今期はセールの前に早めに販促施策の手を打つことができているので、セール期の値引きを抑制できています。これは粗利率の大きな改善要素であり、原価上昇分をある程度打ち消してくれています。

客単価を上げることも粗利率においては重要な要素です。何と何が一緒に買われているかというデータに基づく組み合わせ提案は大事ですね。

――評価も売上から粗利益に変わっていきますか

畠山 以前、店舗は売上達成が評価の指標でしたが、今は売上達成と粗利達成の両方あります。売上を達成すれば評価されますが、両方達成したらさらにインセンティブが付くようになっています。コロナ禍が始まって値引きをせざるを得なくなり、粗利益を取れなくなっていたので、粗利益へ貢献できるアクションが取れるよう、評価指標としました。

皆どうしても売れている商品にフォーカスしてしまうんですが、実際のところは店舗の特性や顧客層の特徴に応じて隠れた売れ筋は絶対にあるんですよ。だから、既に店舗や倉庫にある在庫の中に、売上や粗利益に貢献する商品は必ずあるということをFULL KAITENは可視化できるので、店舗でアクションをとりやすいですね。

――以前は「経験と勘」に頼る弊害がありましたか

畠山 「経験と勘が悪い」とは店長に言ってはいません。そこにデータドリブンの視点を足そうよ、と。お客様の買い方も変わっているのに、従来の考え方のまま売っていたら、モノ自体(商品在庫)を少なくしているので通用しないよ、と伝えています。

4.在庫移動も駆使して“無駄な値引き”を退治

――これからの課題は何でしょうか

畠山 まず、FULL KAITENに対する理解をさらに全社共通のものとしたいですね。理解レベルを統一させる。そのためには、業務フローをFULL KAITENに合わせて変えられるかどうかがカギを握ります。うまくFULL KAITENを使えている店舗はアクションにスピード感が出ていて、他の付加価値業務に時間を割くことができていますから。

レイ・カズンは効率的な店間移動の仕組みの確立を目指している

具体的なアクションの例を挙げると、毎週火曜に戦略ボードを見て先週末の販売結果を踏まえた在庫状況を可視化しています。自店と全店、自店と他店との比較を行います。他店で売れていて自店で売れていないものを強化したり、自店で売れているものを他店の強化対象にしたりという具合です。FULL KAITENでSKU単位で見られるので、強化カラーを特定したりもできますね。

データから得た気づきを行動に変えるには、このように戦略ボードを必ず見るよう徹底することが大事だと思っています。

――今後、FULL KAITENをどのように活用していきますか

畠山 店間移動は確立したいと考えています。とはいえ、無駄な移動はしたくない。作業時間、運送費、宙に浮く期間など、基本的にロスが多いからです。だから「店間移動は(無条件に)正しい」という認識を徐々に改めていく必要がありますし、もっと効率よく店間移動させる必要があります。

そうなると、人の手を使ってやっていた商品選定などをAIに任せることが必要不可欠です。そこができたら、本当に無駄が省けると思います。

そもそも無駄な値引きを押さえて売るという視点では、店間移動が必要な状態に陥ってしまう前に、早期にアクションすることが必要だと思うんです。その早期の施策を打つことにFULL KAITENはもっと使えると思っています。

――在庫を移動させるのが目的ではなく、無駄な値引きを抑制することが本来の目的ですもんね

畠山 店舗目線だと、売れ筋商品が欲しいのは当然だと思います。でも、それは本部サイド目線だと、瀬川さん(編注:フルカイテン代表)もよく仰っていますが部分最適になるんですよね。私情が入ったり店長同士の発言力の強い弱いがあったりして部分最適に陥りがちなので、FULL KAITENがアウトプットする数字に基づく共通理解によって全体最適へ切り替えていきたいです。そうしてこそ無駄を省けると思います。

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