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成功体験を捨てた先にある アパレルの未来/フルカイテン顧問に就任した齊藤孝浩氏と川添隆氏が語る「粗利経営」の重要性

商品を店頭に置けば置くだけ売れていた過去の栄光にとらわれ、時代の変化に対応できていないアパレル業界。そんな成功体験を打ち破った先にある明るい未来を経営者たちに示すため、アパレルの世界で誰もが知る2人が立ち上がった。

ファッション専門店の在庫最適化コンサルタントとして活躍するディマンドワークス代表・齊藤孝浩氏と、EC事業の可能性を伝え、複数企業へECやDX推進の支援をしているEコマース先生/NewsPicksプロピッカー・川添隆氏。

2021年7月から、フルカイテン株式会社(代表取締役・瀬川直寛)のアドバイザーに就任し、アドバイザリーボードを構成した。両氏のような著名人が特定のITツール提供企業、ましてやスタートアップの顧問を揃って引き受けるのは異例中の異例だ。

そこで齊藤、川添両氏と瀬川の3名が一同に会し、持続可能なアパレル業界をいかに実現するかについて意見を交わした。(以下、敬称略)

「在庫の質」を可視化。瀬川の想いに共感

フルカイテンは2021年夏、ジャフコグループを引受先として5億円の資金調達を行った。現在のアパレル業界が抱えている社会的課題を解決するため、売上・粗利・キャッシュフローを最大化する在庫分析クラウドサービス『FULL KAITEN』のプロダクト強化と導入企業の拡大を目指している。

齊藤 私がアドバイザーを引き受けたのは、瀬川さんについて「業界の過剰在庫問題を解決していく同志に出会った」と感じたからです。私はこれまで、クライアント先のアパレル企業などで、いかに過剰在庫を削減するかに取り組んできました。多くの経営者の皆さんはトップライン(売上高)を稼ぎにいくことには興味がありますが、残在庫が発生することに対する危機感は薄い、と言わざるを得ません。

しかし、残在庫は確実に経営を蝕みます。昨年来、瀬川さんとメディアやウェビナーで対談させていただき、瀬川さんも子供服ECを経営されていた頃に在庫過多でご苦労をされたことを知りました。FULL KAITENのベースとなるシステムを自力で開発して倒産危機を克服されたという経緯もあり、私は瀬川さんを業界全体の在庫問題を解決していくに当たっての同志だと思っています

齊藤 孝浩氏

ファッション専門店の在庫最適化コンサルタント。ディマンドワークス代表。
総合商社でアパレル生産、欧州ブランド日本法人で輸入卸、アパレル専門店で小売販売、商品管理からチェーンストア経営を経験。
各社在職中に在庫過多に苦労した実体験をもとにアパレル・靴・服飾雑貨を販売するファッション専門店の在庫最適化のノウハウを体系化して2004年に独立。多くの新興・成長中ファッションチェーンの過剰在庫を粗利とキャッシュに換える組織づくりと人財育成を支援する傍ら、国内外のファッション流通を取り巻く環境や企業のビジネスモデルと成功要因をわかりやすく解説する専門家としても活動中。
IFIビジネススクール講師として複数の大学講座のファッションビジネス論にも登壇する。著書に「ユニクロ対ZARA」、「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)がある。1965年東京生まれ。


川添 アドバイザー就任を受諾したのにはいくつか理由があります。まずは事業側の目線という点です。私はアパレルECの責任者だった頃、「売れている商品は放っておいて良い」と指示していました。今日よりも明日の売上・利益を増やすには、売れそうで売れていない商品や隠れた売れ筋商品など、「在庫の質」を見て、それぞれの質に応じて適切な在庫のコントロールや販促をしないといけないからです。
FULL KAITENの話を昨年お聞きし、「(自分がEC責任者時代に欲しかったツールは)これだ!」と感じたことを鮮明に覚えています。

また、ツール提供側・起業家側の目線としては、ソリューション界隈の一般論として、経営者自身が物販やメーカーなどで経験した苦労を基にして開発されたツールの方が、クライアントの課題解決に直結するケースが多くあります。EC界隈で話題のShopifyもこれに該当しますが、そういうソリューション・サービスは少ないのが実情です。
小売事業者側を経験してきた私としては事業者視点が入っているプロダクトを応援したいという気持ちがあり、瀬川さんの「在庫の質の可視化」にかける想いに共感しました。

川添 隆氏

2017年よりNewsPicksプロピッカー。全国のEC担当者を応援し、ECビジネスの可能性を伝えるEコマース業界の先生。企業再生を2社経験し、独自のメソッドと実践を通じてEコマース売上2倍以上に携わったのは6社。
アパレル関連企業3社を経験後、2013年7月よりメガネスーパーに入社。8年でEコマース関与売上を8倍に拡大。現在は親会社のビジョナリーホールディングス取締役 CDO 兼 CIOに従事。
2017年より代表を務めるエバンでは小売企業、大手メディア、B2Bスタートアップ、D2CブランドへのECやDX領域のアドバイザーに従事。
1982年生まれ、佐賀県唐津市出身。


瀬川 自分のバックグラウンドにそこまで共感していただいたというお話は今回初めて知りました。率直に嬉しいです。3度の倒産危機の時に感じた在庫問題のペインは弊社として武器にしないといけないと思っています。しかし、私がEC時代に味わった6年半の苦労は、アパレル業界が抱える過剰在庫問題の一部にすぎません。

そして、弊社がこれから在庫問題の全てを体験するのは不可能です。ですからお2人の力を借りて多くのアパレル企業のペインをもっと深く掘り下げ、プロダクト開発に活かしたいと考えています。

瀬川 直寛

フルカイテン株式会社代表取締役。慶應義塾大学理工学部で天然ガスの熱力学変化に関する予測モデルを研究。 ベビー服ECの経営者として、在庫問題が原因で3度の倒産危機に直面。それを乗り越える過程で外的要因や予測不能な変化に強い小売経営モデルを生み出し、『FULL KAITEN』を開発。 2017年11月、FULL KAITENをクラウド事業化し、SaaS型システムとして販売を開始。 2018年9月にはEC事業を売却し、FULL KAITENに経営資源を集中している。 「最小の在庫」で売上・粗利・キャッシュフローを最大化する在庫分析クラウドとして評価を確立。現在、全国の大手アパレル企業やスポーツメーカーなどで導入が進んでいる。


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「たくさん在庫して売上を追う」から180度転換する

アパレル業界は在庫過多という長年解決されてこなかった課題を抱えている。在庫を増やせば売上は増えるが残在庫も増え、在庫を減らすと売上も減ってしまうため、多くの企業は売上減少を避けたいがために在庫過多を甘受してきた。その歪みと矛盾が、新型コロナウイルス禍をきっかけに一気に噴出した。短期間のうちに売上が急減したことで在庫が膨れ上がり、キャッシュフローに窮する企業も出ている。各社はようやく発注量(仕入れ量)の抑制と在庫高の適正化に向け重い腰を上げ始めた。

川添 アパレルは過去の栄光がある産業であり、その分商慣習や「売れ筋を追おう」という業務慣習も定着しています。また、春夏・秋冬という年に2回のサイクルを週ごとに多品種展開するため、一度立ち止まって考えることが難しい業界です。
ECをやる場合で言うと、EC担当者はマーケティングや売り方には手を付けられても、重要な企画部門や在庫部門は権限が強く、なかなか手を付けることができません。このコロナ禍という社会変化に対応したビジネス変革ができなければ、その会社はずっと変わることはできないでしょう。

瀬川 やはり、ビジネスが博打みたいになっていると感じます。偶然売れたヒット商品で売上をつくるものの、他の商品は値下げして消化した結果、利益は残らない。現状はそんな状態ですよね。売上と利益が相関していた右肩上がりの時代は、在庫を持てば売上が増え、ある程度プロパーで消化できていたので、在庫を持つことが正解でした。

でも、そんな時代はもう終わったんです。現在の国内市場は縮小市場です。ところが、市場環境が変わったのに小売企業のビジネスモデルは変わっていません。在庫を持つことが売上と利益につながらないのが縮小市場なので、小売業は少ない在庫で利益を出すという逆の経営に変わらないといけません

齊藤 同感です。今の時代、売上と利益を上げていくには上手な在庫運用が必要不可欠です。売上をつくるには良い商品の仕入が必要なのはもちろんですが、それだけではシーズン中に利益を逃す場面が山ほど出てきます。在庫は金額ではなく中身が問題なのに、多くの企業は質の評価をせず、上澄みの(明らかに売れ筋と分かる)商品だけに頼って売上をつくってきました。

コロナ前までは勝ちシーズンと負けシーズンが交互に来ていたので凌げていましたが、消費増税、暖冬、コロナ禍で負けシーズンが続いていて苦しい状況です。皆さん、ようやく深刻に考え始めたんじゃないでしょうか。

川添 店舗網や店舗の見栄えを維持するために在庫を持たざるを得ない、という考えが常識化してしまったのではないでしょうか。それに対し、新興のEC専業ブランド、D2Cブランドはいかに在庫を持たないかを考えています。

でも、国内での在庫を持たないビジネスには事業成長の天井があるようです。天井を越えて成長するには販路拡大が必要で、その分の在庫を持つことになります。企業のサイズを問わず、ブランド力と販売力を並行して伸ばすのが一番ですが、多くの場合は販路拡大が先行してバランスが崩れていると捉えています。

瀬川 その点、アパレル企業が今すべきことは1つしかないと思います。まず手もとにある在庫を現金化して在庫高を減らすことです。値引きに頼ることになるので粗利が減っていったんは赤字になるステップを踏むことになりますが、次に在庫運用の効率を高めることで、在庫の単位あたり売上と利益を増やすんです。すると、粗利益が増え、色々な投資ができるようになります。

齊藤 賛成です。たとえ1、2シーズン安売りしたからといって、ブランド価値はそんなに棄損しないですよ。時には、リセットも大事。何を怖がっているんだ、と思いますね。どんな業界でも、企業再生の初段階でやることは在庫を綺麗にすることですから。

また、成功体験の弊害は人事評価にも表れています。経営者は売上ばかり評価しますが、よくよく考えれば粗利益からしか給与や賞与は出ません。無理につくった売上が粗利創出に貢献しないケースもあるわけで、粗利益額で評価しないと、本当に頑張った人に報いることができないと思います。


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意識改革から始まるDXの決め手

アパレルをはじめとした小売企業が年々縮小する国内市場を勝ち抜くには、過去の成功体験を捨てなければならない。つまり在庫の物量頼みの売上第一から、少ない在庫で粗利益を最大化させる「粗利経営」への変革だ。そのためには、商品や顧客接点の付加価値を上げる必要がある。FULL KAITENは在庫の質を可視化するだけでなく、様々な場面で付加価値を上げることやクリエイティブ業務に貢献できる可能性を秘めている。

川添 アパレルの在庫においては多品種商品の鮮度管理が必要です。そこを解決をするカギの1つはテクノロジーだと捉えています。一方で、どんな業界でもDXで最初にやるべきことは、実は意識改革なんですよ。仮にデジタル化しても「なぜやるか?」を理解しないと、運用が形骸化してしまうからです。
常に組織やビジネスに至るまでの意識を変え続けているのが(ファーストリテイリングの)柳井さんや(ニトリホールディングスの)似鳥さんじゃないでしょうか。

齊藤 コロナ禍で意識と行動が一番変わったのはお客様ですよね。ECやライブ接客など、一度手にした利便性はもう手放せないでしょう。小売企業側はいま変われなければ本当にアウトだと思った方がいいですよ。

というのも、(商品を店頭に並べれば並べるだけ売れた)過去の成功体験から、いかに仕入れの精度を高めるかを考えている経営者がとても多いんです。でも、いくらAIを使っても、予測はなかなか当たりません。
それよりも、仕入れたものをいかに活かして粗利を残すか、つまり在庫の運用が大切なんです。FULL KAITENのいいところは、AIの需要予測は外れることを前提に、仕入れた後の在庫運用を重視している点です。

売上が増え(上向きの右手)、在庫が減る(下向きの左手)ことを表すFULL KAITENのロゴを両手でつくる3人

川添 小売関連のソリューション・サービスは、これまでマーケティング関連やチャネル間の在庫連携あたりがメインでした。例えばECサイトの売上を1.2倍~1.5倍にするには集客の力で可能な範囲ですが、2倍、3倍となると在庫を含めた商品の力が必須です。

つまり、その1つとして「在庫の質」の可視化は有効な手段になるわけです。その点、FULL KAITENは在庫の質を見極め、何も手をつけない商品、何らかの手を打つべき商品、事業に貢献していない商品(滞留商品)に区分けして明示してくれます。

齊藤 その点、明らかな売れ筋商品をより多く売るという形になっている現状の業務に対し、FULL KAITENはある意味ゲーム感覚で取り組むことができると思います。FULL KAITENは商品の組み合わせなど販促を工夫するための商品リストを出してくれるので、「こうした商品と組み合わせ直したら売れるんじゃないか」という工夫を考えるきっかけになりますよね。
そして結果が出ると、どんどん楽しくなるでしょう。そういうゲーム感覚を採り入れると、より主体的に在庫消化に取り組みやすくなるでしょうね。

売上貢献度(縦軸)と完売予測日すなわち在庫リスク(横軸)で
全在庫を4分類するFULL KAITENの画面

川添 FULL KAITENのダッシュボードにあるBest, Better, Good, Bad4分類は現時点の在庫の質×量を表わしていますが(上図)、時系列の移り変わりが見えると、改善方向か改悪方向かが把握しやすくなります。また、Badを少なくしたり、「そこそこ良い商品」であるBetterを「勝手に売れる」Bestに変えたりするアクションによって粗利を増やした人が評価されるべきですよね。

「在庫を変え会社を変える」という意識が根づけば、会社も嬉しいし現場も楽しくなるはずです。ビジネスは常に結果が必要。変化の速い社会でその打率を上げるには、工夫の手数や再現するための仕組みが意味を持つようになります。工夫する人が多ければ、お客様にいいブランドと感じてもらい、「あの店に行きたいな」となるでしょう。

瀬川 お2人がツールの話をしてくださったので少し切り口を変えたいのですが、私は成果に繋がるかどうかは、導入企業さまの業務にFULL KAITENをいかに浸透させられるかにかかっていると思っています。そもそもツール自体が成果を出すことはありませんよね。成果を出すのはいつの時代も人なんです。だからFULL KAITENで得た在庫の質に対する気づきをいかにして導入企業さまの業務オペレーションに浸透させられるかが重要なんです。

こういったオペレーションへの浸透を実現するためには、私たち自身が顧客業務の理解の解像度をもっともっと高める必要がありますので、そういう意味でお2人にアドバイザリーボードに就任いただいた事を本当に心強く感じていてます。

川添 今のところ、物販の在庫系DXツールとして、FULL KAITENは唯一無二だと思っています。そして、FULL KAITENを通じて、「ちゃんと在庫の質を見ましょう」とか「粗利益の額を増やしましょう」「余計な値引きはしなくていいですよ」といった“商売の本質”を、少しでも多くの企業に伝えていってほしいですね。


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FULL KAITEN CONFERENCE 2021「New Retail Way」過去の成功体験を打ち破れ!〜変わる小売経営者だけが生き残る〜
「在庫を粗利に変える!」
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